食事摂取基準の策定を見据えた栄養学の進展に資する研究

文献情報

文献番号
202408059A
報告書区分
総括
研究課題名
食事摂取基準の策定を見据えた栄養学の進展に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1022
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 敬子(東邦大学医学部社会医学講座予防医療学分野 )
研究分担者(所属機関)
  • 松本 麻衣(医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)
  • 片桐 諒子(千葉大学 大学院 情報学研究院)
  • 桑原 晶子(大阪公立大学 生活科学研究科)
  • 佐々木 敏(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 新井 英一(静岡県立大学 食品栄養科学部)
  • 岩井 美幸(島田 美幸)(国立環境研究所 環境リスク・健康領域)
  • 叶内 宏明(大阪公立大学 生活科学部 食栄養学科)
  • 東海林 宏道(順天堂大学 医学部小児科学講座)
  • 春日 義史(慶應義塾大学医学部 産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
以下3点を研究目的とした。
1)「日本人の食事摂取基準」で策定される指標等の定義の見直し
2)指標策定におけるエビデンス収集と課題整理
3)食事摂取基準の策定に関わる人材の確保・育成
研究方法
1)疾病構造の変化や検査技術の進歩を踏まえ、推定平均必要量等の指標の定義を栄養素摂取量評価とアウトカム設定の両面から見直す。各国の栄養素摂取量に関するガイドラインや、ガイドライン作成方法に関する文書を収集し、内容を精査する。国民健康・栄養調査データ等の食事調査データの従来の取り扱い方法をまとめ、さらに習慣的な栄養素摂取量の推定方法を検討する。
2)上記1)で見直した指標の定義を、主にビタミン・ミネラルの指標策定に具体的に当てはめ、使用可能な生体指標及び臨床的アウトカム、およびそれらの関連について情報を収集する。エビデンス不足の場合は課題を整理し、必要な研究を提案する。
3)若手研究者も含め、上記1)、2)を実施しながら、各指標の定義や策定方法に精通し、栄養疫学・人間栄養学の知識に基づいて食事摂取基準策定に必要な情報を収集・整理できる人材の確保・育成を図る。
結果と考察
1)指標の定義について、4回の班会議および栄養素別の打ち合わせで議論した。食事摂取基準の5つの指標は各国・地域の指標と概ね一致しており、新たな指標追加は不要と考えられた。推定平均必要量・推奨量については定義に不明確な部分は小さく、一方で目安量はバスケットネーム的に使用されている場合があり、定義の見直しが必要と考えられた。耐容上限量、目標量はその意味合いや予防の対象とする疾患についての基本の見直し、認識共有が必要と考えられた。その他総論関連事項として、食事摂取基準2025年版の策定における国民健康・栄養調査データの扱い方を整理した。また、国民健康・栄養調査から得られた1日の栄養素摂取量を、外部データから得られた個人内・個人間の分散を用いて補正し、習慣的摂取量を得るための方法論を検討した。国民健康・栄養調査データを用いた実際の習慣的摂取量の推定は次年度実施予定とした。

2)水溶性ビタミンにおいて、その栄養状態を示す生体指標についての事項を確認した。機能に関する生体指標を基に推定平均必要量が策定されたのはビタミンB1の赤血球トランスケトラーゼ活性係数(ETKac)のみであり、他の水溶性ビタミンでの、機能の生体指標の使用可能性についてさらなるエビデンス収集が必要であった。脂溶性ビタミンについては、ビタミンAで、長らく見直しがされていなかった推定平均必要量の算定根拠に関し、新しい文献をレビューする必要性が示唆された。ビタミンDは、不足回避のための指標として目安量を用いているが、現状の目安量の概念がその要件を完全に満たしておらず、指標の概念自体についても検討する必要があると考えられた。多量ミネラルにおいては、国民健康・栄養調査結果および栄養状態を示す生体指標(不可避損失量等)より基準値が策定されており、機能を示す生体指標およびクリニカルアウトカムに関してはエビデンスが不十分であるため、これらは指標策定に使用されていない。ナトリウム・カリウムではNa/K比、カルシウムでは骨折、マグネシウムでは耐容上限量策定における下痢など、エビデンス収集が必要と考えられた。微量ミネラルでは、耐容上限量の策定方法に複数の方法があり、集団の最大観察摂取量(HOI)にもとづいて策定(マンガン)、少数の事例から導かれたLOAELまたはNOAELにもとづいて策定(亜鉛、銅、セレン、クロム)、HOIとLOAEL・NOAELの双方にもとづいて策定(ヨウ素、モリブデン)されている場合に分かれていた。それぞれの方法により定められた値の意味合いの理解を促す必要がある。微量ミネラルに関する課題としては、日本人のデータの不足、特に妊婦、授乳婦、乳幼児などの脆弱な集団におけるデータ不足が挙げられた。妊産婦の章では、プレコンセプションケアの重要性や妊娠中の栄養状態が胎児成長などに影響を与えることの記述の不足が指摘された。乳児・小児の章では、母乳中栄養素含量などに関する新しい知見の引用の必要性、近年のライフスタイルや食生活の変化、網羅的解析技術を反映した基準策定の必要性が指摘された。高齢者の章では、フレイル、サルコペニア、認知症の予防に資する栄養素として、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンB群、エネルギーの4項目を重視した検討が重要である旨が指摘された。

3)班会議や栄養素グループごとの打ち合わせで、指標に対する認識の共有、疑問点に関する質疑応答を行った。過去の策定検討会・ワーキンググループの経験者と若手研究者の間で情報共有を行い、食事摂取基準の位置付けなどについて理解を深めた。
結論
現行の食事摂取基準の記述における課題点は十分に抽出された。今後、具体的なエビデンス収集を行う。

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
その他

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202408059Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,370,000円
(2)補助金確定額
7,370,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,064,298円
人件費・謝金 1,420,107円
旅費 655,124円
その他 560,471円
間接経費 670,000円
合計 7,370,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-08-29
更新日
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