ヒト胎盤幹細胞を用いた新規発生毒性評価法の開発

文献情報

文献番号
202425018A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト胎盤幹細胞を用いた新規発生毒性評価法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KD1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 昌夫(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 賢二(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
13,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化学物質の胎児曝露は血液胎盤関門を介して母体血中の化学物質が胎児血に移行することで生じているものの、未だヒト胎盤関門モデル系の確立すら立ち遅れており、化学物質の胎児曝露評価に資するヒト胎盤関門評価系の開発がヒト発生毒性評価のアンメットニーズとなっている。そこで本研究では、我が国で世界に先駆けて樹立されたヒト胎盤幹細胞(TS細胞)を用い、in vitroヒト胎盤関門モデル系を確立し、化学物質や医薬品のヒト胎盤関門透過評価系として確立することを目的とする。
研究方法
In vitroヒト胎盤関門モデル系として汎用されているJEG3細胞の単層膜培養系を用いてtight junction modulatorのバリア制御活性、物質透過促進活性解析を実施し、ヒト胎盤関門バリア機能特性解析を行った。また、TS細胞の分化誘導条件の最適化および単層膜培養系の構築を行った。
結果と考察
令和6年度の研究では、コントロールとして用いるヒト絨毛がん細胞由来JEG3細胞と、TS細胞を用いて、それぞれについて単層膜培養系の構築を試みた。JEG3単層膜培養については、1×10^5 cells/cm2の細胞密度でポリカーボネート製メンブレンを有するトランズウェルに播種し8日間培養することで、安定的に単層膜が構築できることを見出した。確立した系を用いて各種tight junction (TJ) modulatorsを処理した結果から、JEG3が形成する単層膜ではclaudin3/4及びangulinがTJ形成に寄与していることを明らかにした。TS細胞を用いた単層膜培養系では、トランズウェルの上面に細胞層を形成する場合と下面に細胞層を形成する場合の両者を比較し、上面培養の方が経上皮電気抵抗値が高く、操作性の面でも簡便であることから、上面培養が優れていることを見出した。上面培養で構築したTS細胞由来単層膜の分化効率をsyndecan-1 (SDC1)の免疫蛍光染色で評価した結果、構築した単層膜はほぼ全面がSDC1陽性細胞で覆われており、十分な分化が誘導出来ていることが確認された。
また、in vitro-in vivo外挿性評価に向けた予備検討を進め、in vitro評価系から得られたデータを用いたin vivo外挿性にかかるパラメーターの特定を行った。
結論
以上、本年度の研究によりJEG3細胞及びTS細胞のどちらについても単層膜培養系の構築に成功し、今後の化学物質の胎盤透過性評価に向けた系の構築が完了するとともに、ヒト外挿性に向けたファーマコメトリクス解析も予定通り進捗している。

公開日・更新日

公開日
2025-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
202425018Z