アルツハイマー病予防効果をもつ漢方薬とその有効成分の同定

文献情報

文献番号
201008025A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病予防効果をもつ漢方薬とその有効成分の同定
課題番号
H22-創薬総合・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
垣塚 彰(京都大学 大学院生命科学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 我が国では、超高齢化社会への突入に伴い、アルツハイマー病に代表される認知症を患う患者の急激な増加が予想される。しかしながら、現在、有効な治療法が無いため、患者のみならず患者の家族を救う手段が無い。本研究では、漢方薬を用いた安全性の高い治療法の提供に向けた基礎研究として、アルツハイマー病発症の最上流に位置すると想定されているAβの産生を阻害する活性をもつ漢方薬エキスを同定すること、そして、それらの漢方薬エキスに含まれる有効成分を精製し、構造決定を行うこと、さらに、新たなアルツハイマー病モデルマウスを樹立することを目的とする。
研究方法
 本研究では、まず、Aβ産生の鍵となるγセクレターゼ活性を簡便に検出するアッセイ系の構築を行う。次に、構築したアッセイ系を用い、漢方薬の原料になっている植物エキスのスクリーニングを行い、γセクレターゼ阻害活性を持つエキスの同定を行う。そして同定したエキスの内、最もγセクレターゼの阻害活性の強いエキスに含まれる有効成分の精製と構造決定を行う。また、同定したエキスのin vivoでの有効性を検証するために、新たなアルツハイマー病モデルマウスの作製を試みる。
結果と考察
 産生したAβを測定する従来のELISA法に変わり、γセクレターゼ活性をルシフェラーゼ活性に変換して簡便に測定する新たなγセクレターゼ活性の評価システムを構築した。次に、漢方薬の原料になっている植物エキス約1600種類をスクリーニングし、γセクレターゼ阻害活性を持つエキスを同定した。その内もっとも阻害活性の強かったヒシュカから主要阻害成分を精製し、その構造を決定した。また、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを得た。今後、得られたマウスがアルツハイマー病のモデルとしての性質を満たしていることを確認の後、同定したエキスの治療効果を検証することで、安全なアルツハイマー病の治療に向けた基盤構築に繋げたい。
結論
 アルツハイマー病発症の最初期段階であるAβの産生を担うγセクレターゼの活性を簡便に評価するアッセイ系を構築した。このアッセイ系を用い、漢方薬の原料となる植物エキス約1600種類のスクリーニングを行い、幾つかのエキスにγセクレターゼの阻害成分が含まれることを明らかにした。次に、最も阻害活性の強かったヒシュカからγセクレターゼの活性阻害成分を精製し、その構造を決定した。

公開日・更新日

公開日
2012-04-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201008025Z