文献情報
文献番号
202424037A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師国家試験のあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2016
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 孝一郎(国立大学法人広島大学 大学院医系科学研究科・薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 三田 智文(順天堂大学 薬学部)
- 高橋 秀依(帝京大学 薬学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
社会及び医療現場において活躍する薬剤師像を明確にし、その資質を確認するための薬剤師国家試験について、れまでの試験結果の解析、課題の整理・検討等を行い、薬剤師国家試験と薬学共用試験CBT のあり方に関する見直し方針の基礎資料を作成する。本研究により、より社会及び医療現場に資する薬剤師の養成を図る。
研究方法
薬学共用試験と薬剤師国家試験等の比較・分析を行い、薬学共用試験CBTによる国家試験基礎分野問題の代用可能性など、薬剤師国家試験のあり方について提言を作成する。
結果と考察
薬学共用試験CBTによる基礎分野問題の代用性について:薬学共用試験CBTは学生が実務実習を実施する資質を確認するためのものであり、薬剤師国家資格とは目的が異なっており、審査基準も異なっている。さらに、薬学では、国家試験の必須問題をCBTで代用させた場合、臨床実習などを経て培われた基礎知識を統合して臨床現場での判断ができる能力を測れなくなる恐れがある。これらのことから、現段階では、国家試験の必須問題とリンクさせて考える必然性はないものと考えられる。
薬学共用試験CBTと薬剤師国家試験の基礎系科目間の比較・検討について:薬学共用試験CBTでは、実施当初より全国の大学で統一した基準点(60%)を設けて実施している、CBTでは問題セット間での難易度の均一性も担保されている、年度間での難易度の均一化も保たれていることを勘案すると、薬学共用試験では出題難易度や公平性が担保されていると考えられる。
薬学共用試験CBTと薬剤師国家試験の勤務薬剤師の意識調査について:薬学共用試験CBTと薬剤師国家試験の現状について、勤務薬剤師を対象として意識調査を行なった結果、薬学共用試験CBT、薬剤師国家試験ともに形式、内容、難易度、必要性、科目構成、合格基準点、など全ての点において概ね現行で問題はないとの結論が得られた。
薬剤師国家試験の出題範囲について:「薬学教育モデル・コア・コアカリキュラム」の令和4年度改訂における大きな変更点は、「プロセス基盤型教育」から「アウト・カム基盤型教育」へのパラダイムシフトであり、学生の学び方に変化はあるが、学生が学ぶ内容には大きな変更がないことから、令和4年度の改訂に伴い、国家試験の出題範囲を大きく変更する必要はないと考えられるが、「デジタル技術・データサイエンス」、「健康の維持・増進をはかる公衆衛生」などが加わっていることから、新たな出題範囲の設定も必要である。
出題基準について:令和4年度改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムが目指す、Competency/Outcome-based Educationを実現するためには、Competencyが生涯にわたって発達するという柔軟性をもつことを前提としつつ、卒業時やカリキュラムの節目には何が期待されているかというOutcomeが、明確に述べられ、明示され、伝達される必要がある。このことを鑑み、令和4年度改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムを基に新たな薬剤師国家試験出題基準を作成するにあたっては、出題範囲を明確にするために令和4年度改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムの「学修事項」を受けた出題範囲としての「小項目の範囲」を設け、そこに必要な事項に絞り過不足なく記載する必要があると考えられた。
外国の薬学部を卒業した者に対する薬剤師国家試験について:「教育課程(大学までの教育課程含む)」、「教育内容(科目名のみではなく、シラバス等で内容の確認が必要)」、「実習時間数と実習内容、実習を受けるための要件」、「日本語の運用能力」などの情報から総合的に判断することが適切であるとの結論に至った。
薬学共用試験CBTと薬剤師国家試験の基礎系科目間の比較・検討について:薬学共用試験CBTでは、実施当初より全国の大学で統一した基準点(60%)を設けて実施している、CBTでは問題セット間での難易度の均一性も担保されている、年度間での難易度の均一化も保たれていることを勘案すると、薬学共用試験では出題難易度や公平性が担保されていると考えられる。
薬学共用試験CBTと薬剤師国家試験の勤務薬剤師の意識調査について:薬学共用試験CBTと薬剤師国家試験の現状について、勤務薬剤師を対象として意識調査を行なった結果、薬学共用試験CBT、薬剤師国家試験ともに形式、内容、難易度、必要性、科目構成、合格基準点、など全ての点において概ね現行で問題はないとの結論が得られた。
薬剤師国家試験の出題範囲について:「薬学教育モデル・コア・コアカリキュラム」の令和4年度改訂における大きな変更点は、「プロセス基盤型教育」から「アウト・カム基盤型教育」へのパラダイムシフトであり、学生の学び方に変化はあるが、学生が学ぶ内容には大きな変更がないことから、令和4年度の改訂に伴い、国家試験の出題範囲を大きく変更する必要はないと考えられるが、「デジタル技術・データサイエンス」、「健康の維持・増進をはかる公衆衛生」などが加わっていることから、新たな出題範囲の設定も必要である。
出題基準について:令和4年度改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムが目指す、Competency/Outcome-based Educationを実現するためには、Competencyが生涯にわたって発達するという柔軟性をもつことを前提としつつ、卒業時やカリキュラムの節目には何が期待されているかというOutcomeが、明確に述べられ、明示され、伝達される必要がある。このことを鑑み、令和4年度改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムを基に新たな薬剤師国家試験出題基準を作成するにあたっては、出題範囲を明確にするために令和4年度改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムの「学修事項」を受けた出題範囲としての「小項目の範囲」を設け、そこに必要な事項に絞り過不足なく記載する必要があると考えられた。
外国の薬学部を卒業した者に対する薬剤師国家試験について:「教育課程(大学までの教育課程含む)」、「教育内容(科目名のみではなく、シラバス等で内容の確認が必要)」、「実習時間数と実習内容、実習を受けるための要件」、「日本語の運用能力」などの情報から総合的に判断することが適切であるとの結論に至った。
結論
・現段階では、薬学共用試験の公的化とCBTによる国家試験必須問題の代用性とをリンクさせる必然性はないと考えられる。
・薬剤師にとっての基礎科目は業務を遂行する上での必須な能力であることから、現行のまま、国家試験においても基礎系科目の出題は必要であると考えられる。
・国家試験の出題範囲及び合格基準の現段階での変更は必要ないと考えられる。
・Student pharmacistの導入は在学中の参加型実務実習をさらに充実させ、より高度な知識や技術を兼ね備えた学生を社会に輩出することなど、我が国の医療界にとって必要であると考えられる。一方で、student pharmacistが実施可能な行為や責任体制などの検討も必要である。
・グローバル化が進む現状においては、国ごとに精査して決める制度が可能か、その必要性があるかをさらに検討する必要がある。
・薬剤師にとっての基礎科目は業務を遂行する上での必須な能力であることから、現行のまま、国家試験においても基礎系科目の出題は必要であると考えられる。
・国家試験の出題範囲及び合格基準の現段階での変更は必要ないと考えられる。
・Student pharmacistの導入は在学中の参加型実務実習をさらに充実させ、より高度な知識や技術を兼ね備えた学生を社会に輩出することなど、我が国の医療界にとって必要であると考えられる。一方で、student pharmacistが実施可能な行為や責任体制などの検討も必要である。
・グローバル化が進む現状においては、国ごとに精査して決める制度が可能か、その必要性があるかをさらに検討する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2025-07-08
更新日
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