適切な医薬品安全性評価のための国際整合化を考慮した医療情報データベースの品質管理・標準化に関する研究

文献情報

文献番号
202424022A
報告書区分
総括
研究課題名
適切な医薬品安全性評価のための国際整合化を考慮した医療情報データベースの品質管理・標準化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
横井 英人(国立大学法人 香川大学 医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 医療情報学講座)
  • 武田 理宏(大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座 医療情報学)
  • 石川 慎一郎(佐賀大学 医学部附属病院医療情報部)
  • 原田 紗世子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構  医療情報活用部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
17,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
【研究目的】
医薬品の安全性評価に資する医療情報データベースの品質管理手法を最適化し、国際的整合性を踏まえた信頼性の高いデータベースを構築するための検討課題について下記の3つの視点を考慮して整理することを目指した。
1.データの信頼性向上
医療情報データベースにおけるデータの正確性、妥当性、完全性を確保し、医薬品の安全性評価における信頼性を向上させる。
2.国際整合化
日本の医療情報データベースを国際的な基準に整合させ、グローバルな研究や評価に対応できるようにする。
3.効率的な品質管理手法の確立
データ収集、管理、チェックの各プロセスにおいて効率的かつ効果的な品質管理手法を確立し、運用コストを削減する。

【研究方法】
以下の方法で国際的整合性を踏まえた信頼性の高い医療情報データベースを構築するための検討課題の抽出とその対応策を検討した。
1.GAP分析
我が国のMID-NET®の品質管理方法をベースにした米国のSentinel Initiativeと英国のCPRDとの品質管理方法との違いについて比較分析し、“医療情報データベースの品質管理のあるべき姿”を検討した。なお、この検討には、「効率的な品質管理手法の確立」という点から“工数”を考慮した。
そして、①医療情報データベースの利用目的、②データ情報源、③データ集積方法、④データチェック、⑤データベース管理の5つの評価軸を設定し、各評価軸に対して具体的な選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを分析した。
2.実地調査
医療情報データベースにデータ提供する際の英国および米国の品質管理の状況について現地のデータ提供側の関係者へのインタビューも含めて情報収集し、特に、当該国における診断名登録の品質保証やコーディング、データクリーニングの手法について、我が国との違いと我が国の医療情報データベースの品質管理としての導入の是非について分析した。
3.電子カルテシステムの仕様調査
主要ベンダー7社8製品に対してヒアリング調査を実施し、電子カルテシステムのデータ管理方法、標準化対応状況、セキュリティ機能などを調査した。“医薬品の安全性評価に資する医療情報データベースの情報源としての電子カルテシステム”という観点から、傷病名や医薬品副作用情報のコーディングを含む管理方法に焦点を当て、情報収集を行った。
4.MID-NET®のデータ提供医療機関における課題検討
MID-NET®の構築時と運用時に情報提供医療機関から提供された電子カルテデータのMID-NET®の統合データベースへの移行に際して見られた問題事例を分析し、医療情報データベースの情報源となる電子カルテデータの品質管理における課題について検討した。

【結果と考察】
以下の主要な知見が得られた。
1.GAP分析
“医療情報データベースの品質管理のあるべき姿”について各評価軸で論点(課題)を整理した。
2.実地調査
医療情報データベースにデータ提供する際の英国(UK)や米国(US)における診断名登録の品質保証やデータクリーニングの重要性が確認された。
3.電子カルテシステムの仕様調査
日本の電子カルテシステムは、“医薬品の安全性評価に資する医療情報データベースの情報源”という観点から「傷病名」や「医薬品副作用情報の管理」および「データの標準化」において改善の余地があると考えられた。
4.MID-NET®のデータ提供医療機関における課題検討
情報源としての電子カルテデータの医療情報データベースへの移行(電子カルテデータの抽出:Extract、SS-MIX2️規約に基づくデータ変換:Transform、MID-NET®統合データベースへの変換データの読み込み:Load)において見られた12件の問題事例について考察した。
【結論】
本研究では、医薬品の安全性評価に資する医療情報データベースの品質管理手法について、我が国と欧米の比較を通じて、“医療情報データベースの品質管理のあるべき姿”を検討した。その結果、その品質管理は医療情報データベースの情報源となるデータの特性に大きく影響されるとの結論に至った。そこで、その情報源となる電子カルテシステムにおける各種診療情報データに焦点を絞った検討を行うこととした。特に電子カルテデータの中で医薬品の副作用のアウトカムと成り得る傷病名データに着目し、その電子カルテシステム上での品質管理を中心に分析した。これにより、国際的整合性を踏まえた日本の医療データベースの品質管理に関する課題を整理した。今後は『医薬品の安全性評価に資する医療情報データベースの品質確保のための留意点』(仮)の作成を行う予定である。

【繰越について】
当研究では2年度目に、欧州(英国)データ品質管理システムの実態調査を予定していた。当該調査については3年度目に繰り越しして実施予定である。

公開日・更新日

公開日
2025-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
202424022Z