指定薬物の指定に係る試験法の評価検証に資する研究

文献情報

文献番号
202424002A
報告書区分
総括
研究課題名
指定薬物の指定に係る試験法の評価検証に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 勉(湘南医療大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定薬物は、薬物による中枢興奮や抑制作用を実験動物の自発運動を含む一般行動観察、脳内アミン量の変化、受容体結合実験などの結果から指定が行われているが、幻覚作用の評価は非常に困難である。これまで、幻覚発現薬の評価には、マウスによる head twitch response(HTR)が主に用いられているが、その判別が困難である等から評価法の改良や新たな評価法の開発が求められている。市中に次々と出回る幻覚発現薬物を速やかに評価して、規制に繋げるためには、精度が高く、簡便で迅速な評価法の開発や各評価法の適正を明らかにすることが望まれる。そこで本研究では、指定薬物の指定に係る試験法の評価検証に資する研究において基礎研究を実施した。
研究方法
<分担研究-1>幻覚発現薬としてκ-オピオイド受容作動薬 U50,488H および 5-HT2 受容体作動薬 4-iodo-2,5-dimethoxy-α-methylbenzeneethanamine (DOI) を使用しマウスを用いた条件づけ場所嗜好性試験を実施した。さらに、マウスガラス玉覆い隠し試験を実施した。<分担研究-2>HTRを定量化できる自動測定装置の開発を試みた。<分担研究-3>本研究にて使用する U50,488H および DOI を合成し研究者に提供した。<分担研究-4>弁別刺激効果に対する般化試験、さらに自発運動に及ぼす影響を検討した。<分担研究-5>マウス異常行動(前肢洗顔行動・後肢引っ掻き行動・伏臥位)の観察と大脳皮質・線条体および側坐核・海馬各部位におけるモノアミン代謝を測定した。<分担研究-6>ドーパの遊離、ドーパ受容体 GPR143 とセロトニン受容体との機能連関を解析した。さらにマイクロダイアリシスを用いて、ドーパ、ドパミン、5-HT の同時測定を試みた。
結果と考察
<分担研究-1>幻覚発現薬としてκ-オピオイド受容作動薬 U50,488H および 5-HT2 受容体作動薬 DOI を使用しマウスを用いた条件づけ場所嗜好性試験を実施した。さらに、マウスガラス玉覆い隠し試験を実施した。既存の試験法に加えて精度が高く、簡便で迅速な評価法の開発に繋がった。<分担研究-2>本研究で作製した磁力測定装置により、マウスの首振り反応の発現回数を定量的に解析することが可能になった。<分担研究-3>本研究にて使用する U50,488H および DOI を合成し研究者に提供できた。<分担研究-4>精神刺激薬様の摂取感覚を持つにも関わらず、自発運動に影響を及ぼさない薬物が確認され、蓋然性評価系において、少なくともいくつかの評価系の組み合わせることが重要であると確認された。<分担研究-5>幻覚発現薬による異常行動は、マウス前肢洗顔行動とそれに続く伏臥位の発現頻度とが用量依存性、発現強度の相関性の観点から有効な観察基準と考えられた。<分担研究-6>GPR143 が5-HT2A 受容体応答を負に修飾することを示せた。
結論
本研究では、幻覚発現薬としてκ-オピオイド受容作動薬 U50,488Hおよび 5-HT2 受容体作動薬 DOIを使用することで指定薬物の指定に係る実験動物を用いた試験法の評価を実施した。本研究成果によって、既存の試験法に加えて精度が高く、簡便で迅速な評価法の開発に繋がった。これらの期待できる成果は指定薬物の指定に係る評価法、特に幻覚発現薬の評価に応用でき、厚生労働行政への貢献に繋がると考える。

公開日・更新日

公開日
2025-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-05
更新日
-

文献情報

文献番号
202424002B
報告書区分
総合
研究課題名
指定薬物の指定に係る試験法の評価検証に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 勉(湘南医療大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定薬物は、薬物による中枢興奮や抑制作用を実験動物の自発運動を含む一般行動観察、脳内アミン量の変化、受容体結合実験などの結果から指定が行われているが、幻覚作用の評価は非常に困難である。これまで、幻覚発現薬の評価には、マウスによる head twitch response(HTR)が主に用いられているが、その判別が困難である等から評価法の改良や新たな評価法の開発が求められている。市中に次々と出回る幻覚発現薬物を速やかに評価して、規制に繋げるためには、精度が高く、簡便で迅速な評価法の開発や各評価法の適正を明らかにすることが望まれる。
研究方法
<分担研究-1>幻覚発現薬としてκ-オピオイド受容作動薬 U50,488H および 5-HT2 受容体作動薬 4-iodo-2,5-dimethoxy-α-methylbenzeneethanamine (DOI) を使用しマウスを用いた条件づけ場所嗜好性試験を実施した。さらに、マウスガラス玉覆い隠し試験を実施した。<分担研究-2>HTRを定量化できる自動測定装置の開発を試みた。<分担研究-3>本研究にて使用する U50,488H および DOI を合成し研究者に提供した。<分担研究-4>弁別刺激効果に対する般化試験、さらに自発運動に及ぼす影響を検討した。<分担研究-5>マウス異常行動(前肢洗顔行動・後肢引っ掻き行動・伏臥位)の観察と大脳皮質・線条体および側坐核・海馬各部位におけるモノアミン代謝を測定した。<分担研究-6>ドーパの遊離、ドーパ受容体 GPR143 とセロトニン受容体との機能連関を解析した。さらにマイクロダイアリシスを用いて、ドーパ、ドパミン、5-HTの同時測定を試みた。
結果と考察
<分担研究-1>本試験(条件づけ場所嗜好性試験(嫌悪効果の評価)およびガラス玉覆い隠し試験)を用いることで、幻覚作用発現に伴う情動異常が評価可能であると考えられる。<分担研究-2>本研究で作製した磁力測定装置により、マウスの首振り反応の発現回数を定量的に解析することが可能になった。セロトニン受容体作用薬によるマウスの首振り反応の発現には、5-HT2A 受容体が重要な役割を果たしていることが示唆された。本解析手法は自動測定が可能であることから、危険ドラッグの催幻覚作用を迅速に予測する手法として、有用であると考えられる。<分担研究-3>本研究にて使用する U50,488H および DOI を合成し研究者に提供できた。<分担研究-4>精神刺激薬様の摂取感覚を持つにも関わらず、自発運動に影響を及ぼさない薬物が確認され、蓋然性評価系において、少なくともいくつかの評価系の組み合わせることが重要であると確認された。<分担研究-5>マウスを用いた伏臥位測定を実施すれば、stimulantの薬理学的特性を持たない幻覚発現薬DOIの効果を簡便かつ定性的に反映する行動指標となることを示唆する。<分担研究-6>ドーパ受容体GPR143 が5-HT2A 受容体応答を負に修飾することを示す。
結論
本研究成果によって、既存の試験法に加えて精度が高く、簡便で迅速な評価法の開発に繋がった。これらの期待できる成果は指定薬物の指定に係る評価法、特に幻覚発現薬の評価に応用でき、厚生労働行政への貢献に繋がると考える。

公開日・更新日

公開日
2025-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202424002C

収支報告書

文献番号
202424002Z