3次元再生軟骨・骨組織における安全性と有効性の確立

文献情報

文献番号
201006013A
報告書区分
総括
研究課題名
3次元再生軟骨・骨組織における安全性と有効性の確立
課題番号
H21-再生・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高戸 毅(東京大学 医学部附属病院 ティッシュエンジニアリング部・口腔外科)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 義弘(東京大学 医学部附属病院)
  • 鄭 雄一(東京大学大学院 工学系研究科)
  • 星 和人(東京大学 医学部附属病院)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 中村 憲正(大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)
  • 名井 陽(大阪大学 医学部附属病院未来医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
47,205,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、3次元再生軟骨、TEC再生関節軟骨およびPRP複合3次元骨の医師主導治験を実施し、産業化することを最終目標として、治験開始に必要な品質および安全性の確認(厚生労働省への確認申請)を行い、確認申請承認を受けることを目的としている。
研究方法
平成22年度には、確認申請準備と医師主導治験実施体制の構築を行った。3次元再生軟骨では、足場素材のほ乳類細胞を用いる染色体異常試験、モルモットを用いる皮膚感作性試験などを行った。再生軟骨製品の安全性を裏付けるデータとして、マウス・ビーグルを用いた移植実験を行った。TEC再生関節軟骨では、スキャフォールドフリー滑膜間葉系幹細胞由来人工組織(TEC)の軟骨再生能に関して、移植細胞や使用動物の骨成熟(年齢)の与える影響に関して検討を行った。PRP複合3次元骨に関しては、大動物における安全性・有効性を評価した。
結果と考察
3次元再生軟骨では、色体異常試験、皮膚感作性試験などで足場素材の安全性が確認された。マウスおよびビーグルを用いた移植実験で、移植後6ヶ月で腫瘍発生、周囲組織の反応は見られず、安全性が支持された。さらに、臨床研究プロトコールを確立し、患者調査票ならびに症例報告書書式などを作成し、治験開始に必要な臨床研究実施体制を確立した。TEC再生関節軟骨では、間葉系幹細胞の増殖、軟骨分化能は年齢に影響されないことが明らかとなった。再生軟骨の質的評価で年齢は影響を及ぼさないことが明らかとなった。また厚労省ヒト幹細胞臨床研究開始に必要な研究プロトコールおよび概要書、手順書等の文書作成を完成させ、さらに細胞調製施設内のコンピュータ制御工程管理システムの改良を終了させた。PRP複合3次元骨に関しては、テトラポッド型人工骨の生体移植後の強度解析を実施し、既存人工骨に対して有意に強度が上昇することを見出した。さらに、治験事前全相談をPMDA と行った。
結論
3次元再生軟骨は、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」にもとづく審議を経て実施許可を受けたことから、本年度の目標であった確認申請準備と医師主導治験実施体制の構築は完了したと判断された。TEC再生関節軟骨ではMSCによる軟骨再生治療において年齢による影響は認められなかった。PRP複合3次元骨に関しては、大動物試験により、PRPとテトラポッド型人工骨の併用に関する有効性と安全性が確認された。しかし、PRPの調製法の更なる検討も必要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201006013Z