歯科再生医療拠点を活用した次世代型歯周組織再生療法の開発

文献情報

文献番号
201006007A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科再生医療拠点を活用した次世代型歯周組織再生療法の開発
課題番号
H21-再生・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
村上 伸也(大阪大学 大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 芳樹(大阪大学医学部附属病院 未来医療センター )
  • 李 千萬(大阪大学医学部附属病院 未来医療センター )
  • 橋川 智子(大阪大学 大学院歯学研究)
  • 山田 聡(大阪大学 歯学部附属病院 )
  • 北村 正博(大阪大学 大学院歯学研究)
  • 大門 貴志(兵庫医科大学 医学部数学教室)
  • 齋藤 正寛(東京理科大学 基礎工学部 生物工学科 )
  • 松下 健二(国立長寿医療センター 口腔疾患研究部 )
  • 阿久津 英憲(国立成育医療センター研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 脂肪組織由来未分化間葉系幹細胞(ADSC)と足場材料を組み合わせた新規歯周組織再生療法を樹立することを目的に、本年度は、ビーグル犬歯周病モデルを用いて、ADSCと併用する適切な足場材を決定するとともに、ADSCとの併用時の歯周組織再生誘導効果と安全性を検討した。
研究方法
 多孔性リン酸三カルシウム(β-TCP)のブロック体とフィブリンゲルをADSC と併用する足場材の候補に選定し、ビーグル犬歯周組織欠損モデルを用いて、ADSC と併用する足場材としての有用性を評価した。そして、人への臨床応用が認められているフィブリン製剤であるボルヒール®の歯周組織の創傷治癒に及ぶす影響をビーグル犬歯周組織欠損モデルを用いて検討した。また、ボルヒール®調整方法と硬化状態や硬化時間との関連性を検討して、歯周組織欠損部に用いる足場材に適したボルヒール®の調整法を探索した。さらに、ビーグル犬2壁性歯周組織欠損モデルを用いて、ボルヒール®を足場材としたADSC含有移植材投与部位(試験側)とボルヒール®単独投与部位(対照側)の歯周組織再生状態を、X線的に評価するとともにと、投与6週後における組織標本を作製して組織学的に解析した。
結果と考察
 ビーグル犬歯周組織欠損モデルにおいて、ADSCの含有の有無に関わらず、β-TCP投与部位では歯肉が陥凹した状態で治癒する場合が多かったが、フィブリンゲル投与部位では、通常と同様の治癒過程を示したことから、フィブリンゲルがADSCと併用する足場材として有用であることが明らかとなった。また、ボルヒール®投与部位には異常な治癒所見は観察されず、そのA液とB液をADSCのPBS懸濁液でそれぞれ6倍に希釈して調整することにより足場材としての賦形性やスペースメーキング機能が保持されたことから、ボルヒール®の足場材としての安全性と有用性が明らかとなった。さらに、ADSC含有移植材投与部位は、対照側に比べて、新生骨の形成量が多く、歯肉上皮の根尖方向への増殖が少ない傾向が認められたことから、ADSC含有移植材が歯周組織再生に有効に作用していることが示唆された。
結論
 ADSCと併用する足場材としてフィブリン製剤であるボルヒール®が有効であることが明らかとなり、ボルヒール®を足場材としたADSC含有移植材が歯周組織再生を効果的に誘導する可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-01-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201006007Z