テレワークの常態化による労働者の筋骨格系への影響や生活習慣病との関連性を踏まえた具体的方策に資する研究

文献情報

文献番号
202422003A
報告書区分
総括
研究課題名
テレワークの常態化による労働者の筋骨格系への影響や生活習慣病との関連性を踏まえた具体的方策に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22JA1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
甲斐 裕子(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 )
研究分担者(所属機関)
  • 福田 洋(順天堂大学 先端予防医学・健康情報学講座)
  • 中田 由夫(筑波大学 体育系)
  • 田淵 貴大(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
  • 金森 悟(帝京大学 大学院 公衆衛生学研究科)
  • 吉本 隆彦(昭和医科大学 医学部 衛生学公衆衛生学講座)
  • 渡邊 裕也(びわこ成蹊スポーツ大学 スポーツ学部)
  • 北濃 成樹(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所)
  • 菊池 宏幸(東京医科大学 公衆衛生学分野)
  • 海塩 渉(東京科学大学 環境・社会理工学院 建築学系)
  • 和田 彩(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,637,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
テレワークの常態化により柔軟な働き方が可能となる一方で、身体活動量の低下や生活習慣の乱れ、作業環境の不備など、新たな健康課題が懸念されている。そこで本研究では、安全衛生に配慮したテレワークを社会で推進することを目的に、課題①テレワークの状況の把握、課題②テレワークの健康影響の解明、課題③テレワーカーへの介入策の検討を実施し、その成果を踏まえて社会実装を見据えた実践的ガイドの作成を目指した。研究期間は3年間であり、本報告では最終年度である3年目の研究成果を総括する。
研究方法
課題①では、JASTIS調査(n=8,292)を用いて、テレワーク頻度と嗜好品使用(タバコ・飲酒)との関連を横断的に分析した。課題②では、MYLSスタディ(n=8,620)および不動産建設業の従業員(n=42~85)を対象とした縦断データを用い、テレワークが生活習慣、体力、体重、腰痛等に与える影響を検討した。課題③では、6企業334名を対象に、12週間のクラスターランダム化比較試験を実施し、自宅環境改善・身体活動促進・腰痛対策を統合した多要素介入プログラムの効果を評価した。さらに、研究参加者や企業担当者へインタビューを行った。ガイドについて企業の健康管理担当者および産業保健専門職からの意見を得るために、産業保健研究会と共同で研究会を実施した。
結果と考察
課題①では、週1日以上テレワークを実施している群において、タバコ依存および問題飲酒の有病率が有意に高いことが確認された。課題②では、テレワークが睡眠や食行動には好影響を与える一方で、身体的不活動や体重増加との関連も明らかとなった。課題③では、主に非対面型(メールや動画)の介入により、自宅照度の改善および主観的腰痛の軽減が認められた。産業保健研究会では、ガイドに対しての期待や修正点について多くの意見が寄せられた。これらの成果や知見をもとに、テレワーク下での健康課題に対応するための対策を体系化したガイドを作成し、動画などのツールとともに無償公開した。
結論
本研究を通じて、テレワークに伴う健康影響の実態が明らかになり、その一部に対する対策の有効性も示された。最終成果物であるガイドは、科学的エビデンスと実務的知見を統合したものであり、企業における安全衛生に配慮したテレワークの推進に資することが期待される。今後は、本ガイドの普及啓発を進めるとともに、実際の活用状況や効果についての検証が求められる。

公開日・更新日

公開日
2025-08-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-08-08
更新日
-

文献情報

文献番号
202422003B
報告書区分
総合
研究課題名
テレワークの常態化による労働者の筋骨格系への影響や生活習慣病との関連性を踏まえた具体的方策に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22JA1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
甲斐 裕子(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 )
研究分担者(所属機関)
  • 福田 洋(順天堂大学 先端予防医学・健康情報学講座)
  • 中田 由夫(筑波大学 体育系)
  • 田淵 貴大(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
  • 金森 悟(帝京大学 大学院 公衆衛生学研究科)
  • 吉本 隆彦(昭和医科大学 医学部 衛生学公衆衛生学講座)
  • 渡邊 裕也(びわこ成蹊スポーツ大学 スポーツ学部)
  • 北濃 成樹(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所)
  • 菊池 宏幸(東京医科大学 公衆衛生学分野)
  • 海塩 渉(東京科学大学 環境・社会理工学院 建築学系)
  • 和田 彩(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
テレワークの常態化により柔軟な働き方が可能となる一方で、身体活動量の低下や作業環境の不備に伴う新たな健康課題が懸念されている。そこで本研究では、安全衛生に配慮したテレワークを社会で推進することを目的に、課題①テレワークの状況の把握、課題②テレワークの健康影響の解明、課題③テレワーカーへの介入策の検討を実施し、その成果を踏まえて社会実装を見据えた実践的ガイドの作成を目指した。本報告では3年間の全研究期間の成果を総括する。
研究方法
課題①では、大規模インターネット調査に参加した労働者と全国の上場企業を対象に、テレワークの実施状況、作業環境、企業の安全衛生管理の実態を横断的に調査した。課題②では、健診受診者コホートや特定企業の従業員を対象とした横断・縦断研究により、テレワーク頻度と身体活動量、生活習慣、体力、身体症状等との関連を加速度計や健康診断データ等を用いて分析した。課題③では、テレワーカーを対象とした介入策を検討するために、先行研究をレビューするとともに先行事例について調査した。それらの知見を踏まえて、自宅環境改善、身体活動促進、腰痛対策など多要素からなる12週間の介入プログラムを開発し、その効果をクラスターランダム化比較試験で検証した。加えて、産業保健で働く人が参加する産業保健研究会と共同で研究会を毎年1回以上実施し、現場の課題や研究成果を共有した。最終年度には、ガイドの原案を研究会で提示して、産業保健の専門職や企業の健康管理担当者から広く意見を収集した。
結果と考察
労働者の26%、上場企業の69.9%がテレワークを実施していた。企業の健康支援、特に運動不足対策は不十分であった。自宅の作業環境の不備は身体症状と関連し、テレワーカーは非実施者よりタバコ・アルコール依存の割合が有意に高かった。テレワークは一貫して身体活動量の低下(例:週5日以上で約4,000歩/日減少)、座位時間および体重の増加と関連する一方で、睡眠等の生活習慣には良い影響もみられた。生活習慣病リスクや筋骨格系愁訴との明確な関連は短期の追跡では限定的であった。介入により、歩数に有意な改善は見られなかったものの、自宅の照度改善や腰痛の主観的改善、体操実施率の向上が認められた。産業保健研究会では、研究全体やガイドに対しての期待や改善点等について多くの意見が寄せられた。これらの成果や知見をもとに、テレワーク下での健康課題に対応するための対策を体系化したガイドを作成し、動画などのツールとともに無償公開した。
結論
本研究により、テレワークは社会に定着する一方、企業の支援が不十分な実態が明らかになった。テレワークは、身体活動量の低下や体重増加など負の影響もあるが、睡眠等の生活習慣には良い影響があることも確認された。他方、生活習慣病リスク指標や身体症状との関連は一様ではなく、本研究の追跡期間では明確な因果関係を特定するには至らなかった。研究成果を社会実装するため、科学的知見と現場の実務知を統合した「企業担当者のための健康に配慮したテレワーク実践ガイド―アクティブ・テレワークのすすめ」を作成・公開した。今後は、本ガイドの普及啓発や活用状況の確認が必要である。

公開日・更新日

公開日
2025-08-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-08-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202422003C

収支報告書

文献番号
202422003Z