文献情報
文献番号
202421056A
報告書区分
総括
研究課題名
医療関係職種の生涯活躍できる環境の整備のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA2008
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
上田 克彦(国際医療福祉大学(大学院))
研究分担者(所属機関)
- 板橋 匠美(東京医療保健大学 総合研究所)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、超高齢社会を迎える日本において、医療関係職種がその専門性を活かしながら、年齢や就労形態にかかわらず、生涯にわたり活躍できる環境の整備に資する基礎資料を得ることを目的とする。医療・福祉分野では急速な少子高齢化と生産年齢人口の減少に伴い、深刻な人材不足が懸念されており、今後の持続可能な医療提供体制の構築には、医療関係職種の多様な働き方や専門性の向上と多職種連携の推進が不可欠である。本研究では、特に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師を対象とし、各職能団体と連携して実態調査と意識調査を行うことで、各職種が現在直面している課題と好事例の実態を明らかにする。その上で、職種ごとの適正な供給・配置に向けた課題の可視化を図り、今後の厚生労働行政における政策立案の指針となることが期待される。
研究方法
令和6年度の本研究では、まず対象とする6職種の委員会を設置し、各職種が医療関係職種が業を行う医療提供施設や施術所(以下「医療提供施設等」という。)以外も含めてどのような場で活躍しているかを把握するための実態調査および意識調査を実施した。調査は都道府県の職能団体を通じて実施し、具体的には、就業場所、業務内容、他職種・行政との関係性、法令適合性、就業者の満足度、不満の要因、将来の就業継続意向などを調査項目とした。また、職能団体の運用実態に応じて、調査方法を柔軟に設計し、可能な限り多くの回答を得られるよう配慮した。得られたデータについては、定量的および質的に分析を行い、法令の範囲内で多職種と良好な関係を築きながら、従来の医療提供施設等とは異なる場で業務を展開している「好事例」を定義し、抽出した。これらの事例は、次年度に実地調査・ヒアリングを行う対象として位置付け、より具体的な実践的知見を得るための基礎資料とする。
結果と考察
令和6年度の調査の結果、6職種の多くにおいて医療提供施設等外での業務実施が一定程度存在しており、訪問・在宅領域や教育、企業内活動、地域包括支援センター等がその主な活躍の場として報告された。特に理学療法士や言語聴覚士では、地域リハビリテーションや小児支援領域での多職種連携が進んでおり、高い満足度と専門性の維持が認められた。一方で、活動の継続や拡大に困難を感じる職種も少なくなかった。あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師においては、施術所以外の場での活動に関しては、明確なガイドラインがなく、行政側との関係構築の困難性が課題として挙げられた。これらの分析からは、同じ「医療関係職種」であっても、制度的背景や職能団体の支援体制によって、活躍の場の広がりや満足度に顕著な差が存在することが示された。好事例に該当するケースでは、地域との協働体制や法令遵守の工夫が共通点として見られ、今後の展開に向けた指標となり得る。
結論
本研究により、医療関係職種が生涯にわたり活躍できる環境の整備に向けた現状と課題が明らかになった。医療提供施設等外での業務展開は一部職種で既に進行しているものの、行政との連携体制の構築は依然として不十分であり、今後、進めていくことが重要である。令和7年度に実施予定の好事例への詳細調査では、現場の成功要因や阻害要因を明確にし、政策提言につなげることが期待される。本研究は、厚生労働省が策定する将来的な人材確保政策や、医療・福祉分野における多様なキャリア形成を進めていくための基礎資料となるものであり、今後の実効性ある施策の形成に寄与する。最終的には、医療関係職種が個々の専門性を活かしながら、地域社会に根ざした形で生涯にわたり活躍するためには、医療関係職種において自らの将来像を描くとともに、行政や職能団体等が綿密に連携し、共に持続可能な医療・福祉サービスの提供に向けた取組を進めていくことが重要である。
公開日・更新日
公開日
2026-01-28
更新日
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