文献情報
文献番号
202420005A
報告書区分
総括
研究課題名
多様な病態に対応可能な肝疾患のトータルケアに資する人材育成及びその活動の質の向上等に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HC2002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
江口 有一郎(医療法人ロコメディカル ロコメディカル総合研究所)
研究分担者(所属機関)
- 竹内 泰江(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター )
- 大原 正嗣(北海道大学病院 消化器内科)
- 宮坂 昭生(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科肝臓分野)
- 内田 義人(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科)
- 玉城 信治(武蔵野赤十字病院 消化器科)
- 芥田 憲夫(虎の門病院肝臓内科)
- 裴 英洙(ハイ エイシュ)(慶應義塾大学 健康マネジメント研究科)
- 池上 正(東京医科大学 茨城医療センター)
- 米澤 敦子(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
- 佐藤 光明(山梨大学 医学部消化器内科)
- 平松 活志(福井県済生会病院 内科)
- 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
- 飯島 尋子(兵庫医科大学 医学部)
- 平井 啓(大阪大学 コミュニケーションデザイン・センター/大学院医学系研究科生体機能補完医学講座/人間科学研究)
- 藤井 英樹(大阪公立大学 医学部 肝胆膵病態内科学)
- 河野 豊(北海道医療大学 予防医療科学センター)
- 日高 勲(山口大学医学部附属病院 肝疾患センター)
- 川口 巧(久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門)
- 井出 達也(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
- 田中 靖人(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
- 高橋 宏和(国立大学法人佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター)
- 川久保 愛(佐賀大学 医学部)
- 前城 達次(琉球大学医学部附属病院第一内科)
- 新垣 伸吾(琉球大学 病院 第一内科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
23,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
肝炎医療コーディネーター(肝Co)は、肝炎の予防・医療に関わる人材として支援や医療相談を担い、令和5年度までに全国で約30,000名が養成された。我々は平成29年度6か年(前研究班)において、全国規模の調査を基に、肝Coの支援方法やツール開発を進めるとともに、二次医療圏を単位とした配置や職種別マニュアルの整備、活動評価のためのフォローアップシステムを構築し、近年では、非ウイルス性肝疾患を含むトータルケアに資する人材育成の方策も強化してきた。本研究班では、令和4年改正の肝炎対策基本指針に基づき、肝Coの育成・活動推進、情報共有・連携の強化、医療制度の均てん化に資する方策を検討し、加えて、肝疾患患者の適切な受検・受診・受療・フォローアップを促進するため、肝Coの活動を効率的に支援する資材開発を行う。
研究方法
本研究班は、①肝Coの養成方法と習得状況の評価②肝Coのスキルアップ方法と技能向上の評価③適切な配置場所や理想的な配置数の設定と多職種から構成された肝Coの連携による効果的な活躍の方策④肝Coの本来業務における役割・付加価値・「あるべき姿」について⑤肝Coの知識面・活動度合等質的評価と改善策⑥多様な病態を呈する肝疾患全体や各種医療制度の活用促進をコーディネートできる肝Coの適切な養成についての以上6つの課題についてi)中央部門(ii)地域部門(iii)非ウイルス部門(iv)評価・開発・展開部門からなる4部門と、班員の所属する医療機関等の肝Coが研究協力者として参画し、全国レベルでチームを構成、連携し研究代表者が統括し研究を実施する。
結果と考察
1.肝Coの育成の現状と課題への対策
全国47都道府県において、養成研修会およびスキルアップ研修会の開催方法、内容、確認テストの有無、拠点病院の関与、肝Co研修の認定期間の有無や期間などは、地域ごとの肝疾患の状況により多様な違いがあることが明らかとなった。その結果を基に、必須項目と選択項目のランク分けを実施し、最終年度では全国共通の基礎的な養成要項を策定するとともに、地域特性に応じたオプショナル要項を整備した知識を確認しながら学べる問題集形式を採用したテキストを完成させ、全国展開し、その意義を検証する。
さらに、肝Co活動の均てん化および活動促進を目的として、職種別マニュアル(ことはじめ編・応用編)を公開し活用を開始した。加えて、肝疾患に関する各種制度のさらなる活用を推進するため、運用マニュアルの作成も進めている。
2.肝Coの育成後の活動支援
肝Co活動の標準化を目指し、ポータルサイトを全面リニューアルし公開した。また肝Coの知識向上や活動促進に資する情報発信・評価、連携構築を目的としたLINE「肝Co活動応援団」の活用を継続した結果、一定の評価を得ている。LINEの活用は最新情報の共有が円滑化でき、現地研修会や講演会に加えて全国WEB研修会への参加も可能となり、距離の課題が軽減された。さらに、LINEの機能を活用し、全国規模のアンケート調査も実施できるようになった。課題としては運用コストが挙げられるため、費用を抑える方法を試行している。
加えて、各地域の活動支援として「肝Coサポートプログラム」を開始した。研修会の資材やコンテンツの開発・提供を行ってきたが、資材活用や企画・運営を現場で担うことは難しいとの課題が明らかになった。そこで、先進的な施設の肝Coで構成されたメンバーを要望のある施設や自治体に派遣し、研修会の開催支援を行う仕組みを導入し、その意義を確認した。
3.患者肝Coの活動支援
肝Coとして、患者会や自治会などの活動推進に資する方策の開発を進めるため、肝炎患者(患者・家族・遺族など)の活躍を支援する「患者部会」を立ち上げた。
まず、患者講義の感想文をまとめた『肝炎患者から学生さんへ』を完成させ、日本肝臓学会総会で展示し、全国展開を開始。養成研修会やスキルアップ研修会の教材・副読本として活用されている。また、患者肝Coの視点から活動を支援する「もしもシリーズ」第4弾『もしも患者さんが肝炎医療コーディネーターになったら』を制作し、患者肝Coの活動指針となる資材を完成させたため次年度展開評価を行う。
全国47都道府県において、養成研修会およびスキルアップ研修会の開催方法、内容、確認テストの有無、拠点病院の関与、肝Co研修の認定期間の有無や期間などは、地域ごとの肝疾患の状況により多様な違いがあることが明らかとなった。その結果を基に、必須項目と選択項目のランク分けを実施し、最終年度では全国共通の基礎的な養成要項を策定するとともに、地域特性に応じたオプショナル要項を整備した知識を確認しながら学べる問題集形式を採用したテキストを完成させ、全国展開し、その意義を検証する。
さらに、肝Co活動の均てん化および活動促進を目的として、職種別マニュアル(ことはじめ編・応用編)を公開し活用を開始した。加えて、肝疾患に関する各種制度のさらなる活用を推進するため、運用マニュアルの作成も進めている。
2.肝Coの育成後の活動支援
肝Co活動の標準化を目指し、ポータルサイトを全面リニューアルし公開した。また肝Coの知識向上や活動促進に資する情報発信・評価、連携構築を目的としたLINE「肝Co活動応援団」の活用を継続した結果、一定の評価を得ている。LINEの活用は最新情報の共有が円滑化でき、現地研修会や講演会に加えて全国WEB研修会への参加も可能となり、距離の課題が軽減された。さらに、LINEの機能を活用し、全国規模のアンケート調査も実施できるようになった。課題としては運用コストが挙げられるため、費用を抑える方法を試行している。
加えて、各地域の活動支援として「肝Coサポートプログラム」を開始した。研修会の資材やコンテンツの開発・提供を行ってきたが、資材活用や企画・運営を現場で担うことは難しいとの課題が明らかになった。そこで、先進的な施設の肝Coで構成されたメンバーを要望のある施設や自治体に派遣し、研修会の開催支援を行う仕組みを導入し、その意義を確認した。
3.患者肝Coの活動支援
肝Coとして、患者会や自治会などの活動推進に資する方策の開発を進めるため、肝炎患者(患者・家族・遺族など)の活躍を支援する「患者部会」を立ち上げた。
まず、患者講義の感想文をまとめた『肝炎患者から学生さんへ』を完成させ、日本肝臓学会総会で展示し、全国展開を開始。養成研修会やスキルアップ研修会の教材・副読本として活用されている。また、患者肝Coの視点から活動を支援する「もしもシリーズ」第4弾『もしも患者さんが肝炎医療コーディネーターになったら』を制作し、患者肝Coの活動指針となる資材を完成させたため次年度展開評価を行う。
結論
全国レベルで肝Coの育成と活動支援を進める中で、養成方法やスキルアップの手法、配置場所ごとの効果的な活動モデルを構築するとともに、肝Co間の情報共有や連携強化に向けた方策を推進している。
また、医療制度の活用において地域・施設間の格差を解消し、均てん化を図るため、資材やコンテンツを制作し、全国展開を進めている。
最終年度には、多様な病態を持つ肝疾患患者が適切な受検・受診・受療・フォローアップにつながるよう、残された課題を明確化し、肝Coの活動を効率的に支援するための資材や方策を開発し、全国展開を行う。
また、医療制度の活用において地域・施設間の格差を解消し、均てん化を図るため、資材やコンテンツを制作し、全国展開を進めている。
最終年度には、多様な病態を持つ肝疾患患者が適切な受検・受診・受療・フォローアップにつながるよう、残された課題を明確化し、肝Coの活動を効率的に支援するための資材や方策を開発し、全国展開を行う。
公開日・更新日
公開日
2025-11-26
更新日
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