文献情報
文献番号
202419018A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV陽性者に対する精神・心理的支援方策の開発、及びHIV医療と精神科医療の連携体制構築に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24HB1006
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
池田 学(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科情報統合医学 精神医学教室)
研究分担者(所属機関)
- 橋本 衛(近畿大学 医学部)
- 金井 講治(三重大学 保健管理センター)
- 白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター HIV/AIDS先端医療開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
7,692,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
統括(池田):全国のエイズ診療拠点病院の身体科医(感染症内科医・内科医)に対して精神科医療機関との連携に関するアンケート調査を行い、全国の精神科連携の実態やニーズを明らかにすることを目的とする。
研究1(白阪):精神疾患に罹患しているHIV陽性者が必要としている支援を明らかにする。
研究2(橋本):HIV陽性高齢者におけるHANDならびに認知症の実態を明らかにする。
研究3(金井):本研究は、若年HIV陽性者(Young People Living with HIV:YLHIV)の心理社会的課題に関する国際的知見を体系的にレビューし、スティグマ、社会的孤立・孤独、精神的健康の3点に焦点を当て、今後の支援の方向性を示すことを目的とした。
研究1(白阪):精神疾患に罹患しているHIV陽性者が必要としている支援を明らかにする。
研究2(橋本):HIV陽性高齢者におけるHANDならびに認知症の実態を明らかにする。
研究3(金井):本研究は、若年HIV陽性者(Young People Living with HIV:YLHIV)の心理社会的課題に関する国際的知見を体系的にレビューし、スティグマ、社会的孤立・孤独、精神的健康の3点に焦点を当て、今後の支援の方向性を示すことを目的とした。
研究方法
統括:全国のエイズ診療拠点病院の身体科医に対して、Webアンケート調査を行った。調査内容は、勤務地等の基本情報、自施設の精神科併設の有無、精神科連携における困難の有無とその理由等であった。
研究1:大阪医療センター感染症内科通院中のHIV陽性者のうち、院内外の精神科に通院中の100名を対象に、無記名・自記式の質問紙を配布、郵送で回収する。
研究2:国立病院機構大阪医療センターに通院中の60歳以上のHIV陽性高齢者のうち、一次調査(スクリーニング検査)において認知機能低下が疑われた高齢者27名に対して、詳細な認知機能検査、MRI検査、認知症専門医による診察(二次調査)を実施する。
研究3:海外におけるYLHIVに関する文献レビューを行い、スティグマ、社会的孤立・孤独、精神的健康との関連について調査した。調査結果を基に、日本における若年HIV陽性者の調査に適切な質問項目を検討した。
研究1:大阪医療センター感染症内科通院中のHIV陽性者のうち、院内外の精神科に通院中の100名を対象に、無記名・自記式の質問紙を配布、郵送で回収する。
研究2:国立病院機構大阪医療センターに通院中の60歳以上のHIV陽性高齢者のうち、一次調査(スクリーニング検査)において認知機能低下が疑われた高齢者27名に対して、詳細な認知機能検査、MRI検査、認知症専門医による診察(二次調査)を実施する。
研究3:海外におけるYLHIVに関する文献レビューを行い、スティグマ、社会的孤立・孤独、精神的健康との関連について調査した。調査結果を基に、日本における若年HIV陽性者の調査に適切な質問項目を検討した。
結果と考察
統括:115名から回答を得られ、有効回答数は107名であった。全国のエイズ診療拠点病院の身体科医の45.8%がHIV陽性者を精神科に紹介することや、精神科の受診・通院継続を促すことに困難を感じていた。主な理由は患者の精神科受診への消極的態度や精神科連携の経験不足が挙げられた。困難を感じない医師は、日頃から精神科との連携経験があり、それが困難さの軽減に寄与していると考えられた。今後は、患者の偏見解消に向けた啓発や、感染症内科と精神科の連携体制の強化が重要であると示唆された。
研究1:今年度は精神科を受診しているHIV陽性者の援助ニーズに関する質問紙の構成を行い、院内の倫理委員会の承認を得られたため、次年度に調査の実施および結果の解析を行う。
研究2:22名の対象者から二次調査への同意が得られた。14名に対して認知機能検査を実施し、5名に対して認知症専門医による評価を実施した。5名中2名は正常範囲内で、残りの3名で認知機能低下を認め、診断はすべて非健忘型MCIであった。また認知機能低下を認めた2名で振戦を伴っていた。HIV陽性高齢者では、非健忘型MCIを呈しやすい可能性が示唆された。また振戦などの運動障害を伴いやすい可能性が示唆された。
研究3:YLHIVは社会的孤立・孤独のリスクが高く、服薬アドヒアランス低下や精神的不調と関連する。また、性的指向や貧困などとの交差的スティグマも精神的健康に影響を及ぼすYLHIVの精神的健康問題は、多岐にわたり、その有病率は同世代と比べて著しく高い。YLHIV特有の脆弱性として発達段階における課題があり、精神的健康悪化への経路としてスティグマ、孤立、サポートの相互作用が考えられる。また現行のソーシャルサポートシステムのギャップとニーズを認める。
研究1:今年度は精神科を受診しているHIV陽性者の援助ニーズに関する質問紙の構成を行い、院内の倫理委員会の承認を得られたため、次年度に調査の実施および結果の解析を行う。
研究2:22名の対象者から二次調査への同意が得られた。14名に対して認知機能検査を実施し、5名に対して認知症専門医による評価を実施した。5名中2名は正常範囲内で、残りの3名で認知機能低下を認め、診断はすべて非健忘型MCIであった。また認知機能低下を認めた2名で振戦を伴っていた。HIV陽性高齢者では、非健忘型MCIを呈しやすい可能性が示唆された。また振戦などの運動障害を伴いやすい可能性が示唆された。
研究3:YLHIVは社会的孤立・孤独のリスクが高く、服薬アドヒアランス低下や精神的不調と関連する。また、性的指向や貧困などとの交差的スティグマも精神的健康に影響を及ぼすYLHIVの精神的健康問題は、多岐にわたり、その有病率は同世代と比べて著しく高い。YLHIV特有の脆弱性として発達段階における課題があり、精神的健康悪化への経路としてスティグマ、孤立、サポートの相互作用が考えられる。また現行のソーシャルサポートシステムのギャップとニーズを認める。
結論
統括:本調査により、エイズ診療拠点病院の感染症内科医・内科医の約半数が、HIV陽性者の精神科紹介や受診継続支援に困難を感じていることが明らかとなった。主な要因は、患者の精神科受診への拒否感や連携経験の不足であった。今後は、啓発活動の推進、受け入れ可能な精神科医療機関の情報提供、精神科医療スタッフの育成、そして感染症内科と精神科の連携体制の強化が重要である。
研究1:次年度には精神疾患に罹患しているHIV陽性者が必要としている支援を明らかにし、適切な精神医療および心理社会的支援を提供できるように医療体制を整えるための知見を得る。
研究2:高齢HIV陽性患者の認知機能障害の実態調査を開始し、5名の対象者の調査が終了した。HIV陽性高齢者では、非健忘型MCIを呈しやすい可能性が示唆された。また振戦などの運動障害を伴いやすい可能性も示唆された。
研究3:本文献レビューは、若年HIV陽性者(YLHIV、概ね15~30歳)が、社会的孤立・孤独感(SIL)、多様な形態のスティグマ(顕在的、予期的、内在化)、そして高い有病率の精神的健康問題(うつ病、不安、自殺念慮など)という、深刻な心理社会的課題に直面していることを明らかにした。
研究1:次年度には精神疾患に罹患しているHIV陽性者が必要としている支援を明らかにし、適切な精神医療および心理社会的支援を提供できるように医療体制を整えるための知見を得る。
研究2:高齢HIV陽性患者の認知機能障害の実態調査を開始し、5名の対象者の調査が終了した。HIV陽性高齢者では、非健忘型MCIを呈しやすい可能性が示唆された。また振戦などの運動障害を伴いやすい可能性も示唆された。
研究3:本文献レビューは、若年HIV陽性者(YLHIV、概ね15~30歳)が、社会的孤立・孤独感(SIL)、多様な形態のスティグマ(顕在的、予期的、内在化)、そして高い有病率の精神的健康問題(うつ病、不安、自殺念慮など)という、深刻な心理社会的課題に直面していることを明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2026-10-20
更新日
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