文献情報
文献番号
202419007A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症及びその併存疾患や関連医療費の実態把握のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HB1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
- 谷口 俊文(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院・感染制御部)
- 佐藤 大介(藤田医科大学 大学院医学研究科)
- 横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症内科 / エイズ治療開発センター)
- 今橋 真弓(柳澤 真弓)(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
- 野上 恵嗣(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部小児科学講座)
- 荻原 建一(奈良県立医科大学 小児科)
- 稲垣 有佐(奈良県立医科大学 医学部)
- 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
24,108,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、日本全国の医療保険情報を網羅するナショナルデータベース(NDB)を活用し、HIV感染症の診断から治療、さらに併存疾患の実態や医療費、治療法の費用対効果について総合的に評価することを目的とする。従来の拠点病院調査や感染症法に基づく届出と異なり、NDBは外来診療所のデータも含むため、より精緻な実態把握が可能である。
研究方法
データ源: NDB(2014年1月~2021年12月)を用いて、HIV確認検査、抗HIV療法(ART)開始状況、STI検査の同時実施率、併存疾患の発症状況、入院歴、医療費などを集計した。
・ARTを受けたHIV感染者(約28,000人)。
・HIV感染者の医療費推移と年齢別構成。
・2剤併用療法(2DR)および3剤併用療法(3DR)について費用対効果(CEA)および予算影響分析(BIA)。
分析手法として、レセプトの名寄せ(ID0)を用いた長期追跡、疾患別の割合と年次推移、Microsimulationによる経済評価モデルなど。
・ARTを受けたHIV感染者(約28,000人)。
・HIV感染者の医療費推移と年齢別構成。
・2剤併用療法(2DR)および3剤併用療法(3DR)について費用対効果(CEA)および予算影響分析(BIA)。
分析手法として、レセプトの名寄せ(ID0)を用いた長期追跡、疾患別の割合と年次推移、Microsimulationによる経済評価モデルなど。
結果と考察
1. ART開始率と診断プロセス
HIV確認検査を受けた後にARTを開始する割合は全体で24.1%。男性は38.7%、女性2.97%と大きな差が見られた。都道府県別では東京都、徳島県、愛知県、福岡県などで男性のART開始率が50%以上であった。ART開始までの期間は中央値56日、平均62.6日だった。
2. STI検査との併用状況
確認検査の前後に実施される感染症検査では、T細胞サブセット検査、トキソプラズマ、サイトメガロウイルス、結核などが上位であった。
3. 併存疾患の状況と推移
HIV感染者(ART)の増加とともに、糖尿病(特に投薬を伴うもの)や高血圧、心疾患、脳血管疾患の増加が顕著であった。2014~2021年の間に、投薬中の糖尿病は2.33倍、高血圧2.11倍、脳血管疾患2.00倍、心疾患1.83倍に増加した。
4. 医療費と費用対効果
2剤併用療法(2DR)と3剤併用療法(先発・後発)との比較では、後発品3DR使用時の方がコストは削減されるが、QALYは低下する結果もあり、政策的な判断が求められる結果となった。ただし、2DRは心筋梗塞リスクが低く、健康面でのメリットが示唆された。
HIV確認検査を受けた後にARTを開始する割合は全体で24.1%。男性は38.7%、女性2.97%と大きな差が見られた。都道府県別では東京都、徳島県、愛知県、福岡県などで男性のART開始率が50%以上であった。ART開始までの期間は中央値56日、平均62.6日だった。
2. STI検査との併用状況
確認検査の前後に実施される感染症検査では、T細胞サブセット検査、トキソプラズマ、サイトメガロウイルス、結核などが上位であった。
3. 併存疾患の状況と推移
HIV感染者(ART)の増加とともに、糖尿病(特に投薬を伴うもの)や高血圧、心疾患、脳血管疾患の増加が顕著であった。2014~2021年の間に、投薬中の糖尿病は2.33倍、高血圧2.11倍、脳血管疾患2.00倍、心疾患1.83倍に増加した。
4. 医療費と費用対効果
2剤併用療法(2DR)と3剤併用療法(先発・後発)との比較では、後発品3DR使用時の方がコストは削減されるが、QALYは低下する結果もあり、政策的な判断が求められる結果となった。ただし、2DRは心筋梗塞リスクが低く、健康面でのメリットが示唆された。
結論
NDBを用いた本研究により、HIV感染者の診断・治療実態、併存疾患の状況、医療費の増加傾向、そして治療戦略における費用対効果の違いが明らかになった。特に以下の点が重要である:
糖尿病や高血圧といった生活習慣病への対応が今後のHIV感染者支援の鍵となる。
治療法の見直しによる医療費の適正化が、持続可能な医療体制に貢献する可能性がある。
糖尿病や高血圧といった生活習慣病への対応が今後のHIV感染者支援の鍵となる。
治療法の見直しによる医療費の適正化が、持続可能な医療体制に貢献する可能性がある。
公開日・更新日
公開日
2026-10-20
更新日
-