貧困・格差の実態と貧困対策の効果に関する研究

文献情報

文献番号
201001049A
報告書区分
総括
研究課題名
貧困・格差の実態と貧困対策の効果に関する研究
課題番号
H22-政策・指定-032
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 彩(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岩田正美(日本女子大学 人間社会学部)
  • 西村幸満(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,890,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究プロジェクトは、貧困と格差が社会に及ぼす経済的および社会的コストについての理解を深め、日本における貧困の実態を把握し、最低生活費の試算を行う。さらに、各種の対貧困プログラムの対費用効果についての分析フレームワークを構築する。
研究方法
平成22年度は主に以下を行った。
①貧困層の若者に対する積極的就労支援対策の費用対効果の推計;
②イギリスMIS法による若年独身男性、若年独身女性、子どもの最低限の基礎的生活費の推計;
③乳幼児期の社会経済階層(SES)が、子どもの健康と社会生活に及ぼす影響の分析。
結果と考察
①では、貧困層の若者に対する積極的就労支援対策が、長期的にどのような財政的効果をもたらすのか(若者が就労することによる税収増、生活保護費などの削減等)を推計し、長期的に考えるとこれらの政策が財政的にも大きなプラスの効果があることがわかった。この結果は、2010年6月18日に開催された「ナショナル・ミニマム研究会」にて報告された。
②では、東京に住む単身独身男性、単身独身女性、子ども(3年齢)が最低限の基礎的生活を営むために必要な各400項目に近い項目のリストと、それらの価格を合算した月額の生活費を算定した。
③では、日本の子どもにおいても社会経済階層による子どもの健康格差は確かに存在することが確認された。しかしながら、アメリカ、カナダなどに見られる子どもの年齢が上がるごとの格差の拡大は確認されなかった。
結論
①については、さらなる詳細な検討が必要であるが、貧困対策が費用ではなく投資となりうることが示唆された。②では、MISという一般市民の参加型によるマーケットバスケット方式の最低生活費の算定方法の日本への適応が実証された。③では子どもの経済的格差が健康や社会生活にも及んでいることが実証された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001049Z