成人の侵襲性細菌感染症サーベイランスの強化のための研究

文献情報

文献番号
202418006A
報告書区分
総括
研究課題名
成人の侵襲性細菌感染症サーベイランスの強化のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HA1007
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
明田 幸宏(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 池辺 忠義(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 高橋 英之(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 常 彬(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 林原 絵美子(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 木下 諒(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 大島 謙吾(東北大学病院 総合感染症科)
  • 田邊 嘉也(新潟大学 医歯学総合病院第二内科)
  • 後藤 憲志(久留米大学 感染制御学講座)
  • 笠原 敬(奈良県立医科大学 感染症センター)
  • 阿部 修一(山形県立中央病院 感染症内科・感染対策部)
  • 金城 雄樹(国立感染症研究所 真菌部)
  • 福住 宗久(国立感染症研究所実地疫学研究センター)
  • 土橋 酉紀(国立感染症研究所感染症疫学センター)
  • 新橋 玲子(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 横山 彰仁(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
  • 丸山 貴也(国立病院機構三重病院 臨床研究部)
  • 黒沼 幸治(札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座)
  • 仲松 正司(琉球大学病院 感染対策室)
  • 加藤 博史(国立感染症研究所 実地疫学研究センター)
  • 大石 和徳(富山県衛生研究所)
  • 西 順一郎(鹿児島大学病院医学部・歯学部附属病院小児科)
  • 門脇 知花(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 応用疫学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)、侵襲性インフルエンザ菌感染症(IHD)、侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)について、10道県および全国のサーベイランスを通じて発生動向と原因菌の血清型、リスク因子を明らかにし、予防接種政策に資する科学的知見を蓄積することを目的とする。特にCOVID-19後の感染症再拡大を受けて、ワクチンの有効性やサーベイランス体制の再評価が重要視された。
研究方法
対象地域の届出症例(15歳以上)について臨床情報と分離菌を収集し、国立感染症研究所で細菌学・遺伝学的解析を行った。情報は登録自治体と協力して収集され、IMDに関しては全国を対象に症例収集を行った。また、各県のサーベイランス体制強化のため定期的にウェブ会議を開催し、課題を共有・改善した。
結果と考察
2024年度、肺炎球菌・インフルエンザ菌・髄膜炎菌・レンサ球菌の各分離株数はコロナ前の水準に回復。肺炎球菌ではPRSPの増加(特に23A, 15A, 35B)が確認され、有効なワクチンの必要性が明らかとなった。インフルエンザ菌ではNTHiが主であり、ABPC耐性株も半数以上にのぼる。髄膜炎菌では血清群YとBが大多数を占め、薬剤耐性株の国内初検出が報告された。STSSではemm1型(A群)やstG485型(G群)の頻度が高く、地域特異性はみられなかった。また、収集データを用いたIPDワクチンの費用対効果解析も実施され、政策評価に資する基盤が形成された。
結論
COVID-19収束後、侵襲性細菌感染症は増加傾向に転じた。非ワクチン型の血清型や耐性菌の増加が確認されており、継続的なモニタリングとワクチン戦略の見直しが不可欠である。また、IMDやSTSSの全国的拡大リスクにも備えるべく、情報収集とサーベイランス強化の継続が求められる。

公開日・更新日

公開日
2025-08-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-08-05
更新日
-

文献情報

文献番号
202418006B
報告書区分
総合
研究課題名
成人の侵襲性細菌感染症サーベイランスの強化のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HA1007
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
明田 幸宏(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 池辺 忠義(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 高橋 英之(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 常 彬(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 林原 絵美子(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 木下 諒(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 大島 謙吾(東北大学病院 総合感染症科)
  • 田邊 嘉也(新潟大学 医歯学総合病院第二内科)
  • 後藤 憲志(久留米大学 感染制御学講座)
  • 笠原 敬(奈良県立医科大学 感染症センター)
  • 阿部 修一(山形県立中央病院 感染症内科・感染対策部)
  • 金城 雄樹(国立感染症研究所 真菌部)
  • 神谷 元(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 福住 宗久(国立感染症研究所実地疫学研究センター)
  • 土橋 酉紀(国立感染症研究所感染症疫学センター)
  • 有馬 雄三(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 新橋 玲子(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 横山 彰仁(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
  • 丸山 貴也(国立病院機構三重病院 臨床研究部)
  • 黒沼 幸治(札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座)
  • 仲松 正司(琉球大学病院 感染対策室)
  • 加藤 博史(国立感染症研究所 実地疫学研究センター)
  • 大石 和徳(富山県衛生研究所)
  • 西 順一郎(鹿児島大学病院医学部・歯学部附属病院小児科)
  • 門脇 知花(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 応用疫学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、日本全国の10道県を中心に、成人を対象とした侵襲性細菌感染症(IPD:侵襲性肺炎球菌感染症、IHD:侵襲性インフルエンザ菌感染症、IMD:侵襲性髄膜炎菌感染症、STSS:劇症型溶血性レンサ球菌感染症)のサーベイランスを強化し、発生動向、病原体の血清型・遺伝子型・薬剤耐性などを多面的に明らかにすることで、ワクチン政策や感染症対策に資する科学的根拠を提供することを目的とする。特にCOVID-19後の再流行や新たな耐性菌出現に対応した体制整備が求められている。
研究方法
10道県で15歳以上の対象症例について登録を行い、無菌的検体から分離された菌株を収集・解析。各症例について臨床情報(年齢、性別、病型、ワクチン接種歴など)と菌の性状(血清型、薬剤耐性、遺伝子型など)を収集し、国立感染症研究所でゲノム解析や数理モデル分析も実施した。IMDに関しては全国47都道府県を対象とした。また、地域特性を把握するために各県ごとの疫学的分析を実施した。
結果と考察
IPDでは非ワクチン型の増加が引き続き大きな課題であり、特に髄膜炎由来株ではPRSPが多く、耐性菌対策とワクチン戦略の重要性が示唆された。IHDでは9割以上が無莢膜型であり、6割程度がアンピシリン耐性を示した。IMDでは血清群Yが優勢となり、国内初のST-3587など耐性菌の出現が報告された。STSSではM1UK系統を含むA群、G群、B群の分布と致命率の高さ、侵入門戸不明や高齢・施設入所といった死亡リスク因子が明らかになった。また、数理モデルを用いたワクチンの費用対効果分析では、成人向け予防接種の有効性を小児の間接効果も含めて検討し、政策決定に資する知見が得られた。地域別サーベイランスにより、COVID-19流行に伴う報告数減少とその後の再増加、特定地域での血清型偏りや高齢者感染の再増加傾向なども観察された。
結論
COVID-19の流行による一時的な感染症減少の後、各種侵襲性細菌感染症は再増加しており、非ワクチン型や薬剤耐性株の出現が大きな課題となっている。地域ごとのサーベイランス体制の継続と、得られた疫学情報を活用したワクチン政策の最適化が求められる。対象細菌感染症は重症例であり、今後の感染拡大や致死的重症化への対応が不可欠である。今後も科学的根拠に基づいた政策判断に貢献する全国規模の研究として継続することが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2025-08-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2025-08-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202418006C

収支報告書

文献番号
202418006Z