障害福祉と医療の連携を促進するために必要な手法の開発のための研究

文献情報

文献番号
202417045A
報告書区分
総括
研究課題名
障害福祉と医療の連携を促進するために必要な手法の開発のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GC1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 徹(社会福祉法人 横浜市リハビリテーション事業団 横浜市総合リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 芳賀 信彦(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 藤谷 順子(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センターリハビリテーション科)
  • 岩佐 光章(社会福祉法人 横浜市リハビリテーション事業団 横浜市西部地域療育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
8,790,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 障害のある方が新たに身体合併症を生じた場合などに医療機関を受診する際、さまざまな困難や障壁のために適切な医療が受けにくいという当事者や支援者からの訴えがある。疾患の治療や診断のための検査等が身近な医療機関で、あるいは先進的治療等が専門病院で受けられるような体制作り、また医療分野と福祉分野の有機的で効率的な連携も求められる。こうした体制作りには、障害福祉と医療の連携を念頭におきながら、中核的な課題は病診連携を確実にすること、および受け入れ医療機関のハード面およびソフト面の整備が当面の課題と考える。
 今年度は、障害当事者や支援者、障害の専門職へのヒアリング等による実態調査、および受け入れ側の急性期病院における現状調査を実施し、障害児者の医療機関受診を円滑に行うための「情報伝達フォーマット(仮)」と受け入れ先となる医療機関向けの「対応マニュアル(仮)」の作成に向けて、課題の実態を把握することが目的である。
研究方法
(1)障害当事者・家族と日常の支援者の調査:日本高次脳機能障害友の会、日本失語症協議会、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国手をつなぐ育成会連合会、全国脊髄損傷者連合会、横浜障害児を守る連絡協議会、全日本視覚障害者協議会、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の8つの障害当事者団体を対象に、オンラインでのインタビューを実施した。
(2)障害の専門家・機関の調査:横浜市総合リハビリテーションセンター高次脳機能障害支援センター職員と失語症に関する意思疎通支援者、横浜市西部地域療育センターの子どもの訓練や療育に関わっている常勤スタッフにインタビューを実施した。
(3)受け入れ側の急性期病院の調査:入院時に地域から受け取る文書、在宅と病院の連携のための文書等の項目内容を精査した。
(4)文献調査:高次脳機能障害、失語症、知的障害、発達障害、聴覚障害、視覚障害、肢体不自由の各障害を対象に調査した。
結果と考察
(1)当事者調査:予約や受診の付き添い、受付・待合の仕組みやコミュニケーション、情報伝達、医療従事者の障害への理解や対応など具体的な各場面について、意思疎通が満足にいかず受診や治療を断念するケースの報告や、システムの不便さや心理的負担に関する意見が確認された。同時に、当事者および家族による症状や特性の事前整理など、当事者側からの積極的な情報提供の取り組みの様子と必要性も提示された。
(2)専門職調査:以前と比較すると医療従事者の障害理解が深まり、様々な配慮を受けやすくなったという意見があった。その一方で、適切な受診計画を作成・実行することの困難さや、多岐に渡るニーズに対し医療機関側の理解や対応が十分でなく、障害児者や支援者が受診・入院の場面で未だ多くの苦労を強いられている実態も示された。
(3)急性期病院調査:医師、訪問看護師、ケアマネジャー・相談支援専門員などから提供される複数の書類が相補的に機能することで、必要な情報をおおむね網羅できることが明らかとなった。一方で、各文書の記載内容にはばらつきがあり、記載の有無や到着時期も一定していないため、情報の受け手側が内容を整理・補完する必要があることが確認された。必要最低限の情報をどのように取捨選択していくかが今後の課題である。
(4)文献調査:医療機関受診に際しての障壁には障害種別毎の特徴がみられるものの、医療機関へのアクセス、医療側とのコミュニケーション、医療機器の障害者に対する有用性、医療側の知識と態度といった点は共通項として確認された。また、公的施設等における障害者の受け入れや合理的配慮に関する資料は散見された一方で、障害児者の医療機関受診を円滑に行うための資料は平成30年度の調査研究・報告一件に限られた。
結論
 医療機関における合理的配慮への取り組みが進む一方で、当事者側のニーズと医療機関側の対応や配慮の間にはいまだギャップが存在することが確認された。医療機関受診に際しての障壁には障害種別毎の特徴がみられるものの、医療機関へのアクセス、医療側とのコミュニケーション、医療機器の障害者に対する有用性、医療側の知識と態度といった点は共通していた。また、現時点で障害児者の医療機関受診を円滑に行うための資料は十分ではない。
 これらの実態を基に今後作成する情報伝達フォーマット(仮)や医療機関向けの対応マニュアル(仮)は、障害児者の円滑な医療機関受診に役立つツールになることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-07-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
202417045Z