低所得者、生活困窮者の実態把握及び支援策の在り方に対する調査研究

文献情報

文献番号
201001024A
報告書区分
総括
研究課題名
低所得者、生活困窮者の実態把握及び支援策の在り方に対する調査研究
課題番号
H22-政策・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
駒村 康平(慶應義塾大学 経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沼尾 波子(日本大学 経済学部)
  • 丸山 桂(成蹊大学 経済学部)
  • 山田 篤裕(慶應義塾大学 経済学部)
  • 冨江 直子(茨城大学 人文学部)
  • 金井 郁(埼玉大学 経済学部)
  • 岩永 理恵(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部)
  • 四方 理人(年金シニアプラン総合研究機構)
  • 田中 聡一郎(立教大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 増加する低所得者への政策的対応について、現行制度の枠組みにとらわれない新たな学術的知見が求められている。本研究の目的は、低所得者の実態把握や新たな所得保障と生活支援に関する実証分析を実施し、また市民に信頼される社会保障制度の政策理念を検討することにある。
研究方法
 本研究は、3つのユニットから構成されている。第1に新たな貧困指標として、市民からみた標準生計費の計測・研究を行うことで、低所得者や生活困窮者の生活実態把握を行った。この新たな標準生計費は、現行の政策的基準である生活保護基準に対する比較指標としての意味を持つこととなる。第2に、今後整備されることが考えられる新たな所得保障・生活支援に関しての実証研究を行った。第3に、新たな所得保障・生活支援を支える社会保障の理念についての考察を行った。
結果と考察
1)市民からみた新たな標準生計費の計測
 新たな貧困指標として、市民からみた標準生計費の計測・研究を行うことで、低所得者や生活困窮者の生活実態把握を行った。初年度はインターネット調査による仮想的質問に基づいた主観的最低生活費の測定を行い、生活保護基準との比較、等価尺度の推計を行った。
2)新たな所得保障・生活支援の構築
 これまでの低所得者向けの生活支援のあり方を検証するために、生活保護制度の就労支援プログラムに対する定量的な政策効果分析を行った。また新たな所得保障の検討のために、低所得者向けの住宅手当の研究、および年金クレジット導入の政策効果に関するマイクロ・シミュレーション分析を行っている。
3)信頼される社会保障理念の構想
 初年度は、障害者福祉についてのヒアリング調査を実施し、労働と福祉の連携のあり方について考察した。
結論
 本研究からは主観的貧困や等価尺度の基礎的研究、新たな所得保障としての住宅手当や年金クレジットに関する研究、自治体における福祉の労働の連携の事例調査、生活保護の就労・生活支援に関する考察といった政策応用分野まで幅広い知見を得た。これらの知見は、低所得者や生活困窮者に対する新たな政策を考察するうえで、重要な政策的示唆を持っていると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-06-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001024Z