新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究

文献情報

文献番号
201001009A
報告書区分
総括
研究課題名
新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究
課題番号
H20-政策・一般-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田林 晄一(東北大学 )
研究分担者(所属機関)
  • 兼松 隆之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学)
  • 富永 隆治(九州大学 大学院医学研究院 循環器外科学)
  • 前原 正明(防衛医科大学校 心臓血管外科学)
  • 伊藤 雅治(全国社会保険協会連合会)
  • 遠藤 久夫(学習院大学 医療経済学)
  • 西田 博(東京女子医科大学 心臓血管外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
英国のチーム医療の現状調査と、国際PA教育者学会参加による、特にPA養成の基本的な教育体制を学び、我が国におけるNP・PA養成の基礎とする事と、若手外科医に対する意識調査と種々の立場の人との意見交換を行い、NP・PA養成の問題点を探る事である。

研究方法
a.英国バーミンガム大学を訪問し、特にPAの教育システムを視察した。また、国際PA教育者学会に出席し、各国のPA教育者と意見交換を行った。

b.平成22年度外科専門医予備試験受験者1084名にNP・PAの新たな看護制度の導入に関する意識調査の用紙を配布して、アンケート調査を行った。

c.我が国のチーム医療のあり方に関する討論会
医師、看護師、非医療関係者の方々に集まって頂き討論会を行った。
1)チーム医療推進の背景、2)「特定看護師」という新たな枠組みについて、3)特定看護師の制度化の利点と問題点について討論を行った。
尚、討論会は一般国民、報道関係者に公開する形式とした。
結果と考察
英国訪問では、PA養成の背景、学習・教育内容等について視察したが、養成課程が医師主導で行われていることが大きな特徴であった。国際PA教育者学会には、種々の国からの参加があり、日本からは初めての参加と思われるが、すでに学会として教育者を如何にして育成するかという時代になってきている事を自覚する必要があると思われた。
若手外科医への意識調査では、NP・PAに関する知識が乏しい面はあったが、協働する事に対しては賛同する意見が多く、これまでと異なる医療体系の構築に前向きな考えが多かった。
我が国のチーム医療のあり方に関する討論会では、医師、看護師、非医療関係者の方々に集まって頂き、チーム医療のあり方、特定看護師について、特定看護師の業務内容等について意見交換を行った。特定看護師に賛同する意見としては、今後の日本人の年齢別構成の変化から必要であろうとする考えが多く、反対する意見としては、現存する職種を活用することで十分対応できるという考えがあった。印象に残ったのは、医療の中心であるべき患者を置き去りにした流れが見られ、各種団体の縄張り争いになっているのではないかという意見であった。
結論
日本を含め世界各国で現状の医療体制に問題を抱えており、この背景には、高齢化社会の到来、人口増加、国民の多くが高度な医療を求めてきていることがある。それらに十分に対応するには、これまでの医師と看護師を中心とした医療体制を変えなくてはならないという考えで一致した。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201001009B
報告書区分
総合
研究課題名
新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究
課題番号
H20-政策・一般-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田林 晄一(東北大学 )
研究分担者(所属機関)
  • 兼松 隆之(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学)
  • 富永 隆治(九州大学大学院医学研究院循環器外科学)
  • 前原 正明(防衛医科大学校心臓血管外科学)
  • 伊藤 雅治(全国社会保険協会連合会)
  • 遠藤 久夫(学習院大学医療経済学)
  • 西田 博(東京女子医科大学心臓血管外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
欧米で長い歴史と実績を有する医師と看護師の中間職であるナースプラクティショナー(NP)とフィジィシャンアシスタント(PA)に関するこれまでのデータとNP・PAと同様の職種を作ることに対する種々の職種を対象とした意識調査から日本型の医師と看護師の中間職養成のマスタープランと業務拡大の方向性について政策提言することである。
研究方法
a.海外視察
平成20・21年度に米国、平成22年度に英国を訪問し視察を行った。
b.意識調査
日本体外循環技術医学会会員、一般国民、看護師、日本外科学会代議員、外科専門医予備試験の受験者を対象としてCGI方式、WEBアンケート方式、紙ベースによるアンケート方式で意識調査を行った。
c.外科医の労働環境調査
外科医週間タイムスタディを日本外科学会会員対象に施行した。
結果と考察
米国と英国のPA養成に関し、米国は約40年の歴史があるのに対し、英国では開始されたばかりという違いはあったが、英国は米国と同様のシステムを参考としている事より、同様の考えで行われていた。基本的な考えは、これまで施行していない診療行為の拡大には教育が最も重要で、診療行為の範囲も教育の内容、理解度、技術能力によって決定されるものとされていた。
さまざまな職種を対象とした意識調査では、看護師が業務拡大する事に対してすべての職種で賛同するという結果であった。個々の業務内容については結果が異なるが、高度な医行為、また合併症が発生した場合の対処に困難性を有する行為には反対する意見が多数を占めた。
結論
米国と英国のNP・PA養成課程データ、種々の意識調査結果、外科医の労働環境、およびさまざまな職種の方々との討論会等より下記の提言を行う。1.養成される看護師の名称を診療看護師とする。 2.周術期、救急、集中治療の急性期と慢性期疾患、また在宅医療の慢性期に分類して養成する体系とする。3.養成課程では医師、看護師等の関係職種のチームで教育し、教育内容の70%以上は医学とし、総単位数は45単位以上とする。4.周術期の業務内容を絶対的医行為(医師のみが許される行為)、条件付相対的医行為(急性期診療看護師に許される行為)、相対的医行為(一般看護師に許される行為)の3群に分類し、急性期診療看護師の業務内容の目安とする。5.特定看護師(診療看護師)養成試行事業の5年以上の継続。6.試行事業施行大学と特定看護師(診療看護師)評価のための第3者的評価機構の設立。
(尚、上記提言は班員の西田 博、前原正明、富永隆治、兼松隆之、伊藤雅治、田林晄一の総意である)

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201001009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医師と看護師の中間職養成に当たっては医師、看護師等の関係職種のチームで教育し、教育内容の70%以上は医学とし、総単位数は45単位以上ととする。
臨床的観点からの成果
養成される医師と看護師の中間職種の名称を診療看護師とする。周術期の業務内容を絶対的医行為(医師のみが許される行為)、条件付相対的医行為(急性期診療看護師に許される医行為)、相対的医行為(一般看護師に許される医行為)の3群に分類し、急性期診療看護師の業務内容の目安とする
ガイドライン等の開発
周術期、救急、集中治療の急性期と慢性期疾患、または在宅医療の慢性期に分類して養成する体系とする
その他行政的観点からの成果
診療看護師養成試行事業の5年以上の継続.試行事業施行大学と診療看護師評価のための第3者的評価機構の設立.
その他のインパクト
厚労省の「チーム医療の推進に関する検討会」において「周術期の管理に携わる周術期診療士(仮名)」の提案:media jam 2009/11/24
厚労省の「新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的研究」の公開討論会:東京、2010/12/27

発表件数

原著論文(和文)
14件
医師と看護師の中間職種養成に関する実態・意識調査
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
医師と看護師の中間職養成に関して種々の医療関係者とのシンポジュウム、パネルデスカッション
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
医師と看護師の中間職種養成に関する政策提言
その他成果(普及・啓発活動)
1件
医師と看護師の中間職種養成に関する公開討論

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
遠藤 久夫
外科治療における看護師の業務拡大に関する意識調査
日本外科学会雑誌 , 110 (3) , 162-166  (2009)
原著論文2
伊藤雅治、遠山保次、千葉はるみ他
周術期管理における看護師の業務拡大に関する意識調査
日本外科学会雑誌 , 110 (4) , 219-224  (2009)
原著論文3
富永隆治、前原正明、西田博他
外科医を対象とした「周術期看護師(仮称)」制度の導入に関するアンケート調査結果報告
日本外科学会雑誌 , 110 (5) , 286-291  (2009)
原著論文4
前原正明、渡邊孝、西田博他
新しいチーム医療の推進と確立に向けて(日本版NP/PA制度導入を)-米国チーム医療事情(エモリー大学PAを中心に)
日本外科学会雑誌 , 111 (1) , 44-53  (2010)
原著論文5
前原正明、西田博、渡邊孝他
外科領域におけるコメディカルとの役割分担ー現況と未来2.医師の立場から
日本外科学会雑誌 , 111 (4) , 209-215  (2010)
原著論文6
西田博、里見進、遠藤久夫他
外科医療におけるコメディカル診療参加の意義に関する考察ー日本外科学会外科医週間タイムスタディによる外科医業解析結果からー
日本外科学会雑誌 , 111 (4) , 251-257  (2010)
原著論文7
田林晄一、西田博、前原正明他
病院における外科の課題
日本外科学会雑誌 , 111 (5) , 320-322  (2010)
原著論文8
田林晄一、門間典子、西田博他
周術期管理における看護師の業務拡大に関する意識調査
日本外科学会雑誌 , 111 (6) , 384-386  (2010)
原著論文9
伊藤雅治、遠山保次、千葉はるみ他
周術期管理における看護師の業務拡大に関する意識調査(第2報)
日本外科学会雑誌 , 111 (2) , 116-122  (2010)
原著論文10
西田博、田林晄一、富永隆治他
英国におけるPA教育の視察と国際PA教育者学会に参加してー非医師診療師・中間職種の教育のあり方を考えるー
日本外科学会雑誌 , 112 (1) , 47-54  (2011)
原著論文11
兼松隆之、田林晄一、富永隆治他
看護師の業務拡大に対する外科専門医を目指す若手外科医の意識調査
日本外科学会雑誌 , 112 (2) , 135-138  (2011)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001009Z