LIFEで収集された情報を用いた介護保険事業(支援)計画の進捗管理に資する研究

文献情報

文献番号
202415003A
報告書区分
総括
研究課題名
LIFEで収集された情報を用いた介護保険事業(支援)計画の進捗管理に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長室)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所老年学・社会科学研究センター)
  • 土井 剛彦(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室)
  • 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
  • 堤本 広大(国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
  • 大寺 祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
  • 大浦 智子(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター 科学的介護推進チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,105,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、科学的介護情報システム(LIFE)で収集された情報を用いて、介護保険事業支援計画の進捗管理に有効な指標の選定やその有用性等について検討を行うこととする。本年度は「地域在住高齢者における慢性疼痛とADL低下の関連に関するレビューおよび科学的介護情報システムデータを活用したケアの質の見える化システムの開発」と「LIFE情報を用いた要介護度悪化に関連する項目選定のための予測モデル構築」の二つの課題を検討した。
研究方法
 科学的介護情報システム(LIFE)に搭載すべき項目を探索する一環として、慢性疼痛と日常生活動作(ADL)低下の関連に関するシステマティックレビューを行った。
 また、令和3年度情報を用い、科学的介護推進体制加算を算定している介護老人保健施設を対象に、介護度別の割合、低栄養利用者の割合、口腔状態が悪い利用者の割合、褥瘡のある利用者の割合、排せつコントロールができない利用者の割合、ADLの平均値(以上、介護ニーズとした)と6か月間の変化(取組状況とした)を把握した。さらにデモデータを用い、「見える化」の試作を行った。
 加えて、2023年度、厚生労働省から介護保険総合データベースをデータ源としてLIFE情報を用いた要介護度悪化に関連する項目選定のための予測モデル構築を行った。
結果と考察
 慢性疼痛と日常生活動作(ADL)低下の関連に関するシステマティックレビューの結果、最終的に7本の論文が選定され、いずれも多変量解析を実施していた。分析対象者数は計9,786名であった。測定方法によらず、慢性疼痛はその後のADL低下と関連していた。
 また、使用した指標においては、追跡期間6か月間であっても保険者間で変化率にばらつきがみられ、ある程度の妥当性が確認された。デモデータを用いた「見える化」の試作が完成し、視覚的効果の有用性を確認した。
 LIFE情報を用いた要介護度悪化に関連する項目選定のための予測モデルについては、全体のモデルにおいて、予測に大きく寄与した変数として、ベースライン期間の要介護度、障害高齢者の日常生活自立度、Barthel Index、BMI、過去の介護サービス利用が示された。要介護度別の予測モデルではベースライン時点での要介護度のレベルによって、重要な予測変数は異なっていた。
結論
 慢性疼痛の適切な管理により重度化予防が図られる可能性があり、今後LIFEへの搭載が有用な可能性が示唆された。
 また、LIFE情報を用い、介護ニーズとその経時的変化を可視化することで、保険者支援につながる可能性が示唆された。 
 予測モデルの精度は全体として良好であった。BMIなどの修正可能な要因も要介護度悪化と関連している可能性が示唆された。一方、欠測頻度の高かった医学的情報などはモデルに含めることができなかった。今後はモデルの解釈についてさらに考察を深める必要がある。また医学的情報を含め欠測の多い変数をどのように収集していくかについても検討していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2025-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
202415003Z