シックハウス症候群の診断基準の検証に関する研究

文献情報

文献番号
200942034A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の診断基準の検証に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 英郎(国立病院機構高知病院)
  • 木村 五郎(国立病院機構南岡山医療センター)
  • 熊野 宏昭(早稲田大学 人間科学学術院)
  • 坂部 貢(東海大学 医学部)
  • 中村 陽一(横浜市立みなと赤十字病院)
  • 長谷川 眞紀(国立病院機構相模原病院)
  • 森  千里(千葉大学 大学院医学研究院環境生命医学)
  • 吉野 博(東北大学 大学院工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症候群(SHS)患者について、全国レベルでSHS診療専門医療機関受診者を対象に、診断基準や臨床分類の妥当性について把握するため検証し対策を提言した。また分担研究によりSHSの病態、実態、対策について検討した。
研究方法
SHSの診断基準と臨床分類の妥当性を検証するため調査票を作成し、全国のSHS専門医療機関のうち11機関の受診者を対象に疫学調査を行った。代表者は、主治医の臨床分類、診断基準に基づく診断を調査し、臨床分類2型の対象者と問診票による狭義の診断基準該当者の一致ついて検討した。分担者は、患者背景、アレルギー疾患合併率、QEESI等の問診票調査、患者の建物内空気環境測定、被害係数について検討した。また、患者に揮発性有機化合物負荷を行った。さらに、ケミレスタウンを用いてSHSの対応・治療システムの構築を行った。
結果と考察
対象者の内、主治医が広義のSHSと診断したのは78.2%であり、このうち87.1%が2型と診断された。問診票による狭義のSHSの診断基準該当者の93.0%が、主治医にも臨床分類で狭義のSHSにあたる2型と診断されていた。逆に主治医が2型と診断した中で、狭義の診断基準に該当したのは49.4%に留まった。従って狭義のSHSと診断するためには、診断基準項目に重み付けが必要と考えられた。
SHSのアレルギー合併率は一般と差が無かった。QEESI調査では女性は男性と比べ化学物質不耐性、症状、日常生活障害の得点が有意に高かった。10歳未満の児童は成人より粘膜・呼吸器と皮膚症状が高得点だった。点数高値と関連する要因は、ストレスと職場・学校の悪環境、1年以内のリフォームとペット飼育だった。
環境測定から、気管・粘膜症状に関連する物質は、p-ジクロロベンゼン、TVOC、総浮遊真菌濃度であった。ただ汚染状況と症状の発現が一致しない例が多く見られた。また、ホルムアルデヒドについて被害係数の計算から関連が認められた。
揮発性有機化合物負荷試験を行ったところ、有用性の高い検査項目の抽出には至らなかった。ケミレスタウンについては現在検証中である。
結論
SHSは自覚症状が主な病態であり、客観的な診断方法の開発と確立が望まれるため、診断基準項目の重み付けを行い、診断基準に沿った症例を増やし詳細な分析が必要である。また、診断基準に基づく狭義のSHSの実態把握に基づく対策については、医学的、環境科学的検討が更に必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-08-29
更新日
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