建築物の特性を考慮した環境衛生管理に関する研究

文献情報

文献番号
200942033A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物の特性を考慮した環境衛生管理に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大澤 元毅(国立保健医療科学院 建築衛生部)
研究分担者(所属機関)
  • 鍵 直樹(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 柳 宇(東北文化学園大学 科学技術学部)
  • 池田 耕一(日本大学 工学部)
  • 中館 俊夫(昭和大学 医学部)
  • 射場本 忠彦(東京電機大学 未来工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
建築物形態と用途の違いに着目し,その環境衛生上の現状と問題点を実態調査,資料調査などを通して抽出し,建築物の用途別に異なる維持管理方法の必要性及び提言に取りまとめる。
研究方法
本研究は,次の4項目に分けて実施した。
「1.建築物の地下空間の実態と維持管理に関する研究」では,全国6箇所の地下街における実地測定による、維持管理状況と環境実態の把握を,「2.建築物の用途別の維持管理実態に関する研究」では,立入検査資料解析及びビル管理者へのアンケートによって用途別維持管理実態の把握を,「3.建築物の環境衛生と省エネルギーのあり方に関する研究」では,省エネ設備の技術リスト作成及びアンケートによる技術適用実態の把握を,「4.湿度環境とインフルエンザに関する文献調査」では,最新の文献レビューによる検討を行った。
結果と考察
1.においては,低湿度問題,外気流入による環境のばらつき,室内発生源の偏在による粉じん・浮遊微生物濃度の分布状況などを明らかにした。長く広い空間の特殊性,多くの出入口,多様な店舗の特性から,特異性に応じた衛生環境のきめ細かい監視と維持管理の継続的な改善及び徹底の必要性が示された。
2.においては,実態解析により,二酸化炭素,温度,相対湿度に不適が多く,近年増加傾向にあることが示された。特に学校及び事務所における不適傾向が大きかった。これには,建築物衛生法改正に伴う影響、学校環境衛生基準との関係,省エネなどの技術導入に伴う影響,クールビズなどの行動による影響などが示唆された。
3.においては,相対湿度の不適合率上昇には,全熱交換器などの省エネルギー技術も関連していることが示されたが,維持管理により改善する可能性も示唆された。
4.においては,新型インフルエンザ(H1N1)と湿度環境との関連を直接論じたものはまだ見当たらないこと,人間集団における流行には湿度以外にも多くの要因が関与すると考えられること,従来の飛沫感染,接触感染に加えて,エアロゾルによる空気感染が関与している可能性もあることなどが示された。
結論
 地下街をはじめとする建築物に,用途毎に特有な実態と課題があることが示され,用途に応じた維持管理手法や適切な監視方法の提案の必要性が明らかにされた。また,環境項目が不適となる原因を追及することで,適切な維持管理手法により改善する可能性についても示された。

公開日・更新日

公開日
2010-08-29
更新日
-