災害・重大健康危機の発生時・発生後の対応体制及び健康被害抑止策に関する研究

文献情報

文献番号
200942019A
報告書区分
総括
研究課題名
災害・重大健康危機の発生時・発生後の対応体制及び健康被害抑止策に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 大井田 隆(日本大学 医学部公衆衛生部門)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
  • 須藤 紀子(国立保健医療科学院 生涯保健部)
  • 櫻井 裕(防衛医科大学 医学部衛生学)
  • 木下 浩作(日本大学 医学部救急医学)
  • 田畑 好基(三重県 伊勢保健所)
  • 榛沢 和彦(新潟大学 医歯科系呼吸循環器外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
災害時、災害後の対応について、行政面、医療面、保健衛生面、公衆栄養面で検討し、今後の体制整備を検討する。熱中症、エコノミークラス症候群、震災後の超過死亡等を検討し、自然最後の健康被害の特徴を明らかにし、対応方策を検討する。
研究方法
自然災害にむけた平常時の保健活動の特性および平常時における保健活動を促進する要因および、保健師の役割を調査するために、8事例の活動に従事した保健師を対象に、インタビュー調査を実施した。全国の災害拠点病院の栄養・給食部門の担当者を対象に、現時点における人員計画や業務継続計画等について郵送調査した。
都心の自治体の60歳以上の628世帯を無作為に抽出して高齢者医療との熱中症対策に関するアンケート調査を行った。震災後の深部静脈血栓症の実態と課題を明らかにするために、中越地震及び中越沖地震被災者の追跡検診を実施し、血栓症の遷延の実態を予後に影響を及ぼす要因を検討した。阪神淡路大震災の被災地における震災後の内因の超過死亡を、人口動態統計死亡票を用いて、死因別、地域別、時間別に統計解析した。
結果と考察
自然災害に備えた平常時の取組の重要性が示唆され、通常の保健師活動への波及効果も観察された。全国の災害拠点病院の栄養・給食部門への調査では、7割近くの病院で、新型インフルエンザに特化した対策ガイドラインが策定されていたが、栄養・給食部門の対応についての記載割合は低かった。人員計画では、実際に突然の欠員がでた場合の要員確保の準備や、食事提供方法や献立内容の変更準備まで実施している施設は3割前後にとどまった。
高齢者医療との熱中症対策に関するアンケート調査により、高齢者は熱中症の知識はあり対策も講じているが、むしろ医療者の方が意識が低かった。高齢者は避難所生活における健康管理等を不安視していた。震災後直後、震災後一定期間後のエコノミークラス症候群の実態と課題を整理し、予防のための提言を行った。阪神大震災後肺がん、自殺の震災後の超過死亡は認められず、震災後2ヶ月目の心筋梗塞、脳梗塞、肺炎の超過死亡が認められた。SMRの増加はその後2-3ヶ月続いた。
結論
 災害後にある程度の期間、注意と対応の必要な疾患があることが明らかになった。危機管理のための平時の活動の重要性が改めて認識された。自然災害後の栄養対策の重要性も認識されたが、その備えは、まだ不十分だとわかった。

公開日・更新日

公開日
2010-06-14
更新日
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