薬害肝炎の検証および再発防止に関する研究

文献情報

文献番号
200940085A
報告書区分
総括
研究課題名
薬害肝炎の検証および再発防止に関する研究
課題番号
H21-医薬・指定-038
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
堀内 龍也(社団法人 日本病院薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 高木 均(国立病院機構高崎医療センター)
  • 磯部 哲(独恊大学法学部)
  • 片平 洌彦(東洋大学社会学部)
  • 坂田 和江(自宅)
  • 泉 祐子(自宅)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、フィブリノゲン製剤及び血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎の発生および被害拡大の経過と原因等の実態等について客観的かつ科学的に整理し、厚生労働省の「薬害肝炎の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」等において、再発防止策を検討するための基礎資料を作成することと同検討会に再発防止のための提言を行うことを目的とした。
研究方法
薬剤疫学、肝疾患及び肝臓代謝、行政法の専門家等による研究班を編成して、平成21年度は合計20回研究班会議を開催して、
被害実態の調査等の内容、調査の方法等について検討を行い、研究を進めた。具体的には、次ぎのような調査を実施した。「薬事行政の責任」の評価の一環として、米国の血漿分画製剤の規制の歴史と現在の日本の市販後安全対策の実態のヒヤリング調査。薬事行政における情報の取扱いの調査。当時の行政担当者に対するインタビュー調査。製薬企業の責任の評価として、当時の担当者に対するインビュー調査。医療現場の状況評価の一環として,当時に医療現場にいた医師100名に対するインターネットアンケート調査と現場と実態を知る医師へのインタビュー調査。全薬害C型肝炎原告に対象としたアンケートによる被害実態調査。
結果と考察
薬害肝炎の被害者の実態調査の結果、当時は危険性に対する認識が薄かったC型肝炎患者の悲惨な生活実態が明らかとなった。また、行政担当者・企業担当者へのヒヤリング調査の結果として、すでに多くの時間が経過し、当時のことを覚えている人はなく、
ヒヤリングによる検証を行うことは困難であることが確認できた。その上で、行政担当者は必要な対応は行っていたものの、当時としても問題意識の不十分さなどの問題も明らかとなった。企業担当者についても同様に企業自体の対応を含めて、多くの問題点が指摘された。医師への調査では、フィブリノゲンにより肝炎感染症の危険性が添付文書に記載されていたにも関わらず、多くの患者にインフォームドコンセントなしで使用されたのみでなく、血液関連学会の専門学会などとの連携も不十分であり、多くの患者に投与されたことが明らかになるなど問題点も把握できた。
結論
 本研究成果は、厚生労働省の「薬害肝炎の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」に報告しており、各委員からの意見もフィードバックしている。また、厚労働省から同検討会に年度末に提案された「医薬品行政を担う組織の今後のあり方について」にその結論が取り入れられ、薬害肝炎の再発防止策の検討に活用された。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940085C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、フィブリノゲン製剤及び血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎の発生及び被害拡大の経過と原因等を客観的、科学的に検証することができた。
臨床的観点からの成果
本研究は、薬害肝炎の被害拡大の経過と原因等の実態等について客観的かつ科学的に整理して、再発防止策を検討するための基礎資料を作成することが目的の研究であり、臨床に関連した研究ではないので、何が臨床的観点からの成果なのか判断できない。
ガイドライン等の開発
本研究の研究成果は、薬害肝炎の再発防止のための提言を行うことを目的としたものであり、ガイドライン等の開発を目的としたものではないが、平成22年3月30日に開催した厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討会」において報告した。
その他行政的観点からの成果
本研究をとおして、薬害肝炎の患者の被害実態、当時の行政担当者が必要な対応を取っていたものの、問題意識が不十分であった
ことと製薬企業担当者についても同様に当時の企業自体の対応を含めた多くの問題点を指摘することができた。
その他のインパクト
本研究成果は、検証の途中でも「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり検討会」に報告しており、同検討会
の各委員からの意見もフィードバックしており、厚生労働省からの同検討会に年度末に提案された「医薬品行政を担う組織の今後のあり方について」にその結論が盛り込まれて、再発防止策の検討に活用された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-