管理栄養士の社会的需要を見据えた管理栄養士養成施設における基礎学力向上と養成教育の効果的な連動に向けた研究

文献情報

文献番号
202408041A
報告書区分
総括
研究課題名
管理栄養士の社会的需要を見据えた管理栄養士養成施設における基礎学力向上と養成教育の効果的な連動に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1011
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
小切間 美保(同志社女子大学 生活科学部食物栄養科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 昌彦(椙山女学園大学 生活科学部 )
  • 市川 陽子(静岡県立大学 食品栄養科学部)
  • 榎 裕美(愛知淑徳大学 食健康科学部)
  • 奈良 一寛(実践女子大学 生活科学部 )
  • 鈴木 拓史(同志社女子大学 生活科学部)
  • 今井 絵理(滋賀県立大学 人間文化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、多職種連携で複雑な栄養課題に対応できる管理栄養士の養成という社会的要請を踏まえ、管理栄養士養成教育の充実に向けた基礎学力向上に関する取組や課題の現状を調査することにより、専門教育との効果的連動など、養成教育の質の向上に向けた議論のための基礎資料を作成することを目的とした。そのために、1.管理栄養士養成施設の大学入試制度に関する実態調査、2.入学前・入学後教育に関する管理栄養士養成大学の実態調査、3.入学前教育および入学後教育に関する管理栄養士養成大学の事例調査-インタビュー調査-、4.管理栄養士養成大学における基礎学力向上と養成教育の効果的連動に向けた課題に関する調査、5.諸外国の栄養士養成大学における入学前・入学後教育の事例調査の5項目について把握するために調査を実施した。
研究方法
 基礎学力に関連する大学入試制度の現状調査として、管理栄養士養成大学を調査対象とし、株式会社Oから提供された令和7年度大学入学者選抜に関する情報(公開情報を集約したデータ)を利用し、集計・分析を行った。加えて、各養成大学のWebページのアドミッションポリシーからテキストマイニング解析を行った。次に、入試制度の変化に伴って必要となる入学前および入学後教育に関する実施状況等について、管理栄養士養成大学を対象にWeb調査を実施し、インタビュー調査への協力が得られた大学にインタビューを行った。またWeb調査の自由記述の回答から、基礎学力向上と養成教育の効果的連動に向けた課題について質的データ分析を行った。さらに、諸外国の登録栄養士の養成大学における状況を調査するために、国連による世界地理区分より、アジア州からはフィリピン、アメリカ州からはアメリカ、アルゼンチン、ヨーロッパ州からはイギリス、オセアニアからはオーストラリアを選出し、実績のある登録栄養士の養成大学のWebページに公開されている情報等から、登録栄養士の養成に関わる基本情報と学士課程の提供カリキュラム情報を抽出・整理した。
結果と考察
 管理栄養士養成大学が掲げるアドミッションポリシーのテキストマイニング解析から、基礎学力として理科の科目を重要視していることが認められ、それに基づく入学者選抜が一般選抜の科目から確認できた。一方で、総合型選抜については理科の科目を課す大学は一部であった。近年、多くの私立大学では、総合型選抜や学校推薦型選抜などのいわゆる年内入試で早期に入学者を確保する動きが見られることを踏まえると、理科の科目を受験せずに入学する学生が今後増加していく可能性が考えられた。したがって、早期合格者が入学するまでの期間は、入学後の学修のためにも重要な期間として捉えることができ、入学前教育における理科の科目の重要性が高まるものと考えられた。
 次に、入試制度の多様化に伴って必要とされる入学前・入学後教育に関する実態について、86大学からから回答(回答率60.1%)を得た。入学前教育、入学後教育の両方を実施している大学は約7割にのぼり、特に入学後教育の実施率が高かった。また、入学前・入学後教育の必要性を認識する大学は約7~8割に達し、多くの教員が負担を感じながらも、基礎学力向上は必要であり、特に専門基礎分野の理解のために重要であると考えていた。さらに、インタビュー調査(5大学)およびWeb調査の自由記述の分析により、各大学の状況に応じた入学前・入学後教育の実施状況を具体的に示すことができた。今後の入学前・入学後教育の課題として、理科の科目の教育に加え、国語力等の教育および管理栄養士の職務や養成教育の内容に関する情報提供等の必要性が認められた。
 最後に、諸外国の登録栄養士養成大学の事例調査では、理科に着目した分析を行ったところ、諸外国においても専門科目の基盤となる理科の基礎学力が重視されていると考えられた。加えて、対人能力やアカデミックスキルを重視していることがわかり、本邦においてこれらの基盤となる国語力などの基礎学力向上の必要性も示唆された。
結論
 本研究では、管理栄養士養成大学における基礎学力向上と養成教育の効果的な連動に向けた調査を実施し、養成教育の質の向上に向けた議論のための基礎資料作成を目的に5つの分担研究を行った。その結果、管理栄養士養成大学における入学者選抜方法の多様化の現状、入学前・入学後教育の実態、各大学の特徴的な取組の実施状況、および課題と感じている事項を明らかにし、諸外国の状況も勘案した今後の管理栄養士養成教育における基礎学力向上に係る充実策検討のための基礎資料を得ることができた。本研究は新規性が高く、本成果が管理栄養士の社会的需要に応えるための一助となることを期待したい。

公開日・更新日

公開日
2025-07-15
更新日
2025-08-08

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-07-15
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202408041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)管理栄養士養成大学における入学者選抜方法の多様化の現状、入学前・入学後教育の実態、各大学の特徴的な取組の実施状況、および課題と感じている事項を明らかにした。さらに諸外国の状況も勘案し、今後の管理栄養士養成教育における基礎学力向上に係る充実策検討のための基礎資料を得ることができた。
(2)本研究のような調査報告は見当たらなかったことから、新規性の高い調査研究と言える。
臨床的観点からの成果
 本研究は新規性が高く、本成果が質の高い管理栄養士養成に寄与することで、医療・介護・福祉等の分野における多職種連携で複雑な栄養課題に対応するという需要に応えるための一助となることが期待できる。
ガイドライン等の開発
本成果は、ガイドラインの開発には該当しない。
その他行政的観点からの成果
 管理栄養士の養成および管理栄養士の質の向上は、栄養政策において社会的要請に応えるための要因の一つであることから、本研究成果が今後の管理栄養士養成教育の在り方を議論するための基礎資料となる。
その他のインパクト
 調査結果で認められた通り、管理栄養士養成大学では共通する課題を抱えている。本成果では、それぞれの大学における具体的な取組に関する情報を提供していることから、養成大学の参考資料になる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-05-30
更新日
2026-03-26

収支報告書

文献番号
202408041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
7,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,738,779円
人件費・謝金 1,343,720円
旅費 637,932円
その他 2,433,207円
間接経費 1,846,000円
合計 7,999,638円

備考

備考
補助金対象経費実支出額に、1000円未満の端数(638円)が生じ、その端数を自己資金で負担したため。

公開日・更新日

公開日
2025-08-29
更新日
-