文献情報
文献番号
202408039A
報告書区分
総括
研究課題名
事業所給食施設における関係者間の連携による栄養管理の推進に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1009
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
市川 陽子(静岡県公立大学法人 静岡県立大学 食品栄養科学部 栄養生命科学科)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 孝子(大阪市立大学大学院 生活科学研究科)
- 田丸 淳子(神戸学院大学 栄養学部)
- 山中 沙紀(女子栄養大学 栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
事業所給食の意義は、適切に栄養管理・調製された食事の提供によって利用者の健康の維持・増進に寄与するとともに、労働意欲や作業効率を高めて生産性の向上を図ることにある。健康日本21(第三次)では、「利用者に応じた食事提供をしている特定給食施設の増加」が目標とされ、「管理栄養士・栄養士を配置している施設(病院、介護老人保健施設、介護医療院を除く。)の割合」がその指標とされた。他方、事業所特定給食施設における栄養士または管理栄養士の配置率は47.2%、管理栄養士では29.2%にとどまる。本研究の目的は、事業所特定給食施設における管理栄養士・栄養士の配置状況、関係者が連携した栄養管理の状況等に関する実態を把握し、給食を活用した関係者間の連携による食環境の改善により、利用者のやせ及び肥満の割合、生活習慣病リスク者の割合の減少などに取り組んでいる先行事例等から効果的な栄養管理手法の提案等を行い、これらを通じ、事業所特定給食施設における効果的な栄養管理を推進に向けて、施設設置者、給食受託会社、保険者、自治体等が広く活用できる資料を作成することである。
研究方法
令和6年度は、1) 東北、首都圏、東海、関西圏、九州地区より、都県・政令指定都市の規模、管内事業所数等を考慮して6つの自治体を選定し、各自治体の本庁または保健所に提出された事業所給食施設1,238件の「栄養管理報告書」の内容の解析を行い、管理栄養士・栄養士の配置状況、食数等と給食・栄養管理の実施状況の関連について検討した。2) 北海道東北地区、首都圏、東海、関西圏、九州地区の6つの都県・政令指定都市・特別区の事業所給食施設1,411件を対象に、栄養管理報告書では不十分な、事業所給食施設における栄養管理のための関係者間の連携状況を把握するための追加アンケート調査を行い、管理栄養士・栄養士配置の意義、連携による栄養管理推進の要因について検討した。3)国内外の事業所給食施設(勤労者食堂)における栄養管理に関する研究について文献レビューを行い、効果的な栄養管理を推進するための課題と解決策を整理した。
結果と考察
1) 全国の事業所給食施設の約25%にあたる施設の栄養管理報告書データの解析結果から、「常勤管理栄養士の配置施設」では、それ以外の施設に比べ、健康増進に向けた栄養管理の取組を実施している施設の割合が有意に高かった。また、「常勤管理栄養士・栄養士の配置なしの施設」では、栄養管理報告書の未提出、一部未回答(欠損値)が多く、「常勤管理栄養士・栄養士の配置なしの施設」について、栄養管理報告書の提出や回答等を促す対応等も課題として示された。
2) 追加アンケート調査結果より、人員構成表の作成割合の向上、栄養成分表示の徹底、嗜好や健康意識の定期的な調査の実現、利用者の健康に対するアプローチの充実が課題と考えられた。回答施設の58.0%で常勤管理栄養士・栄養士が配置されていた。常勤管理栄養士の配置施設では、給食施設(社員食堂)・売店・自動販売機で提供する健康に配慮したメニュー以外の食事・商品に対する健康面への配慮、健康増進のためのイベントの実施、やせ及び肥満の評価とその活用、食事評価におけるコスト面の評価が多く実施されていた。また、施設側と受託側の連携、関係者間の連携ができている施設では、定期的な給食委員会/栄養管理等に関する会議の開催と施設側の産業医・保健師の参画、利用者の嗜好・健康意識調査の実施、会議の議題として利用者の健康診断結果や健康支援について検討、給食業務担当責任者が利用者の健康情報を把握し結果を活用などの特徴がみられた。
3) 文献レビューからは、勤労世代の食環境づくりにおける事業所給食の意義、事業所給食施設における管理栄養士・栄養士の配置の必要性等が示された。
2) 追加アンケート調査結果より、人員構成表の作成割合の向上、栄養成分表示の徹底、嗜好や健康意識の定期的な調査の実現、利用者の健康に対するアプローチの充実が課題と考えられた。回答施設の58.0%で常勤管理栄養士・栄養士が配置されていた。常勤管理栄養士の配置施設では、給食施設(社員食堂)・売店・自動販売機で提供する健康に配慮したメニュー以外の食事・商品に対する健康面への配慮、健康増進のためのイベントの実施、やせ及び肥満の評価とその活用、食事評価におけるコスト面の評価が多く実施されていた。また、施設側と受託側の連携、関係者間の連携ができている施設では、定期的な給食委員会/栄養管理等に関する会議の開催と施設側の産業医・保健師の参画、利用者の嗜好・健康意識調査の実施、会議の議題として利用者の健康診断結果や健康支援について検討、給食業務担当責任者が利用者の健康情報を把握し結果を活用などの特徴がみられた。
3) 文献レビューからは、勤労世代の食環境づくりにおける事業所給食の意義、事業所給食施設における管理栄養士・栄養士の配置の必要性等が示された。
結論
本研究より、常勤管理栄養士・栄養士の配置、施設側と受託側との連携は、社員食堂を活用した食環境整備の推進のための重要な要因と考えられた。また、文献調査からは、事業所給食を勤労世代の食環境づくりに活用することの意義と、その取組の推進のためのカギは管理栄養士・栄養士の役割と関係者間の連携であることが予測された。一方、事業所給食施設の関係者間の連携による栄養管理について直接的な関係を示す報告は見当たらなかった。以上より、事業所給食施設の関係者間の連携による栄養管理の重要性を明らかにしていくことは、新規性、必要性が高い研究と言える。
公開日・更新日
公開日
2025-08-18
更新日
-