特定健康診査における問診・検査項目の必要性・妥当性の検証、及び新たな項目の検討のための研究

文献情報

文献番号
202408032A
報告書区分
総括
研究課題名
特定健康診査における問診・検査項目の必要性・妥当性の検証、及び新たな項目の検討のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 克之(滋賀医科大学 医学部)
  • 後藤 励(慶應義塾大学 大学院経営管理研究科)
  • 荒木田 美香子(川崎市立看護大学 看護学部)
  • 由田 克士(大阪公立大学大学院 生活科学研究科食栄養学分野 公衆栄養学)
  • 田原 康玄(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
  • 寳澤 篤(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
  • 山岸 良匡(順天堂大学大学院医学研究科)
  • 平田 匠(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 平田 あや(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第4期の特定健診・特定保健指導が開始されたが、3期の内容と比べて、問診・検査項目の変更は最小限となっている。この制度は全保険者に実施を義務付けているためステークホルダーが多く、大きな変更を行うには十分なエビデンスと周知期間が必要である。そこで本研究では、第5期特定健康診査・特定保健指導(仮称)に向けて、問診項目と検査項目の大幅な見直しが必要かどうかを検討する。研究目的を達成するために、現行制度の評価をコホート研究や保険者データ、NDBなどの解析を用いて行い、さらに新規健診・問診項目(研究としては実施されているが現行項目にはないもの)の検証を行う。本研究は、先行研究である厚生労働科学研究「健康診査・保健指導における健診項目等の必要性、妥当性の検証、及び地域における健診実施体制の検討のための研究」、「健康診査・保健指導における効果的な実施に資する研究」の研究成果・資源を受け継いで実施される。
研究方法
令和6年度は、現行の特定健診の問診項目、検査項目の内容、第4期での改訂の経緯を精査した上で、各研究者が関わっている地域コホート等で現行の健診・保健指導の有効性(発症予測能やリスクの改善率)を検証する。また研究ベースで実施されている健診項目や問診項目のうち、特に有用な新規項目がないかを検証し自由な視点で今後の健診のあり方を議論する。また現行の項目の有用性について大規模データベースで解析できる体制を整え、現行の健診制度の費用対効果の検証を開始する。
令和7年度は、具体的な視点で現行制度の枠組みで保健指導の階層化等を変更した場合の影響、各項目と疾患アウトカム等との関係をコホート研究やデータベースを用いて検証する。また新規健診・問診項目を特定健診に取り入れた場合の影響についての検討も行う。健診・問診項目については、保健指導や受診勧奨などの介入が必要な健診受診者をより効果的に抽出できているかという視点で検証し、さらにハイリスク者の階層化に有用かどうかを明らかにする。さらに健診項目と問診項目の組み合わせにも着目して、単独の場合よりも有効なスクリーニングが可能かどうかを検証する。
令和8年度は、前年度までの知見に基づいて、健診の対象年齢、詳細な健診項目の内容と適用対象、保健指導の階層化基準、受診勧奨基準の設定を加味して、問診項目、検査項目の見直し案を提示し、ステークホルダーからの意見も収取し、新しい健診モデルの素案を提示する。
結果と考察
国内のエビデンスを整理すると、女性の腹囲の基準値が大き過ぎて高リスク者を拾い切れていない可能性が示された。またNDBの分析で、循環器病の入院の人口寄与危険割合は特定保健指導の対象外の血圧高値区分で大きいことが明らかになった。さらに某県国保データで非肥満者においても危険因子の集積に伴い循環器病の発症リスクが相乗的に増加していることも示された。ただし腹囲基準値の引き下げや非肥満の高リスク者への対策については、保健指導対象者数の増加や新たな事業が必要となるため、費用対効果等の分析を含めた多面的な評価が必要である。一方、詳細な項目の心電図検査については現行の該当基準が妥当であり、効率的にハイリスク者を選定できていると考えられた。また問診項目としては、高血圧との関連が強い食塩(Na)とカリウム(K)摂取の把握がクローズアップされた。高血圧の家族歴の聴取も重要と考えられ、これらはより厳格な保健指導等が必要な対象者の抽出に適している。さらに特定健診時の問診でがん予防についての評価とアドバイスも可能であり、トータルヘルスを推進していく上で有効である。また保健指導を充実させるには尿中ナトカリ測定と食事指導を組み合わせるなど本人にフィードバックしやすい取り組みが推奨される。また特定保健指導対象者に、都道府県等が提供している歩数記録機能を持つアプリの利用を呼びかけることは低コストで普遍性の高い事業になると考えられた。新しい検査項目としては、内臓脂肪面積(インピーダンス法)とBMIの両方が基準値を超えた群で慢性腎臓病の発症リスクが高いこと、高感度C反応性蛋白の高値が慢性腎臓病の発症リスクと関連することも示された。さらに健診における変性脂質、ストレス反応性マーカー、認知症マーカー、運動機能検査、骨量検査の検証を準備中である。費用対効果分析については、特定健診・特定保健指導を一体として評価するためのモデル構築を進めており、追加の感度分析、脳卒中と慢性腎臓病のモデルで簡略化できる部分を精査中である。
結論
本研究では、生活の質の低下や医療費の増加に関連する循環器病や透析の予防を目標に置いた場合、現行の健診・問診項目をどのように活用するのが最も効果的かを検証する。本年度はその端緒としていくつかの知見を報告した。

公開日・更新日

公開日
2026-02-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-02-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
202408032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,676,705円
人件費・謝金 1,203,038円
旅費 1,213,146円
その他 1,600,111円
間接経費 2,307,000円
合計 10,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-09-18
更新日
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