「薬学教育実務実習指導ガイドライン」の策定に向けた調査研究

文献情報

文献番号
200940073A
報告書区分
総括
研究課題名
「薬学教育実務実習指導ガイドライン」の策定に向けた調査研究
課題番号
H21-医薬・一般-027
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中村 明弘(社団法人 日本薬学会 薬学教育改革大学人会議)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,301,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤師養成のための6年制薬学教育課程においては、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した参加型実務実習を通じて、医療人として相応しい技能・態度を修得することが求められている。しかし、一般病院・保険薬局薬剤師および実務実習担当者以外の一般大学教員の実務実習指導経験は乏しく、指導者からは実務実習の具体的な指導方法を示す指針の作成が求められている。そこで本研究では、長期実務実習の指導に関する課題について調査検討し、「薬学教育実務実習指導者のための参考指針」を作成提示することを目的として実施した。
研究方法
1.実務実習スケジュール例提示のための調査
2.「実務実習モデル・コアカリキュラム」に準拠した指導方法に関する調査検討
3.「実務実習モデル・コアカリキュラム評価(案)」に準拠した評価・指導方法に関する調査研究
4.実務実習において生じる可能性がある指導上の問題に関する調査
結果と考察
本調査研究の結果は、DVD「薬学教育 実務実習指導のポイント 共に学び 共に育つ-輝け!未来の薬剤師たち-」と「薬学教育実務実習指導者のための参考指針」としてまとめた。DVDでは、参加型実務実習における指導のあり方をドラマ仕立てで具体的に例示した。DVDで例示した主な内容は以下の通りである:実習内容のステップアップ方法、形成的評価におけるPNPフィードバック方法、ロールプレイの実施方法、患者からの同意取得方法、服薬指導実習の実施方法、疑義照会実習の実施方法など。
「薬学教育実務実習指導者のための参考指針」には以下の内容をまとめた:実務実習モデル・コアカリキュラム「評価」、大学教員のための薬局実習指導の手引、DVD薬学教育実務実習指導のポイント内容解説、「実務実習記録」記載項目と作成プロセスの例示。また、実務実習スケジュール例、SBO別評価表、実務実習トライアル報告、認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ配布資料なども参考資料として掲載した。
 本研究事業において制作したDVDと「参考指針」は、参加型実務実習の円滑な実施に大いに役立つものと期待できる。
結論
平成22年度に開始される長期実務実習は6年制薬学教育プログラムの最重要科目の一つであり、開始前年度にあたる平成21年度に実施した本研究は実務実習の円滑な実施に向けて重要な役割を果たすことができた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940073C

成果

専門的・学術的観点からの成果
薬剤師を養成する新しい6年制薬学教育課程において、実践的な臨床能力を培う実務実習の指導体制・指導方法について具体的な提案・例示を行った。実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した実習の実施方法や評価方法は、教育学に基づいて検討したものであり、薬学分野における臨床教育学の基礎を構築するものである。近年、教育学の分野で注目されている“ポートフォリオ”を実務実習における学生の成長記録として用いることを提案し、実施されることになったのも教育学的な成果の一つである。
臨床的観点からの成果
医・歯学部のように附属病院を持たない薬学部では、一般病院・保険薬局において長期の実務実習が実施される。また「実務実習モデル・コアカリキュラム」では、学習方法が従来の見学型から参加型に改められた。一方、実習受入病院・保険薬局の薬剤師は教育経験が乏しく、また大学の一般教員も実務実習の指導経験が乏しい。そこで、本研究の成果物であるDVD「薬学教育 実務実習指導のポイント」と「薬学教育実務実習指導者のための参考指針」は、臨床現場において円滑かつ適切な参加型実習を行う上で、非常に有用な指針となる。
ガイドライン等の開発
文部科学省において策定された「実務実習モデル・コアカリキュラム」には、カリキュラムの三要素のうち“目標”と“方略”が記載されているが、“評価”については提案されていない。そこで、本研究事業で作成した「薬学教育実務実習指導者のための参考指針」は主として“評価”を中心にまとめた。評価の目的には“形成的評価”と“総括的評価”があるが、参考指針とDVDではとくに学習過程を改善するための“形成的評価”の実施方法について検討した結果を提案した。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省は、薬剤師の資格を有さない薬学部生が参加型実務実習を行うための要件として「薬剤師養成のための薬学教育実務実習の実施方法について」(平成19年6月)をまとめた。厚生労働省による薬剤師研修事業の一環として、日本薬剤師研修センターによって認定実務実習指導薬剤師の養成事業が平成21年度まで実施されてきた。本研究事業の成果である参考指針とDVDは、認定実務実習指導薬剤師を対象としており、参加型実務実習の円滑かつ適正な実施に向けて十分に貢献できる内容である。
その他のインパクト
本研究事業において制作したDVDは、文部科学省主催「薬学教育指導者のためのワークショップ」(平成21年8月)、日本薬剤師会学術大会(平成21年10月)において上映し、内容について高い評価を得た。参考指針に掲載した「『実務実習記録』の記載項目と作成プロセスの例示」については、日本薬学会薬学教育部会主催「教育フォーラム2009」(平成21年12月)、薬学教育協議会フォーラム2010(平成22年2月)で紹介し、参考指針は日本薬学会第130年会(平成22年3月)のシンポジウムにおいて紹介した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
日本薬学会薬学教育部会「教育フォーラム2009」平成21年12月、東京 薬学教育協議会フォーラム2010 平成22年2月、東京 日本薬学会第130年会、平成22年3月、岡山
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
DVD「薬学教育 実務実習指導のポイント 共に学び 共に育つ?輝け!未来の薬剤師たち?」の制作と配布 「薬学教育実務実習指導者のための参考指針」冊子の配布および日本薬学会ホームページでの公開

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-