献血者確保のための効果的な広報手法の開発に関する実証研究

文献情報

文献番号
200940065A
報告書区分
総括
研究課題名
献血者確保のための効果的な広報手法の開発に関する実証研究
課題番号
H21-医薬・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学 リハビリテーション学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 常彦(東邦大学医学部 社会医学講座 衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
2,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 H21は不特定多数に献血のリクルート活動をする場合に、何も情報を提示しないコントロール群、血液製剤の基礎知識を提供する製剤情報群、血液製剤は他人事ではなく家族の高齢者が使う可能性があることを製剤情報提示に追加して指摘した自己参照+群で、資料の提示で実献血の割合が異なるかを検討した。
 またH20年度に26歳以下の献血経験者を対象としてネット上で行った400人の調査、沖縄血液、東京血液センターでの献血現場の具体的なレポートを提示した調査の再解析を行った
研究方法
 ネットの調査会社の協力で日本全国の18歳から26歳までの者を対象に調査を行った。調査対象者は、調査会社に登録されている回答者の中で、年齢が18-26歳であり、献血が未経験もしくは献血経験がある、献血に協力する気持ちは問わない、疾患服薬などがなく献血に協力をしようと思えば可能である者を対象にした。
 本調査では、献血への理解の程度、献血への協力の意思などを質問した。その後、今まで献血にいかなかった理由とどうすれば参加するかなどを質問した。回答者は、1.なにも情報を提供しない「コントロール群」、2.血液製剤の作成だけを説明した「製剤情報群」、3.製剤情報に、血液製剤は身内の高齢者、自分自身にも関係することを説明した「自己参照+群」の3群に分類した。実際の献血行動にいたる要因は直交表を用いて割付を行ないコンジョイント分析で解析を行った。
結果と考察
 献血経験の有無に係らず献血時の所要時間の明示が、コンサート招待より部分効用が大きかった。献血回数が5回以上のものは1-4回のものに比べて、イベントコンサートへの招待の部分効用が低下していた。広報戦略として献血活動とタイアップするイベント告知は重要だが、普段の会場前での所要時間の明示が経験の有無や献血回数の大小にかかわらずより効果的と考えた。
 単純な血液製剤に関する説明を行なった製剤情報群がコントロール群より実献血の有無のオッズ比が有意に増加した。3群の中で製剤情報群は平均実献血回数がp=0.0021で増加することが判った。
 以前の調査を再解析し献血経験が1-4回の者が資料をみた場合、実献血回数が増加する傾向にあった。
結論
 以上の点より、今回の実証研究の結果として
1.献血会場に入場してから退場するまでに必要な時間の明示化
2.献血が健康管理になることの強調
3.輸血現場の提示、血液製剤の意義などの具体的な情報の提示
4.献血会場への来場者、特に複数回献血者の特性に応じたワントゥーワン・マーケティングの推進
が必要である事を強調したい。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
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