文献情報
文献番号
202408005A
報告書区分
総括
研究課題名
都市・農村における生活習慣病の実態比較およびパーソナルヘルスレコードを活用 した重症化予防介入プログラムの開発と効果検証
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1008
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
石見 拓(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 由光(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
- 岡田 浩(和歌山県立医科大学薬学部)
- 山本 景一(大阪歯科大学 医療イノベーション研究推進機構 事業化研究推進センター データサイエンス部門)
- 島本 大也(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
- 立山 由紀子(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
- 阿部 達也(株式会社ヘルステック研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,568,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、都市部・農村部の地域特性を踏まえた生活習慣病の発症および重症化予防介入に向けて、パーソナルヘルスレコード(PHR)を活用したサービスモデルを開発し、有効性を検証することである。令和6年度は以下の取り組みを行い、都市部・農村部におけるPHRを活用した糖尿病予防介入の有効性検証を開始した。
分担①:生活習慣病の発症および重症化予防に対する経済状況の影響、社会経済要因の検討
(1) 生活習慣病の行動・社会経済要因に関する調査の追加解析
分担③:糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムによる健康自己管理の改善効果の検証
分担④:生活習慣病の発症および重症化予防介入としてのPHR活用にかかる課題の検討
分担⑤:生活習慣病の発症および重症化予防介入での活用に向けたPHRアプリ・システムの開発および改修
分担①:生活習慣病の発症および重症化予防に対する経済状況の影響、社会経済要因の検討
(1) 生活習慣病の行動・社会経済要因に関する調査の追加解析
分担③:糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムによる健康自己管理の改善効果の検証
分担④:生活習慣病の発症および重症化予防介入としてのPHR活用にかかる課題の検討
分担⑤:生活習慣病の発症および重症化予防介入での活用に向けたPHRアプリ・システムの開発および改修
研究方法
分担①:令和4年度に実施した京都市の都市部・農村部を対象に「生活習慣病の行動・社会経済要因に関するアンケート調査」について、スリープヘルスを軸にした検討を行い、さらなる分析を進めた。
分担③:PHRを活用した糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムの有効性検証のため、京都市内および近郊の都市部および農村部の住民を対象にランダム化比較試験を実施し、年度内に参加者登録およびデータ収集を終了した。
分担④:予防介入プログラムでのPHR活用におけるシステム面での課題検討を行うとともに、頻回計測データを含むPHRデータ収集等に関する先行研究の追加レビューを行った。
分担⑤:介入プログラムでの活用に向けて被験者が記録したPHRデータを本人の同意のもとで医療者、健康づくり支援者、研究者等が閲覧できるよう、マニュアル整備およびシステムの改修を行った。
分担③:PHRを活用した糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムの有効性検証のため、京都市内および近郊の都市部および農村部の住民を対象にランダム化比較試験を実施し、年度内に参加者登録およびデータ収集を終了した。
分担④:予防介入プログラムでのPHR活用におけるシステム面での課題検討を行うとともに、頻回計測データを含むPHRデータ収集等に関する先行研究の追加レビューを行った。
分担⑤:介入プログラムでの活用に向けて被験者が記録したPHRデータを本人の同意のもとで医療者、健康づくり支援者、研究者等が閲覧できるよう、マニュアル整備およびシステムの改修を行った。
結果と考察
分担①:スリープヘルス(RU-SATED:6項目)と生活習慣病、孤独感、精神的ストレスとの関連について分析した。生活習慣病(糖尿病、高血圧)は、スリープヘルス(規則性、タイミング)との負の関連を認めた。また、精神的ストレス(K6 [8点以上])は、スリープヘルス(規則性、満足度、覚醒度、効率、睡眠時間)との有意な負の関連を示した。孤独感はスリープヘルスの各項目との関連を認めなかった。
分担③:都市部および農村部の住民96名(介入群49名、対照群47名)を解析対象とした。参加者背景は、対照群で、若干平均年齢および農村部在住の割合が高かった。主要評価項目である1日あたりの平均歩数は、介入群において平均612歩増加し、有意な差が認められた(p=0.041)。その他の臨床指標(血糖コントロール指標および血圧)については、改善傾向は認められたものの、いずれも統計学的に有意な差は確認されなかった。高齢者を含む多様な対象者がプログラムを完遂できたことは、PHRを活用した地域介入の実装可能性を示す重要な知見となると考えられた。また一連の取り組みで得た成果より得た示唆について、自治体との会議を通じて提言を行った。
分担④:国内外でPHRやウェアラブルデバイスによる健康関連データを用いた治療・健康増進に関する事例やPHR標準データ交換規格(Open mHealth)等の取り組みが進んでおり、多様なデータソースを組み合わせたPHR活用と社会基盤整備の重要性が示唆された。加えて、生成系AIを活用した合成患者データがプライバシー保護と研究有用性を両立する革新的技術として期待され、国際的に実装が進んでおり、我が国においても戦略的導入を検討すべき時期にあることが明らかとなった。
分担⑤:研究者が被験者の健康指導の際に使用する「生活習慣病ボード」、PHRデータをエクスポートするなど管理するウェブサイト「リサーチマネジャー」をそれぞれ準備し研究環境を整えた。被験者がスムーズにアプリをインストールするためのインストールマニュアル、研究者向けには「生活習慣病ボード」「リサーチマネジャー」の取り扱い説明書を作成し、必要な準備を整えた。
分担③:都市部および農村部の住民96名(介入群49名、対照群47名)を解析対象とした。参加者背景は、対照群で、若干平均年齢および農村部在住の割合が高かった。主要評価項目である1日あたりの平均歩数は、介入群において平均612歩増加し、有意な差が認められた(p=0.041)。その他の臨床指標(血糖コントロール指標および血圧)については、改善傾向は認められたものの、いずれも統計学的に有意な差は確認されなかった。高齢者を含む多様な対象者がプログラムを完遂できたことは、PHRを活用した地域介入の実装可能性を示す重要な知見となると考えられた。また一連の取り組みで得た成果より得た示唆について、自治体との会議を通じて提言を行った。
分担④:国内外でPHRやウェアラブルデバイスによる健康関連データを用いた治療・健康増進に関する事例やPHR標準データ交換規格(Open mHealth)等の取り組みが進んでおり、多様なデータソースを組み合わせたPHR活用と社会基盤整備の重要性が示唆された。加えて、生成系AIを活用した合成患者データがプライバシー保護と研究有用性を両立する革新的技術として期待され、国際的に実装が進んでおり、我が国においても戦略的導入を検討すべき時期にあることが明らかとなった。
分担⑤:研究者が被験者の健康指導の際に使用する「生活習慣病ボード」、PHRデータをエクスポートするなど管理するウェブサイト「リサーチマネジャー」をそれぞれ準備し研究環境を整えた。被験者がスムーズにアプリをインストールするためのインストールマニュアル、研究者向けには「生活習慣病ボード」「リサーチマネジャー」の取り扱い説明書を作成し、必要な準備を整えた。
結論
本年度は、令和5年度の各分担研究によって明らかとなった、生活習慣や糖尿病診療、PHR活用における課題を踏まえて、糖尿病の発症および重症化予防介入プログラムの有効性検証(ランダム化比較試験)を実施し、PHR を活用したプログラムは、参加者の行動変容(特に歩数増加)に有意な改善を示すことを明らかにできた。今後は、地域特性やユーザー特性に応じた介入内容や支援体制の工夫を図るとともに、自治体や関係機関と連携した社会実装の促進が求められる。
公開日・更新日
公開日
2026-02-13
更新日
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