医療機関内輸血副作用監視体制に関する研究

文献情報

文献番号
200940062A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関内輸血副作用監視体制に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 康彦(山口大学 医学部付属病院輸血部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 隆善(静岡赤十字血液センター)
  • 下平 滋隆(信州大学 医学部附属病院輸血部)
  • 田崎 哲典(東京慈恵会医科大学 附属病院輸血部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、これまでに全国大学病院輸血部会議、輸血細胞治療学会との輸血副作用・輸血過誤の共同調査・解析を行ない、輸血医療分野でのリスクマネッジメントの特殊性を明らかにした。このため本研究では輸血医療に関するリスクマネッジメントの確立を目的とした。諸外国と異なるわが国の輸血医療に適した方法の確立を行う点が特色であり独創的な点である。
研究方法
放射線未照射血使用・院内採血等の実態調査および輸血医療に関するリスクマネッジメントに関する項目(血液製剤の放射線ガイドラインV、緊急時の血液型確定のための標準的方法、小規模病院の輸血実施体制の問題点、輸血業務に関するITシステムの現状の問題点)の検討を輸血細胞治療学会と共同で行った。また、血液製剤の不活化技術について内外の情報収集を行った。さらに、過去4年間の小児輸血に関する輸血過誤の事例の再解析を行なった。
結果と考察
輸血・細胞治療学会:輸血後GVHD対策小委員会と全製剤照射を基本とする血液製剤の放射線ガイドラインVを新規に作成した。院内採血が相当数の施設で行われている現状を総合アンケート調査結果の解析により明らかにした。緊急輸血時の検体取り違えによるABO異型輸血の発生を指摘し、緊急時の血液型確定のための標準的方法の提案を行った。小児輸血に関する輸血過誤の事例を解析し、小児輸血特有の問題点があり、緊急にその対策が必要なことを指摘した。「血液製剤の使用指針」の改訂に際して各製剤の「使用上の注意点の記載」を統一する提案を行った。ITシステムの仕様書の標準化が必要なことを指摘した。
結論
輸血療法に関するリスクマネジメントの確立は「輸血療法の実施指針」等の改定に寄与するものであり、さらに「血液製剤の使用指針」改善提案を行った。また、本研究は適正使用の推進にも寄与するものである。各都道府県単位で実施されている合同輸血療法委員会等を通じて広く普及することにより、輸血医療の安全性向上に寄与し、国民医療の向上にも寄与する。

公開日・更新日

公開日
2010-03-23
更新日
-