無承認無許可医薬品の調査･分析及び有害性評価に関する研究

文献情報

文献番号

200940057A

報告書区分

総括

研究課題名

無承認無許可医薬品の調査･分析及び有害性評価に関する研究

課題番号

H21-医薬・一般-011

研究年度

平成21(2009)年度

研究代表者(所属機関)

大塚　英昭(広島大学大学院　医歯薬学総合研究科)

研究分担者(所属機関)

合田　幸広(国立医薬品食品衛生研究所　生薬部)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金健康安全確保総合研究分野医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究

研究開始年度

平成21(2009)年度

研究終了予定年度

平成23(2011)年度

研究費

5,000,000円

研究者交替、所属機関変更

研究報告書（概要版）

研究目的

　本研究では，特に成分本質（原材料）により無承認無許可医薬品と判断されるべき対象物について，調査と分析，有害性評価を行う．また，主に天然物について専ら医薬品としての範囲とその判断根拠のために，基原種調査，成分分析をおこなう．さらに，専ら医薬品の分析・鑑別法を提示する．

研究方法

　強壮や痩身を標榜する製品より検出された未知物質の構造決定はNMR, MS等の機器分析により行い，予想されるターゲットタンパク質がある場合には，MacroModel を用いドッキングスタディを実施した．新規に申請が合った成分本質については，基原植物の学名，和名，生薬名，医薬品としての使用実態，毒性，麻薬様作用，含有成分の構造等について文献調査を行った．対象物の基原の確認は，成分分析並びに遺伝子解析により遂行した．

結果と考察

　強壮を標榜するいわゆる健康食品よりアイルデナフィルを同定した．また，別な健康食品のカプセル基剤よりタダラフィルを検出するとともに，DART-TOF-MSによるスクリーニング法を確立した．ヒドロキシホモシルデナフィルについてin slicoでPDE5阻害活性を予測，専ら医薬品とすべきことを考察した．また，一部のED治療薬類似成分が，PDE5よりPDE6選択的に阻害が強いことを明らかにした．さらに，鏡検によるセンナ茎粉末と葉軸粉末の鑑別法を確立した．本年度，新規に調査依頼が合った植物由来品目では，専ら医薬品と判断されるものはなかった．一方，専ら医薬品トウジンより，既知ピロリジンアルカロイド2種，新規化合物として4種のピロリジンアルカロイドを単離，構造決定した．エフェドリン等向精神作用を持つアルカロイドの検出が報告されているSida 属植物に関し，採集及び購入を行い，形態観察及び遺伝子解析により種の鑑別を行った．その結果，海外市場に流通するSida 属植物製品は，多くの場合表示とは別植物で，流通の段階で，ほとんど植物学的同定がなされていないことが判明した．さらに，これまで食薬区分が行われていないイランイランノキの葉について，精油以外の成分研究を行い，新規変形モノテルペン及びメガスティグマン配糖体を単離構造決定した．

結論

　本研究の成果は，厚生労働省の専ら医薬品の監視・指導行政に貢献するとともに，食薬区分を行う際の基礎資料となる．