医薬品の微生物学的品質確保のための新規試験法導入に関する研究

文献情報

文献番号
200940054A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の微生物学的品質確保のための新規試験法導入に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
室井 正志(武蔵野大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚元 憲一(武蔵野大学 薬学部)
  • 佐々木 次雄(医薬品医療機器総合機構)
  • 那須 正夫(大阪大学 大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本薬局方には医薬品の微生物学的な品質を確保するためにいくつかの微生物試験法が規定されているが、その信頼性を保証する諸条件が十分に整えられていない。本研究では、新技術を用いた微生物の迅速同定法、迅速検出法を開発し、これらの参考情報への収載を目指す。さらに、本研究班で作成した無菌医薬品の製造に関する指針(無菌操作法と最終滅菌法)の改正を目的とした。
研究方法
微生物の迅速同定法はマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-TOFMS)を用い、微生物迅速検出法には、マイクロコロニー法を利用し細菌を培養することなく顕微鏡画像等から細菌数を把握する手法を検討した。無菌医薬品の製造に関する指針の改正作業は医薬品医療機器総合機構から3名、国立感染症研究所から1名、民間企業から17名を選出して行った。
結果と考察
微生物の迅速同定法では、菌体をトリフルオロ酢酸処理することにより、安全で、かつ、継代、培地、凍結法に左右されない再現性のよいマススペクトルプロファイルを得た。この方法で日局標準菌株5種のマススペクトルを測定するとそれぞれ異なるパターンを示した。微生物迅速検出法では画像処理法を検討し、大腸菌を用いて細菌数を計測したところ、通常の計数操作のように数十の視野を数えることなく、細菌数を把握できた。また、水環境中に生息する細菌についても同様の結果が得られた。日本版「無菌操作法指針」の改正作業は省令GMP及び薬局等構造設備規則、ISO 13408-1 (2008)、WHO-GMP (2009改正案)、EU-GMP Annex 1 (2009)、FDA無菌操作法ガイダンス (2004)と比較し班会議で改正作業を行った。
結論
MALDI-TOFMSを利用した微生物の迅速同定法では、BSL2レベルの微生物でも安全かつ迅速に測定できる菌体の前処理法を確立し、再現性のよいマススペクトルプロファイルを得るための条件を設定した。これを用いて日局標準菌株5種のマススペクトルを測定しそれぞれ識別可能であることを示した。微生物迅速検出法では簡便な細菌モニタリング法(画像処理法)を検討し、標準菌を添加したイオン交換水等を試料としてこれまでに決定したプロトコールに従って蛍光染色を行い、目視計数による細菌数の測定結果と画像処理法での測定結果を比較してその精度を確認した。日本版「無菌操作法指針」の改正作業は約2/3の見直しを完了した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
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