インフルエンザワクチン需要予測に関する研究

文献情報

文献番号
200940019A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-026
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 由美(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 延原 弘章(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 大日 康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
1.医療機関等を対象とした接種状況調査
医療機関等に対し、シーズン前(平成21年9月末)に協力を依頼し、シーズン終了後(平成22年3月)に調査票の回収を行った。調査対象施設数は、(社)日本医薬品卸業連合会加盟の医薬品卸売業者が平成19年度に1本以上を供給した全国82,133施設から、都道府県を層として無作為に抽出した3,364施設とした。
2.住民を対象とした接種意向調査
幼児・児童,成人,高齢者の3世代を対象としてインフルエンザワクチンの接種意向調査を行った。調査方法は、調査会社とモニター契約を結んでいる世帯にWebアンケートへの回答を求める方法とした。一部別居高齢者750名を対象とした郵送法による調査も実施した。
結果と考察
1.平成21年度における実際のインフルエンザワクチン使用本数は厚生労働省調べで2,039万本であり、本研究者等の昨年度の推計値は、医療機関調査で26.0-29.7%多く、住民調査で24.5%多かったことが明らかとなった。推計値が実際より約25%以上も多くなったのは、今年度は新型インフルエンザ用ワクチンの製造のため、季節性インフルエンザ用ワクチンの製造本数が少なかったことが影響したものと考えられた。
2.平成21年度のインフルエンザワクチン接種率は、回答医療機関等の偏りの補正を行なった結果、1歳未満6.9%、1歳以上6歳未満54.7%、6歳以上13歳未満39.9%、13歳以上65歳未満24.1%、65歳以上51.3%で、世代間格差がみられ、全体では32.6%と推定された。この接種率を平成20年度と比較すると、何れの世代でも減少していた。この結果も新型インフルエンザの流行が影響していると考えられた。
3.医療機関等を対象とした接種状況調査及び住民を対象とした接種意向調査に基づき、平成22年度のワクチン需要数を推計した。
結論
インフルエンザワクチンの需要動向は、新種のインフルエンザまたは類似の呼吸器感染症の流行やその恐れ、またそれらに関する報道の状況、あるいはワクチン接種に関する手続・制度等の改変によって大きく変化することを考慮すると、インフルエンザワクチン需要量の定型的な推計方法を確立するためには、長期にわたる継続した調査が必要と考える。今年度は新型インフルエンザの流行による影響が認められた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200940019B
報告書区分
総合
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-026
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 由美(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 延原 弘章(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 大日 康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
1.医療機関等調査
医療機関等に対し、シーズン前に協力を依頼し、シーズン後に調査票の回収を行った。
平成19年度は、社)日本医薬品卸業連合会加盟の医薬品卸売業者が平成15年度に1本以上を供給した医療機関等施設の中から、平成20、21年度は、平成19年度に1本以上を供給した医療機関等施設の中から、都道府県を層として無作為に対象施設の抽出を行った。調査対象施設数は、平成19年度3,952(抽出率5.20%)、20年度3,419(同4.16%)、21年度3,364(同4.10%)である。
2.住民調査
幼児・児童、成人、高齢者の3世代を対象としてインフルエンザワクチンの接種意向調査を行った。平成20年度および21年度の需要予測は、調査対象世帯数をそれぞれ2,750、2,400として郵送法で実施し、平成22年度の需要予測は、Webアンケート調査法によって実施した。
結果と考察
1.インフルエンザワクチン接種率は経年的に上昇傾向にあることおよび世代間格差が大きいことが、この3年間も継続していた。
2.住民調査では、平成19年度の需要量予測から自己負担額の分布に基づく積分によって推計する方法に変更した。さらに22年度の需要予測は郵送法をWeb調査法に変更し精度を上げる工夫をした。
3.インフルエンザワクチンの需要予測量を実際の使用量を比較すると、平成19、20年度では、医療機関等調査で2%?14%、住民調査で8%?12%程度の過少予測であったが、21年度では約25%以上の過大予測となった。これは、この年度には新型インフルエンザが流行したため、季節性インフルエンザワクチンの製造量が減少したことが原因と考えられた。
4.医療機関等を対象とした接種状況調査及び住民を対象とした接種意向調査に基づき、ワクチン需要数を推計し、厚生労働省のインフルエンザワクチン需要検討会において報告した。
結論
1.インフルエンザワクチンの需要動向には、新種のインフルエンザまたは類似の呼吸器感染症の流行やその恐れ、またそれらに関する報道の状況、あるいはワクチン接種に関する手続・制度等の改変による影響が大きいと考えられるが、平成21年度には新型インフルエンザが実際に流行し、需要予測にその影響が認められた。
2.インフルエンザワクチン需要量の定型的な推計方法を確立するためには、長期にわたる継続的な調査が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ここ10年にわたる研究の結果、我が国のインフルエンザワクチン接種率の年次推移(平成12年?21年)を初めて明らかにした。
臨床的観点からの成果
重症化予防やインフルエンザ流行を抑える効果のあるインフルエンザワクチン接種が、任意接種となっているため需要量の把握が困難な状況下である。その需要量を予測することはインフルエンザ対策に寄与している。
ガイドライン等の開発
平成20年度のインフルエンザワクチン需要検討会(平成20年6月18日)で研究成果を報告。
平成21年度は新型インフルエンザ流行のため開催されず。
その他行政的観点からの成果
平成19年度の研究成果は、平成20年度インフルエンザワクチン需要検討会に報告され、20年度のインフルエンザワクチンの需要量の決定の根拠資料となった。平成21年の成果は、平成22年度の需要検討会の資料となる予定である。(平成21年度は新型インフルエンザ流行のため、需要検討会が開催されなかった。)
その他のインパクト
需要検討会の結果はマスコミが報道した。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
1件
Japanese Journal of Infectious Diseases
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
日本公衆衛生学会総会
学会発表(国際学会等)
2件
Joint Scientific Meeting of the AEA and the IEA Western Pacific Region - Hobart, Australia, 2007.8
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
延原弘章、渡辺由美、三浦宜彦、他
2006/07年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
厚生の指標 , 54 (13) , 44-52  (2007)
原著論文2
延原弘章、渡辺由美、三浦宜彦
2007/08年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
健康福祉研究 , 5 (2) , 27-38  (2008)
原著論文3
延原弘章、渡辺由美、三浦宜彦
2008/09年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
健康福祉研究 , 6 (2) , 119-130  (2009)
原著論文4
延原弘章、渡辺由美、三浦宜彦
2009/10年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
健康福祉研究 , 7 (1) , 39-50  (2010)
原著論文5
延原弘章、渡辺由美、三浦宜彦
2009/10年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
健康福祉研究 , 7 (2) , 39-51  (2010)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-