分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究

文献情報

文献番号
202401018A
報告書区分
総括
研究課題名
分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AA2005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
野口 晴子(早稲田大学 政治経済学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 片岡 弥恵子(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
  • 増澤 祐子(新潟県立看護大学 看護学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
23,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、大きく2つである。第1に、正常分娩を取り扱う医療機関等を対象に、出産等の費用構造等の実態を把握することを目的とする。正常分娩は自費診療であり、費用構造を明らかにした大規模調査は行われていない。そこで、本研究では、令和5年度に実施された予備的なパイロット調査とヒアリングから得られた結果を参考に、全国の分娩取扱施設を対象とした悉皆調査と標本調査(以下、サンプル調査)を並行して実施することとした。第2に、令和6年度に実施した調査で各患者(産婦)の分娩に関わった医師・助産師・看護師を対象としたタイムスタディは自計式であったことから、令和7年度に実施予定の他計式前向き調査によるタイムスタディのための準備を行う。
研究方法
本研究が実施した『分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査』では、令和5年度に実施したパイロット調査における個別の調査項目に対する回答率の結果から、比較的回答率の高かった調査項目については悉皆調査(以下、A票)、回答率が低い調査項目については無作為抽出による標本調査(以下、サンプル調査、B票)を実施することとした。サンプル調査については、①分娩施設の機能、②分娩件数、③経営主体で層別化を行い、Stata18.0で乱数を発生させ、抽出率1/2で調査対象者を無作為抽出した。その結果、最終的な調査対象数は、病院A票が911件、病院B票が500件、診療所A票が936件、診療所B票が469件、助産所が326件、A票が計2,173件、B票が計1,295件となった。第2に、令和7年度に実施する他計式でのタイムスタディ表作成のために、病院(周産期母子医療センターを含む)、診療所(各1か所)に勤務する産科医師3名、小児科医師(新生児科)2名、病院など勤務の助産師4名、助産所勤務の助産師3名程度、計12名を対象に、修正デルファイ法を用いて、必須観察項目の検討を行った。
結果と考察
令和6年度に『分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査』の回収状況は、悉皆調査が2,173件中1,012件(46.6%)、サンプル調査が1,295件中502件(38.8%)、患者(産婦)票に回答した施設が1,295件中448件(34.6%)、患者(産婦)数は3,885名中1,072名(27.6%)、うちタイムスタディに対する回答は908名であった。主な結果としては、「無痛分娩」は、総合・地域周産期母子医療センター42%、それ以外の病院48%、診療所44%で実施されていた 。「無痛分娩」の平均設定価格は、総合・地域周産期母子医療センターとそれ以外の病院は約12万円、診療所は約9万円であった。入院中に提供されるサービスに関して、「お祝い膳」は、総合・地域周産期母子医療センターで79%、それ以外の病院で84%、診療所で76%、助産所で31%で提供。料金は、80%以上の施設で個別に明示されず、入院料等に含まれていた。「産婦合計負担額」の平均値は、無痛分娩(603,338円)>帝王切開(511,299円) >その他の分娩(485,636円)の順で高かった。「産婦合計負担額」は、総合・地域周産期母子医療センター(537,358円)>診療所(513,405円)>それ以外の病院(503,551円)>助産所(448,154円)の順で高かった。平均的な妊婦健診(病院+診療所)の費用の平均は113,425円(中央値115,800円)、うち望ましい基準に含まれない健診項目の費用は10,882円(中央値3,460 円)であった。年度別の損益率の状況について、回答のあった病院(74施設)では、令和4年度が▲5.4%、令和5年度が▲6.9%であった。うち、「総合・地域周産期母子医療センター」(39施設)では、令和4年度が▲5.9%、令和5年度が▲6.9%であり、「それ以外の病院」(35施設)では、令和4年度が▲8.1%、令和5年度が▲6.5%であった。また、診療所(医療法人、43施設)では、令和4年度が6.3%、令和5年度が3.6%であった。また、修正デルファイ法の結果から、令和7年度に実施予定の他計式前向き調査によるタイムスタディの項目として、入院診療計画書の立案や説明、CTG装着や判読等、数多くの項目が採用となった。
結論
令和6年度に『分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査』の結果については、第1に、外れ値や誤答と思われるものが含まれているため、あくまでも速報値であり、令和7年度に研究班が精査を行う予定である。第2に、修正や調整が可能と判断したデータについては、研究班により統計的な処理を施した。第3に、以上の理由により、群間での違いに対する統計的な検定は殆ど行っておらず、群間での統計的な有意差についても、データの精査後に研究班にて行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2025-06-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-06-27
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収支報告書

文献番号
202401018Z