動物実験代替法を用いた安全性評価体制の確立と国際協調に関する研究

文献情報

文献番号
200940003A
報告書区分
総括
研究課題名
動物実験代替法を用いた安全性評価体制の確立と国際協調に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター、薬理部、新規試験法評価室)
研究分担者(所属機関)
  • 大野泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 山本直樹(藤田保健衛生大学共同利用研究施設)
  • 松永佳世子(藤田保健衛生大学医学部皮膚科)
  • 大森 崇(京都大学大学院医学研究科)
  • 板垣 宏(日本化粧品工業連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物実験については、欧米を中心に動物愛護団体等からの反対運動が活発に行われており、動物を用いない安全性試験法の開発が迫られている。そこで、本研究では動物実験代替法(以下、代替法と記す)に関する国際情勢を考慮しながら、化粧品や医薬部外品の安全性評価のために用いられている代替法の開発を目指す。さらに、開発された代替法について、バリデーション、専門家による第三者評価(以下、第三者評価と記す)および行政的な視点での評価を行う。
研究方法
代替法の開発が十分でない眼刺激性試験および感作性試験の代替法を開発した。種々の代替法について、バリデーションおよび第三者評価を行った。さらに、「医薬部外品の製造販売承認申請における安全性に関する資料のあり方検討会(安全性試験のあり方検討会)」において、行政的な視点での評価を行った。
結果と考察
代替法の開発では、新規眼刺激性試験に用いる細胞株を開発できた。感作性試験代替法の信頼性を高める整備を行った。
バリデーションとして、培養表皮モデルLabCyte EPI-MODEL24を用いた皮膚刺激性試験代替法のバリデーション研究を行い、良好な結果を得た。
第三者評価として、①酵母光生育阻害試験と赤血球光溶血性試験を組み合わせた光毒性試験代替法、②培養表皮モデルを用いた皮膚刺激性試験代替法、③in vitro発熱性物質試験について適切な評価が実施された。
行政的な受入れ評価として、①培養表皮モデルを用いた皮膚刺激性試験代替法、②皮膚感作性試験 LLNA-BrdU、③牛摘出角膜試験による眼刺激性試験代替法および④鶏摘出眼球試験による眼刺激性試験代替法の評価を行い、行政的な受入れを推奨することになった。
さらに、代替法について、安全性試験のあり方検討会は以下のような提言を行った。
①医薬部外品の安全性レベルを維持することを前提に、動物実験の要否、代替法の選択を判断すべきである。
②代替法は、OECD(経済協力開発機構)テストガイドラインや公的な機関でバリデーションや第三者評価が実施されたものを用いる。
③代替法は、その適用範囲や限界を理解した上で実施されるべきである。

結論
現状では使用可能な代替法が少なく、代替法の研究・開発に国や業界などからの積極的な財政支援の必要性が明らかになった。現在も多くの代替法が評価されているが、これらの中から医薬部外品の安全性評価に用いる公的に認証された代替法の適用範囲と限界を、安全性試験のあり方検討会で今後も審議していくべきである。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200940003B
報告書区分
総合
研究課題名
動物実験代替法を用いた安全性評価体制の確立と国際協調に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター、薬理部、新規試験法評価室)
研究分担者(所属機関)
  • 大野泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 松永佳世子(藤田保健衛生大学医学部皮膚科)
  • 山本直樹(藤田保健衛生大学共同利用研究施設)
  • 大森 崇(京都大学大学院 医学研究科)
  • 板垣 宏(日本化粧品工業連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物実験については、欧米を中心に動物愛護団体等からの反対運動が活発に行われており、動物を用いない安全性試験法の開発が迫られている。そこで、本研究では動物実験代替法(以下、代替法と記す)に関する国際情勢を考慮しながら、化粧品や医薬部外品の安全性評価のために用いる代替法の開発を目指す。また、バリデーション、専門家による第三者評価(以下、第三者評価と記す)および行政的な受入れの視点で、試験法の適性評価(以下、行政的な評価)を行う。
研究方法
代替法の開発が十分でない眼刺激性試験、皮膚刺激性試験および感作性試験の代替法を開発した。種々の代替法について、バリデーション、第三者評価および行政的な評価を行った。さらに、「医薬部外品の製造販売承認申請における安全性に関する資料のあり方検討会(以下、安全性のあり方検討会と記す)」を設立した。
結果と考察
代替法の開発では、新規眼刺激性試験代替法のための細胞株を開発できた。皮膚刺激性試験および感作性試験代替法の信頼性を高める整備を行った。バリデーションや第三者評価として、酵母光生育阻害試験と赤血球光溶血性試験を組み合わせた光毒性試験代替法、皮膚感作性試験LLNA-BrdUおよびLLNA-DA法、培養表皮モデルを用いた皮膚刺激性試験代替法(皮膚刺激性試験代替法)、牛摘出角膜または鶏摘出眼球試験による眼刺激性試験代替法(眼刺激性試験代替法)、in vitro発熱物質試験について適切な研究や評価が実施された。
行政的な評価としては、ヒト皮膚モデルを用いた皮膚腐食性試験代替法、LLNA-DA法およびLLNA-BrdU法、皮膚刺激性試験代替法、眼刺激性試験代替法の行政的な受入れを推奨することになった。
以上の代替法の利用について、安全性のあり方検討会では以下のような提言を行った。
①医薬部外品の安全性レベルを維持することを前提に、動物実験の要否、代替法の選択を判断すべきである。
②代替法はOECD(経済協力開発機構)テストガイドラインや公的な機関でバリデーションや第三者評価が実施されたものを用いる。
③代替法は、その適用範囲や限界を理解した上で実施されるべきである。
結論
現状では使用可能な代替法が少なく、代替法の研究・開発に国や業界などからの積極的な財政支援の必要性が明らかになった。医薬部外品の安全性評価に用いるため、公的に認証された代替法の適用範囲と限界を、安全性のあり方検討会で今後も審議していくべきである。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
皮膚刺激性試験代替法の開発において、日本で開発された培養皮膚モデルと欧米モデルの差別化ができた。眼刺激性試験代替法開発のため、正常な角膜上皮細胞の不死化に成功した。この細胞を利用した試験法開発の目途が立った。日本で開発されたin vitro皮膚感作性試験の信頼性を向上できる条件が明らかになった。
臨床的観点からの成果
皮膚科医の立場から、医薬部外品や化粧品の安全性評価の国内外の状況を調査した。現在の医薬部外品の承認申請に必要な臨床試験として位置付けられているパッチテスト改良の必要性が呈された。
ガイドライン等の開発
現在、医薬部外品の承認申請に必要な安全性に関する添付資料のために必要な安全性試験に本研究班で認められた動物実験代替法を加えた改定を行うべく、審議会での検討を厚生労働省 審査管理課にお願いしている。
その他行政的観点からの成果
本研究班でバリデーションおよび第三者評価を行った皮膚感作性試験 LLNA:DAおよびLLNA:BrdU-ELISAがOECDテストガイドラインとして承認された。また、培養表皮モデルLabCyte EPI-Modelを用いた皮膚刺激性試験代替法においても、テストガイドラインとしての検討がOECDで進んでいる。
その他のインパクト
最終年度に、本研究班の成果を公開する目的で、「医薬部外品の製造販売承認申請における安全性に関する資料のあり方検討会報告」シンポジウムを開催し、一般市民を含む約250名の参加を得た。本セミナーは新聞にも取り上げられ、化粧品の安全性評価と動物愛護問題の現状を幅広く国民に普及させた。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
16件
その他論文(和文)
56件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
62件
学会発表(国際学会等)
74件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
「医薬部外品の製造販売承認申請における安全性に関する資料のあり方検討会報告」シンポジウムおよびJaCVAMワークショップ第2&3回

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ashikaga T., Sakaguchi H., Ohno Y., et al
Assessment of the human Cell Line Activation Test (h-CLAT) for Skin Sensitization; Results of the First Japanese Inter-laboratory Study
Altern. Animal Test. EXperiment , 13 (1) , 27-35  (2008)
原著論文2
Kosaka N., Okamoto K., Ohno Y., et al
A study of the criteria for THP-1 cells selection in the human Cell Line Activation Test (h-CLAT) : Results of 2nd Japanese Inter-laboratory Study
Altern. Animal Test. EXperiment , 13 (2) , 55-62  (2008)
原著論文3
Sono S., Yamada T.,Ohno Y., et al
A study on serum difference on test results in the human Cell Line Activation Test (h-CLAT): Results of 3rd Japanese inter-laboratory study
Altern. Animal Test. EXperiment , 13 (2) , 63-69  (2008)
原著論文4
Mizuno M., Yoshida M.,Ohno Y., et al
Effects of pre-culture conditions on the human Cell Line Activation Test (h-CLAT) results: Results of the 4th Japanese inter-laboratory Study
Altern. Animal Test. EXperiment , 13 (2) , 70-82  (2008)
原著論文5
Omori. T. , Idehara. K., Kojima H., et al
Interlaboratory validation of the modified murine local lymph node assay based on adenosine triphosphate measurement
Journal of Pharmacological and Toxicological Methods , 58 , 11-26  (2008)
原著論文6
Kojima, H., Ando, T., .,Ohno Y., et al
Validation of human skin models for skin corrosivity tests in Japan
Altern. Animal Test. EXperiment , 13 (1) , 36-44  (2008)
原著論文7
小島肇夫
動物実験データなしで新規医薬部外品の申請はどこまで可能か?
BIO INDUSTRY , 26 (8) , 42-49  (2009)
原著論文8
小島肇夫
医薬部外品の製造販売承認申請における安全性試験の資料に関するあり方検討会報告
日皮協ジャーナル , 32 , 89-91  (2010)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-