抗酸化物質を含有するいわゆる健康食品の安全性・有効性に関する研究

文献情報

文献番号
200939059A
報告書区分
総括
研究課題名
抗酸化物質を含有するいわゆる健康食品の安全性・有効性に関する研究
課題番号
H21-食品・若手-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
竹林 純(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 輝樹(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム)
  • 卓 興鋼(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
  • 坪田 恵 (宇津木 恵)(独立行政法人国立健康・栄養研究所 栄養疫学プログラム)
  • 沖 智之(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 機能性利用研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
野菜や果実等に豊富に含まれる抗酸化物質は、健康維持及び疾病予防に寄与することが明らかになりつつある。しかし、これらの抗酸化物質を含む「いわゆる健康食品」(抗酸化サプリメント)については、その有効性及び安全性を示す科学的根拠が不足している。そこで本研究では、抗酸化サプリメントの有効性及び安全性を、野菜や果物からの抗酸化物質摂取の食経験と照らし合わせて評価するため、以下の研究を行った。
研究方法
1)食品からの抗酸化物質抽出法を確立するため、野菜を検体として抽出溶媒等の検討を行った。2)確立した抽出法を用いて、日本において良く摂取されている23種類の野菜についてORAC法を用いて抗酸化能を測定し、野菜からの抗酸化物質一日摂取量を推算した。3)野菜からの抗酸化物質摂取量の地域差について検討した。4)野菜中の抗酸化物質の定量及び定性を行った。5)野菜中の抗酸化物質及びその健康影響について文献調査を行った。
結果と考察
1)食品からの抗酸化物質抽出法は、メタノール/水/酢酸=90/9.5/0.5を抽出溶媒とし、高速溶媒抽出装置を用いて行う方法が好適だと考えられた。2)350 g/日の一般的な野菜を摂取した場合、抗酸化物質標準品であるトロロックスに換算して約2000マイクロモルの抗酸化物質を摂取可能と推算された。3)地域による抗酸化物質摂取量の大きな差は認められず、抗酸化能に寄与している野菜は全国的にごぼうとたまねぎであり、次いでばれいしょ、なす、キャベツ、だいこん、にんじんであった。4)野菜の抗酸化能に含有ポリフェノールが大きく寄与していた。さらに、野菜類に含まれるポリフェノール類を網羅的に解析した結果、アグリコンとしてカフェ酸、ケルセチン等が検出された。5)野菜中のポリフェノール含有量について文献調査を行ったが、得られた情報は限定的であった。含有抗酸化物質の健康影響については、幾つかの無作為化比較試験結果が報告されており、今後系統的レビューまたはメタ分析によりその評価を試みる。
結論
今年度は、野菜中の抗酸化物質に着目して研究を行った。次年度は、果物に着目して同様の検討を行うと共に、市販の抗酸化サプリメントの抗酸化能を測定し、通常の食生活における野菜・果物の摂取による抗酸化能摂取量と比較することで、その有効性及び安全性について検討する。また、抗酸化サプリメント使用に対する意識調査も実施する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-