食品中残留農薬のリスク管理手法の精密化と国際化対応に関する研究

文献情報

文献番号
200939049A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中残留農薬のリスク管理手法の精密化と国際化対応に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 保博(財団法人残留農薬研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 飯島 和昭(財団法人残留農薬研究所 化学部)
  • 永山 敏廣(東京都健康安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
残留農薬を含む食品の摂取に伴う健康影響リスクをより適切に管理するため,(1)農産物における日本と国際機関及び諸外国との残留基準適用部位・検査部位の違いを比較整理し,国際的な基準に対応するための方法等を検討する。また,処理率や輸入率等の要因を含め,インポートトレランス設定における暴露量評価を精密化する情報をEPA等から収集し,その適用性を検討する。(2)作物残留試験結果から最大残留量を統計学的に推定する手法の導入が国際機関で検討されている。導入に先立ち,わが国農業慣行に基づく作残試験データを収集し,残留基準値を設定する手法の比較検討を行う。また,食品分類の改定が国際機関で進められている。整合化に向けて,これら分類を比較検討する。(3)調理加工における農薬分解物のデータを収集,解析し,生成物検索のためのモデル実験法を考案する。ケーススタディーを行って分解生成物を把握し,調理加工に係るリスク管理手法の指針案を提案する。
研究方法
(1)りんごとなしについて5農薬(6成分)で試験し,国内と国際機関の基準値適用部位における残留濃度を比較した。(2)7農薬で,2作物,各8例(x2年)の作物残留試験を行い,残留データを得た。上記作物試料は,日本植物防疫協会に委託して調製した。(3)有機リン剤など10農薬を有栓及び無栓容器中で加熱し,分解生成物を検索した。
結果と考察
(1)検査部位に関する国際基準と日本基準との比較表を作成した。ももとその他の核果類(計8種)について既存データから算定した国際基準対応残留濃度は,国内基準対応残留濃度の0.88-0.96倍(ももでは0.94倍)に相当した。りんごとなしにおける6種農薬成分の両基準による残留濃度の比は,試験場間の変動が大きかった。(2)はくさい及びほうれんそう各8例の各5種及び4種農薬の残留値の分布は,いずれも非正規分布と推定された。同データから予備的に検討したEU及びNAFTAの算定法による最大残留量は相互に比較的類似していた。(3)既存データ及び国際機関の関連指針の情報を収集したほか,有機リン農薬の90-150度での加熱により,O,S,S-TMPと示唆される分解物が生成した。
結論
残留基準適用部位および検査部位に関する国際基準と国内基準との相違のうち、一部は既存国内データの活用によって対応することが可能と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
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