食中毒調査の精度向上のための手法等に関する調査研究

文献情報

文献番号
200939024A
報告書区分
総括
研究課題名
食中毒調査の精度向上のための手法等に関する調査研究
課題番号
H20-食品・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 小沢 邦寿(群馬県衛生環境研究所)
  • 松舘 宏樹(岩手県環境保健研究センター)
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所)
  • 野田 衛(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 津田 敏秀(岡山大学大学院環境学研究科)
  • 徳田 浩一(鹿児島大学医学部・歯学部附属病院)
  • 黒木 由美子(財団法人日本中毒情報センター)
  • 杉下 由行(東京都島しょ保健所 小笠原出張所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,723,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の食中毒調査の精度向上のために、1.食品媒介経路の占める比率や原因食品の寄与率(アトリビューション)推定のための手法の開発、2.広域食中毒事例の探知と対応のための手法の開発、3.個々の疾病の疫学に関する詳細検討、4.疫学的解析手法の開発と啓発、5.化学物質および自然毒等による食中毒事例調査の向上のための検討の5点を目標とした。
研究方法
1.協力自治体において、腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の散発例に対してインターネットを用いた症例対照研究を実施した。2.2009年に発生したEHEC感染症広域事例の関係自治体に対して、訪問ならびに質問票を用いた調査を行った。また、各地方衛生研究所からのノロウイルスのシークエンスデータを収集、解析、還元し、疫学情報との共有化や連絡を行った。3から5は結果のみを示す。
結果と考察
1.25例の解析より、内臓肉(生か半生)、その他肉料理(生か半生)等が有意なリスクという結果が得られた。今後は、規模を拡大し、より詳細な解析を行っていくことが必要である。2.自治体内での質問票の共有、感染症担当および食品担当両課の連携体制、近隣自治体とのネットワーク形成は概ね整っていた。一方、菌株の収集とPFGE情報の把握にタイムラグがある場合、迅速な対応は困難であった。国としての基盤整備の必要性も明らかとなった。ノロウイルスの広域集団食中毒事例と考えられる事例を探知することができた。3.溶血性尿毒症症候群(HUS)症例の疫学的特徴解析した結果、VT2産生大腸菌感染と関連している可能性があることが示唆された。また、自治体間でHUS発生報告数に偏りがあった。4.岡山市、岡山理科大学、岡山大学大学院による疫学研修会について評価し、考察した。5.日本中毒情報センター(JPIC)の受信事例は化学物質および自然毒に起因する食中毒症例の情報源となり、JPICは化学物質中毒症例収集機関となり得ることが示された。今後、化学物質による食中毒症例収集システム、症候群による起因物質診断補助システム等の構築が必要である。
結論
食中毒調査の精度向上のために、我が国における感染源推定手法と結果の利用方法、広域散発食中毒事例に対する調査や対応体制のあり方、疫学調査方法の応用について、研究班では具体的な提言をとりまとめ、ガイドラインを作成する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-24
更新日
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