事業場における過重労働による健康障害防止対策を促進させるための研究

文献情報

文献番号
200938010A
報告書区分
総括
研究課題名
事業場における過重労働による健康障害防止対策を促進させるための研究
課題番号
H20-労働・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 正知(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 筒井 隆夫(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 寶珠山 務(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 堤 明純(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成20年度から3年計画で、過重労働による健康障害の発生・増悪の機序に関する小規模事業場の特徴を分析し、支社支店型・構内協力型・系列型・独立型等の類型ごとにその防止に効果的な対策を考案し、提言にまとめることを目的とする。
研究方法
平成21年度は、次の研究を実施した。
1)生活時間研究:労働者804人の生活時間を6か月間連続して調査し、残業時間の長短が、睡眠時間やその他の生活時間に与える影響を調査した。
2)申出のない面接指導調査:労働者数1,000人以上の大企業1,482社の人事担当者を対象に、労働安全衛生法第66条の8が規定する長時間労働者に対する医師の面接指導の社内体制と実態を調査した。
3)判例DB作成:過重労働による健康障害に関する判例データベースを作成した。
4)Vital Exhaustion(VE)調査:疫学指標としてのVE調査票の安定性を検討した。
5)その他:長時間労働の健康障害に関する文献調査、医師調査結果に基づく啓発資料の作成、ストレス対策の組織介入に関する理論の整理を実施した。
結果と考察
1)残業時間、年齢、性別、通勤時間は、睡眠時間に有意に影響した。女性は男性より睡眠時間が短くなりやすく、未婚者は既婚者よりも睡眠時間が短いが残業時間が長いと既婚者の方短くなった。
2)回答企業は515社(回答率34.8%)で、面接指導を受けていない労働者が長時間労働による健康障害を生じた事例がある企業は33社(6.4%)であった。「本人の申出」がなくても面接指導を実施している企業が437社(84.9%)で、時間外労働が80時間/月という基準が124社と最多であった。
3)過労死等の38裁判の判決文から、使用者及び産業医等の安全配慮義務の具体的内容を整理した。
4)労働者352人の3年間の時間外労働、生活習慣、VE得点の関連を検討し指標の安定性を検討した。
5)2004年以降の11文献のデザイン、目的、曝露指標、対象、結果、結論及び文献の要約を日本語で体系的に整理した。医師のストレスによる影響を予防する啓発資料(スライド24枚)を作成した。職業性ストレス対策の組織介入の意義、利用可能な理論及び介入方法論に関する理論を整理した。
結論
時間外労働の増加は、睡眠時間よりも生活時間の減少に大きく影響していた。大企業の約85%は「本人の申出」がない場合も独自基準で面接指導を実施していた。VE調査票の有用性を確認した。過重労働の健康影響に関する文献と判例のデータベースと医師のストレス調査の結果に基づく啓発資料を作成した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
-