診療録等標準形式情報を活用した各種定型文書の作成・情報共有に関する研究

文献情報

文献番号
200937073A
報告書区分
総括
研究課題名
診療録等標準形式情報を活用した各種定型文書の作成・情報共有に関する研究
課題番号
H21-医療・指定-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
木村 通男(国立大学法人 浜松医科大学 医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 隆一(国立大学法人 東京大学大学院 情報学環)
  • 中島 直樹(国立大学法人 九州大学 医学部附属病院 医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
文書作成に忙殺される医師の一助となるべく、厚生労働省標準的医療情報交換推進事業SS-MIX標準ストレージを利用して、各種文書作成について、二重入力をせずにすむ環境を構築、更に、臨床研究ケースカード作成や副作用報告等に利活用されることを考慮して監査証跡も標準的な形式によるものとする。
研究方法
SS-MIX標準ストレージに蓄積される患者基本、検査結果、処方・注射、病名登録の各情報を取り込み、残る必要な情報を入力してもらう文書作成支援システムを構築、評価する。患者や外部に情報を渡すことを考慮し、可搬型電子媒体(指紋認証USBフラッシュメモリ)への追記が問題なく行えることを示す。既存の臨床情報検索システムに監査証跡を国際的規格であるIHE ITI ATNAプロファイルにより残す機能を試作する。同様の基盤を九州大学病院にも構築する。
結果と考察
標準形式HL7規格での追記による記録は問題なく行われ、ブラウザにより異なる施設での検査、基準値が違う場合でも明示できることが示された。文書作成支援システムは浜松医大病院で実装され、副作用報告、保険会社への診断書作成などに活用されている。診断書作成に要する時間は手書きに比べて40%も短縮された。更に、監査証跡も実装され、新GCP対応の基盤が整った。
結論
患者に渡す医療情報として、標準形式HL7規格によれば、追記が可能であり、施設間で異なる基準値も明示的に扱えることが示された。SS-MIX標準ストレージに蓄積された情報を利用して、各種文書を作成支援するシステムを構築した。例として、保険会社に提出する診断書の作成時間は40%程度削減できた。多施設対応、臨床研究、臨床業務基盤として利活用される場合に備えて、新GCP対応のための監査証跡を残す機能をIHE ITI ATNAプロファイルに基づき実現できた。臨床エビデンス創出をにらみ、2007年新規採用薬について、AST, BUN, CK, アルブミン、白血球数の初回投与前後での明確な悪化を数時間かからず全件検索することができた。母集団患者の背景要因も考慮する必要があるが、添付文書で指摘されている副作用を観測することが出来た。来年度は、多施設参加臨床研究を考え、基盤の整った九州大学病院においても同様の文書作成支援システム、臨床研究検索システムの展開を行う。

公開日・更新日

公開日
2010-05-12
更新日
-