医師と医療関係職種等との連携や勤務形態のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200937068A
報告書区分
総括
研究課題名
医師と医療関係職種等との連携や勤務形態のあり方に関する研究
課題番号
H21-医療・指定-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 啓行(東京大学大学院 医学系研究科 健康医科学創造講座)
  • 康永 秀生(東京大学大学院 医学系研究科 医療経営政策学講座)
  • 鈴木 洋史(東京大学医学部附属病院 臨床薬物動態学)
  • 井上 智子(東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科 総合保健看護学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在医療関連職種の役割分担と連携の推進が議論されている。医療関係職種が安全性を担保した上で、役割分担と連携を推進することは、病院勤務医の勤務環境改善や、効率的な医療体制構築に繋がると期待される。
しかし、拙速な新制度導入は現場に大きな混乱を招きうる。まずは海外の状況を視察し、今の日本の医療現場の実態やニーズについて意識調査をする意義は大きい。
本報告書では上記の報告に加えて、実態に即した医療関係職種の役割分担と連携の在り方について提案する。
研究方法
米国におけるPhysician Assistant(PA)/ Nurse Practitioner (NP)の実態視察と、全国医学部長病院長会議と協働で、全国大学病院の医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士にアンケート調査を行った。アンケート調査は、1「重症患者・術後患者管理における医療処置の実施状況ならびにコメディカルへの役割拡大の可能性に関する調査」、2「薬剤師の業務範囲拡大に関する調査」、3「PA導入および臨床工学技士の業務拡大に関する調査」、4「日本版NP導入に関する調査」からなる。
結果と考察
米国PA/NP実態視察では、教育システム、免許システムともに確立し、明確な機能分担ルールに沿い運用していた。アンケート調査は、1では看護師が行った処置について他職種の認識が低い傾向だった。また侵襲的行為の医師以外への拡大は看護師が消極的だった。2では薬剤師が薬剤師も実施可能とすべきと考えたのは、薬物動態や製薬学関連分野と経静脈・経管栄養剤の処方、鎮痛剤の選択や用量設計等であった。3では、医師、非医師ともに過半数がPA導入に賛成だった。PA導入賛成は看護師で比較的少なく、臨床工学技士と若年非医師で多かった。4では、NP導入賛成は医師は過半数であり、非医師は半数未満だが、若年看護師と私大病院看護師では賛成が多かった。NP導入で医師不足問題が解決する、ないしは医療の質が改善すると考える割合は全職種で低かった。
結論
本報告書は米国PA/NP実態視察と全国大学病院アンケート調査に基づき作成した。本邦での医療関係職種の連携や勤務形態を今後検討する際の重要な基礎資料になりうるであろう。
今後、関係者は日本の医療制度全体の問題を視野に入れて課題解決に向けての議論を開始すべきである。まずは医療現場のグレーゾーンを明確化し、専門分化、機能分担、連携を進めることが大切と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937068C