病院間及び病院内の連携体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200937065A
報告書区分
総括
研究課題名
病院間及び病院内の連携体制の構築に関する研究
課題番号
H21-医療・指定-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
水上 尚典(北海道大学大学院医学研究科 生殖・発達医学講座 産科・生殖医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 千石 一雄(旭川医科大学医学部 産婦人科学)
  • 斉藤 豪(札幌医科大学 婦人科腫瘍学)
  • 館石 宗隆(札幌市保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
周産期救急患者を受け入れ可能病院への転送時間短縮が社会から求められている。この時間の延長は周産期三次施設が複数ある都市で顕著であり、いわゆる受け入れ困難症例が多発している。三次施設の受け入れ拒否理由は「NICU病床満床」であることも多い。これらの問題を解決するためには、札幌市で開始され新たなシステムの効果について検討する。
研究方法
2008年10月より札幌市で開始された新たな産婦人科救急システムにおいて、夜間(午後7時?翌朝7時)発生した産婦人科救急患者数、受け入れ病院決定がスムーズに行なわれたか否か、等について札幌市より情報提供を受けて検討した。このシステムでは札幌市が助産師などのコーディネーターを雇用した。コーディネーターは午後6時?午後7時の間に市内12病院(NICUを擁する6病院ならびに二次救急を担当する6病院)に「その晩の患者受け入れ可否状況」につき電話で問い合わせを行い、これらを担当する12病院の申し合わせルールにしたがって、二次救急患者、三次救急患者、ならびに未受診妊婦が発生した場合の優先搬送先病院を決定し、午後7までに決定事項をこのシステムに参加した病院に通知する。コーディネーターは一般市民、二次三次救急患者発生を確認した医師ならびに救急隊員からの電話相談を午後7時?午前7時の間受け付ける。二次三次施設受診が必要と判断した場合には優先搬送先と決定していた病院に患者発生を伝えると同時に受け入れを要請し相談者にその病院名を回答する。
結果と考察
札幌市夜間帯(午後7時?午前7時)、一次二次施設(NICUベットを擁さない施設)においてNICUを必要とする患者の発生数0.1名/日であった。すなわち、現在の標準的周産期医療を行なった場合、出生数1.6万地域、かつ計6施設が計48床のNICUベットを有するという条件下ではあるが「数時間以内にNICUベットが必要と判断された患者の夜間発生数は1晩あたり0.1人」であることが明らかとなった。

結論
医師以外の医療人(主に助産師)がコーディネーターとして、高次施設の連携強化(情報の一元化)を図る本システムは救急ベットの有効利用につながり、また現場で働く産婦人科医師の労働量軽減、負担感軽減に役立つ。このシステム下では救急患者の受け入れ先病院への収容はきわめてスムーズの行なわれるようになり、救急隊員からも好評である。コーディネーターという職種を医療現場に導入することにより、効率的に医療を展開できる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-28
更新日
-