皮膚・排泄ケア認定看護師による高度創傷管理技術を用いた重症褥瘡発生の防止に関する研究

文献情報

文献番号
200937031A
報告書区分
総括
研究課題名
皮膚・排泄ケア認定看護師による高度創傷管理技術を用いた重症褥瘡発生の防止に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-022
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
真田 弘美(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 須釜 淳子(金沢大学大学院 医学系研究科)
  • 宮地 良樹(京都大学大学院 医学系研究科)
  • 館 正弘(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 松山 裕(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 長瀬  敬(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高度創傷管理技術を皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC看護師)に教育し、体系的ケアを実施することで、褥瘡重症化率の低下、治癒期間の短縮、更に患者QOLを向上させ、そして医療コストを減少させることを目的とする。平成21年度は、2回目の教育の実施とさらに教育の効果を評価するために非ランダム化比較試験を実施した。
研究方法
高度創傷管理技術教育プログラムを受講した10名がケアした対象者を介入群、プログラムを受講していない19名による従来どおりにケアした対象者をコントロール群とした。コントロール群は施設特性をマッチングさせ、治癒または介入3週間までを調査期間とした。看護師特性、患者身体特徴、ケア要因、DESIGN‐Rを調査し、DESIGN-R総点が減少したものを改善群、それ以外を悪化群として、交絡変数を調整したロジスティック回帰分析を行い、介入の効果を評価した。DESIGN-R総点のベースラインからの各群の変化を混合効果モデルにて分析した。費用の評価として、3週間の褥瘡治療に要した費用を算出し、教育介入有無による費用対効果分析を行った。
結果と考察
分析患者は314名(介入123名、コントロール191名)であった。コントロール群では教育介入群に比較して褥瘡が悪化した人の割合は1.8倍であり、高度創傷管理技術教育介入がないことは褥瘡の悪化に影響していた(OR=1.825,[95%CI:1.085-3.068],p=0.023)。また、技術項目では、デブリードマンの処置を施行しない場合は褥瘡が悪化していた。(OR=3.194,[95%CI:1.160-8.794],p=0.025)。褥瘡の重症度の変化をアウトカムとした教育の介入効果では、介入群では、群と時間の交互作用が有意で、高度創傷管理技術教育を受講することでDESIGN-Rの減少が促進されていた(交互作用項p=0.010)。費用対効果分析の結果、DESIGN-Rを1点減少させるために必要な費用は、教育介入群では5,864円でコントロール群8,972円の65.4%であった。高度創傷管理技術教育を受講し、技術を実施することで褥瘡重症化の予防、治癒の促進、医療費削減効果が得られることが示唆された。
結論
1.1週目の褥瘡の悪化割合は、コントロール群では教育介入群に比較して1.8倍であった。
2.教育介入群では、DESIGN-Rの減少が促進されていた。3.デブリードマン技術を施行していない場合は、技術を施行している場合に比較して、褥瘡の悪化割合は3.2倍であった。4.教育介入群では、コントロール群に比較して費用対効果がよく、約35%の費用を削減できていた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200937031B
報告書区分
総合
研究課題名
皮膚・排泄ケア認定看護師による高度創傷管理技術を用いた重症褥瘡発生の防止に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-022
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
真田 弘美(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 須釜淳子(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 宮地良樹(京都大学 大学院医学系研究科)
  • 館 正弘(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 松山 裕(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 長瀬 敬(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高度創傷管理技術を皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC看護師)に教育し、体系的ケアを実施することで、褥瘡重症率の低下、治癒期間の短縮、更に患者QOLを向上させ、そして医療コストを減少させることを目的とする。
研究方法
平成20年度は、エビデンスのある技術をシステム化し、高度創傷管理技術提供による褥瘡重症化予防プロトコールを作成した。また、教育プログラムを構築し、WOC看護師へ教育を実施した。平成21年は、高度創傷管理技術教育プログラムを受講した10名がケアした対象者を介入群、プログラムを受講していない19名による従来通りにケアした対象者をコントロール群とした比較試験を実施した。コントロール群は施設特性をマッチングさせ、治癒または介入3週間までを調査期間とした。看護師特性、患者身体特徴、ケア要因、DESIGN‐Rを調査し、ロジスティック回帰分析、及び混合効果モデルにて教育介入の効果および技術項目を評価した。また、3週間の褥瘡治療に要した費用を算出し、教育介入有無による費用対効果分析を行った。
結果と考察
自己回答式質問票の結果、教育内容については、わかりやすさと高度さが高く評価された。比較試験の結果は、患者は介入群123名、コントロール群191名であった。コントロール群では褥瘡が悪化した人の割合は介入群の1.8倍で、教育介入がないことは褥瘡の悪化に影響していた(OR=1.825,[95%CI:1.085-3.068],p=0.023)。技術項目では、デブリードマンの処置を施行しない場合は褥瘡が悪化していた。(OR=3.194,[95%CI:1.160-8.794],p=0.025)。褥瘡の重症度の変化をアウトカムとした教育効果では、教育を受講することでDESIGN-Rの減少が促進されていた(交互作用項p=0.010)。費用対効果分析の結果、DESIGN-Rを1点減少させるために必要な費用は、教育介入群では5,864円でコントロール群8,972円の65.4%であった。高度創傷管理技術教育を受講し、技術を実施することで褥瘡重症化の予防、治癒の促進、医療費削減効果が得られることが示唆された。
結論
WOC看護師を対象とした高度創傷管理技術教育プログラムを構築し教育を実施した結果、褥瘡悪化の割合はコントロール群では1.8倍であった。また、教育介入群では、DESIGN-Rの減少が促進されていた。デブリードマン技術未実施の場合は、実施に比較して、褥瘡の悪化割合は3.2倍であった。教育介入群では、コントロール群に比較して費用対効果がよく、約35%の費用を削減できていた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937031C