現状に即したへき地等の保健医療を構築する方策および評価指標に関する研究

文献情報

文献番号
200937022A
報告書区分
総括
研究課題名
現状に即したへき地等の保健医療を構築する方策および評価指標に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鈴川 正之(自治医科大学 救急医学)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生学)
  • 浅井 康文(札幌医科大学 高度救命救急センター)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院 国際島嶼医療学)
  • 大田 宣弘(島根県立中央病院)
  • 米倉 正大(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 井上 和男(帝京大学 地域医療学)
  • 今道 英秋(自治医科大学 救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 へき地等の保健医療を向上させる具体的な方策を示すとともに評価の方法を提示することを目的とした。
研究方法
 今年度は、1)へき地等の診療所に関するアンケート調査と、2)医師の総合診療およびへき地勤務に対する指向に関するアンケート調査について分析を行うとともに、3)各地で行われているへき地等に勤務する医師のキャリアパスを分析して、「へき地等に勤務する医師のキャリアパスのモデル」と「へき地等に勤務した医師を評価するシステム」についての提言をまとめた。
結果と考察
 1)へき地等の診療所に関するアンケート調査については、対象の92.5%にあたる472施設から回答が得られた。勤務継続に重要なこととしては、「診療支援体制の強化」「地域住民の理解と協力」「地元行政の理解と協力」「勤務環境の向上」があげられた。短期の代診を確保している医師は3割に過ぎなかった。へき地医療支援機構の認知は36.7%に過ぎず、56.9%が利用したことがないと回答した。
 2)医師の総合診療・へき地医療に関する調査は1240名(回答率67.2%)から回答を得た。37.2%の医師が卒前の地域医療教育を受けていた。地域医療教育を受けた医師の51.2%がへき地勤務に積極的で、41.4%が消極的、受けていないものでは積極的41.4%、消極的49.2%であった。へき地での勤務経験がある医師は44.2%であり、へき地経験を持つ医師の47.6%がへき地勤務に積極的で、43.1%が消極的であり、経験のないものでは積極的42.8%、消極的49.9%であった。
 3)「へき地に勤務する医師のキャリアパス」について、へき地の医療機関、へき地医療拠点病院、大学附属病院等の専門病院を3つの柱として、数年間ごとに異動して勤務するモデルを考案した。「へき地等に勤務した医師を評価するシステム」として、臨床研修とへき地勤務を公的組織が認定することで、へき地勤務を行った医師に資格を付与し、診療報酬の上乗せやへき地医療拠点病院における定員の確保等につなげることを提言した。
結論
 依然として、診療所に対する支援は十分でないことが判明した。卒前の地域医療教育とへき地勤務の経験は、へき地勤務への積極性と関連する可能性が示された。キャリアパスを構築しへき地での勤務の評価を行なえば、へき地勤務へのインセンティブとなると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200937022B
報告書区分
総合
研究課題名
現状に即したへき地等の保健医療を構築する方策および評価指標に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鈴川 正之(自治医科大学 救急医学)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生学)
  • 浅井 康文(札幌医科大学 高度救命救急センター)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院 国際島嶼医療学)
  • 大田 宣弘(島根県立中央病院)
  • 米倉 正大(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 井上 和男(帝京大学 地域医療学)
  • 今道 英秋(自治医科大学 救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 へき地等の保健医療を向上させる具体的な方策を示すとともに評価の方法を提示することを目的とした。
研究方法
 1)医師養成機関に対する調査と、2)へき地等の診療所に関する調査、3)医師の総合診療およびへき地勤務に対する指向に関する調査を行うとともに、4)へき地等に勤務する医師の「キャリアパスのモデル」と「勤務についての評価」について提言をまとめた。
結果と考察
 1)医師養成機関に対する調査(平成20年12月):62の医師養成機関から回答を得た(回答率78%)。「地域枠選抜」は15大学(予定7大学、以下同様)、地元出身者に限らない選抜は4大学(12大学)、地域の医師を養成する奨学金制度は19大学(4大学)で行われていた。「地域枠選抜」等の学生へのサポートは15大学中7大学で行われていた。
 2)へき地等の診療所に関する調査:対象の92.5%にあたる472施設から回答が得られた。短期の代診を確保している医師は3割に過ぎなかった。へき地医療支援機構の認知は36.7%に過ぎず、56.9%が利用したことがないと回答した。
 3)総合診療・へき地医療の指向に関する調査:1240名(回答率67.2%)から回答を得た。37.2%の医師が卒前に地域医療教育を受けており、地域医療教育を受けた医師の51.2%がへき地勤務に積極的で、41.4%が消極的、受けていないものでは積極的41.4%、消極的49.2%であった。へき地勤務を経験している医師は44.2%であり、へき地経験を持つ医師の47.6%がへき地勤務に積極的で43.1%が消極的であり、経験のないものでは積極的42.8%、消極的49.9%であった。
 4)へき地の医療機関、へき地医療拠点病院、大学附属病院等の専門病院を3つの柱として、継続してへき地に勤務する医師のキャリアパスのモデルを考案し、へき地に勤務した医師に資格を付与し、診療報酬上や勤務場所についてメリットを与えることを提言した。
結論
 「地域枠選抜」に関しては、ある程度統一された方法を用いてより良い体制を構築するべきであると考える。 依然として、診療所に対する支援は十分でないことが判明した。卒前の地域医療教育とへき地勤務の経験は、へき地勤務への積極性と関連する可能性が示された。キャリアパスを構築し、へき地での勤務の評価を行なえば、へき地勤務へのインセンティブとなると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937022C