質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究

文献情報

文献番号
200937004A
報告書区分
総括
研究課題名
質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究
課題番号
H19-医療・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 昌範(東京医科大学・医療情報学講座医療情報学)
  • 加藤 尚子(国際医療福祉大学・医療管理学/医療人類学)
  • 中山 茂樹(千葉大学工学部デザイン工学科)
  • 平尾 智広(香川大学医学部 医療政策)
  • 嶋森 好子(京都大学医学部附属病院)
  • 坂本 すが(東京医療保健大学・医療保健学部看護学科)
  • 小林 美亜(国立大学病院データーベースセンター)
  • 秋山 健一(日本医科大学 医療管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,714,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今年度は一年度と二年度の病棟における研究を発展させ、病棟を越えた「施設間の連携」や医療の基準「患者と医療者の関係」について分析した。これらの研究を基に今後のあるべき病棟や病院の経営を構想した。
研究方法
大学や自治体病院のケース分析も行ない東京都医師会等の業務の実態調査を再分析した。更に全国62病院の看護部長や師長への自記式アンケートにより看護組織や医師との関係について現状調査を行い分析した。
今年度は特に「信頼のコミュニケーション」をキーワードに崩壊しつつある病院のあり方を再構築する可能性を模索した。そのため再度、質、安全、満足を分析しそのためのインフォームドコンセントを法律学的に検討した。更に建築医学的観点からも新たな病棟及び病院のあり方を検討した。また病院の実証データを用いて物流や情報システムのあり方を検討した。これらをまとめる組織のあり方としてのガバナンスを分析した。
一年二年度目の成果も含めて上記の臨床から地域までの各レベルでのマネジメント、更には看護や医療の組織のあり方について新たな提言としてまとめた。
結果と考察
看護体制アンケート調査ではチームメーシングが重視され、医師との関係は10年前より改善との認識が増加したがパートナーシップの現実性は低いと括られていた。質や安全については5Sやリスクマネジメントをもう一度信頼のコミュニケーションを通して組織的にとらえる必要が浮きぼりとなった。
法曹界では「インフォームドコンセント」よき「医療コミュニケーション」と法的な「リスクマネジメントのための担保」とを混同した判例が認められその峻別とガイドラインの必要性が明らかとなった。
 建築学的にも入院を外来の近接性を担保し病棟規模は固定されたものでなくケアの単位と管理の単位で捉えなおす必要があることが判った。
結論
日本の医療界、そして病院のあり方、更には病棟の機能は今大きな転換期を迎えている。それは医療者と患者の関係が変化し職種間の役割分担が大きく変わり地域の施設間の分担と連携が問われている事がその背景にあると判明した。病棟の経営はそれらの各レベルの変化を踏まえて再設計する必要がある。設計の基本には医療者と患者を軸とするチーム作りがあり信頼のコミュニュケーションがそのために必須となる。入院から退院まで一貫した患者中心のフォローアップ体制と各職種のかかわりが必要となった。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200937004B
報告書区分
総合
研究課題名
質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究
課題番号
H19-医療・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 昌範(東京医科大学・医療情報学講座医療情報学)
  • 加藤 尚子(国際医療福祉大学・医療管理学/医療人類学)
  • 中山 茂樹(千葉大学工学部デザイン工学科)
  • 平尾 智広(香川大学医学部 医療政策)
  • 嶋森 好子(京都大学医学部附属病院)
  • 坂本 すが(東京医療保健大学・医療保健学部看護学科)
  • 小林 美亜 (国立大学病院データーベースセンター)
  • 秋山 健一(日本医科大学 医療管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会問題化しつつある医師不足や医療崩壊は医学部定員増では短期に解決できず、早急な病院の生産性の向上が必須となる。崩壊の原因業務負担増の軽減には病棟レベルまで降りたマネジメントの再検討が必要である。本研究は職種間のコミュニュケーション、医療者と患者の関係、職種間の役割分担、施設間の連携、情報システムや物流、建築学的分析等関連する領域の統合的研究を目的としている。
研究方法
一年度目は自治体病院と各種病院の病院フィールド調査を中心に各職種へのインタビュー、医師へのアンケートなどにより「実態の把握と分析」に努めた。二年度目はその成果を基に「背景にある要因の分析」を歴史的官庁統計国際比較研究等を通して明らかにすることに努めた。三年度目は病院の各機能、各職種の役割を踏まえて「新たな病棟や病院のあり方」をケアのレベル、建築の構造、病院経営の組織など多面的なアプローチで検討した。
結果と考察
日本の平均在院日数はOECD諸国平均の数倍だがここ15年の間に急性病院を中心に半減しかつての欧州に追いついた。独仏に比して看護以外の人的投入は少なく機能分化の隘路が存し生産性も低い。日本の病院は歴史的に診療所や福祉施設の機能を持ち未分化であった。病棟もこれまで練度の高い匠医師と看護の心を持つ師長があうんの呼吸で運営され、患者の疾患の診断から治療と回復期までの各病期に亘るケアを切れ目なく担って来未分化であった。しかし急激な平均在院日数の低下と共に分化が始まり従来の組織が崩壊した。この歴史的大転換からの再構築を図るには信頼のコミュニケーショを軸とし、まず医療者と患者がそして職種間でのチーム作りが必須と考えられる。そして質や安全についても5Sやリスクマネジメントをもう一度その軸で組織的にとらえる必要がある。
「インフォームドコンセント」は法曹界ではよき「医療コミュニケーション」と法的な「リスクマネジメントのための担保」とを混同されており、その峻別とガイドラインの必要性が明らかとなった。建築学的には病棟規模は固定されたものでなくケアの単位と管理の単位で捉えなおす必要があること物流もITによる見える化が必要と判明した。
結論
病棟マネジメント研究により病院でも地域でも経営に大きなパラダイムシフトが生じていることが分かった。未分化な日本の医療界も分化分担連携により新しく生まれ変わる必要があると言えよう。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937004C