重症拡張型心筋症へのbridge-to-transplantation/recoveryを目指した新規治療法の開発と実践

文献情報

文献番号
200936274A
報告書区分
総括
研究課題名
重症拡張型心筋症へのbridge-to-transplantation/recoveryを目指した新規治療法の開発と実践
課題番号
H21-難治・一般-219
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮川 繁(大阪大学 医学系研究科)
  • 市川 肇(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 松山 晃文(大阪大学 医学部附属病院)
  • 川真田 伸(先端医療振興財団 先端医療センター研究所)
  • 大門 貴志(兵庫医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
462,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
拡張型心筋症に対する筋芽細胞シートの臨床応用に関する研究を行う。
研究方法
左室補助人工心臓を装着した拡張型心筋症患者に対して、骨格筋採取を行い、当院未来医療センターのCell processing centerにて、GMP基準を満たす筋芽細胞を単離し、温度応答性培養皿を用いて、筋芽細胞シートを作成する。新規植え込み型定常流人工心臓を装着し、筋芽細胞シート移植を行う。

結果と考察
左室補助人工心臓を装着した患者2例、人工心臓を装着していない心不全患者2例より、骨格筋を安全に採取し、GMP基準を満たした筋芽細胞を得ることが可能で、計24枚の筋芽細胞シートを作成可能であった。同患者に安全に左開胸にてシートを移植することが可能であった。体外式左室補助人工心臓装着患者に対して、植え込み型補助人工心臓への入れ替えを4例行った。
 前臨床試験として、脂肪由来間葉系幹細胞より分化誘導された心筋芽細胞を用いて、心筋芽細胞シートを作成し、ブタ慢性期梗塞モデルに移植した。本細胞シートは梗塞心に生着し、超音波にて機能を解析したところ、コントロール群と比較し、心機能向上を認めた。
 今後、本年度に開発した筋芽細胞シート移植の安全性・可能性に関する評価法をもとに、本臨床研究を評価する予定である。また、植え込み型新規定常流補助人工心臓への植え替え治療"Bridge to Bridge"は、心臓移植まで安全にかつ合併症なく自宅待機できる可能性が示唆され、今後補助人工心臓を用いた"Bridge to Transplantation"治療に有意義な治療であるものと思われる。さらに、本研究で開発した"Bridge to Bridge", "Bridge to Transplantation"治療をベースとした"Bridge to Recovery"治療を、筋芽細胞シートもしくは心筋芽細胞シートを用いて行う予定である。
結論
本プロジェクトにより、細胞シート治療の安全性、可能性が示されるとともに、新しい植え込み型定常流人工心臓と細胞シートを用いた新しい心不全治療の可能性が示された。今後、心筋芽細胞シートの臨床応用を目指し、さらに治療効果を高める方法を模索する予定である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-