文献情報
文献番号
200936248A
報告書区分
総括
研究課題名
シトリン欠損症の自然歴と生活歴にもとづく実態解明と治療指針の作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-193
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岡野 善行(大阪市立大学大学院 医学研究科 発達小児医学)
研究分担者(所属機関)
- 佐伯 武頼(徳島文理大学 健康科学研究所)
- 小林 圭子(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 池田 修一(信州大学 医学部)
- 大浦 敏博(東北大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
シトリン欠損症の出生から老年に至るまでの自然歴を明らかにし、生活指導、食事療法、薬物療法の適応基準、各ステージの治療指針を作成する。1)成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)発症の予防因子の同定、2)新生児肝内胆汁うつ滞症(NICCD)、適応・代償期、CTLN2の各ステージの関連性。3)シトリン欠損による生体代謝環境の解明。4)ピルビン酸ナトリウムと高蛋白高脂肪食の効果を明らかにし、患者のよりよいQOLをめざす。
研究方法
1)病歴・病態調査のために、成人および小児患者の登録を研究協力者に依頼する。(1)新生児?乳児期のNICCDに対するガイドラインの作成のため、調査票を配布する。(2)患者、特に小児のQOLを客観的に評価する方法(PedsQL)を作成し、その有効性の確認と患者での評価を行う。(3)各ステージでのシトリン欠損患者の糖質、脂質、蛋白質代謝の解明と酸化ストレスの検索を行う。
2)CTLN2では救命的な緊急治療として、ピルビン酸ナトリウム療法と食事療法を行い、その有効性を検討する。
3)新生児マススクリーニングでの発見頻度と無症候性シトリン欠損症新生児の存在の有無について検討を行う。
4)動物モデルによる食事療法、薬剤投与実験等で病態解明と治療方法の開発を行う。
2)CTLN2では救命的な緊急治療として、ピルビン酸ナトリウム療法と食事療法を行い、その有効性を検討する。
3)新生児マススクリーニングでの発見頻度と無症候性シトリン欠損症新生児の存在の有無について検討を行う。
4)動物モデルによる食事療法、薬剤投与実験等で病態解明と治療方法の開発を行う。
結果と考察
CTLN2発症 8例におけるピルビン酸ナトリウムと高脂肪高蛋白食療法では、神経症状の改善とアンモニアの低下を認め、現時点では肝移植を回避できており、その有効性を示唆している。無症状期においても、生体代謝環境は正常ではなく、シトルリン高値、酸化ストレスマーカーの異常、ミトコンドリア機能異常、高コレステロール血症を示した。この時期での治療効果判定に、患者QOL調査、食事調査とともにその有効性を示唆していた。わが国のタンデムマススクリーニングでのシトリン欠損症の発見率は1/7.6万人と、遺伝子診断からの患者頻度1/1.7万人に比較して少ない。新生児期に生化学的異常や臨床症状を示さない患者の存在が推定された。モデルマウスを用いた研究ではピルビン酸ナトリウムの有効性が確認された。
結論
シトリン欠損症は新生児から乳児期のNICCD、幼児から青年期の適応・代償期、成人でのCTLN2と各時期に応じた治療を行うことで、症状の改善が可能である。CTLN2の発症予防と治療が可能であると推定され、肝移植を回避できると考えられる。これらの研究成果は、将来、患者とその保護者に対して、学校生活、社会生活上でのQOLの向上に貢献できる。
公開日・更新日
公開日
2010-06-07
更新日
-