文献情報
文献番号
200936228A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性ケトン体代謝異常症(β-ケトチオラーゼ欠損症、サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ欠損症)の発症形態と患者数の把握、診断指針に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-173
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 敏幸(岐阜大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 山口 清次(島根大学医学部)
- 重松 陽介(福井大学医学部看護学科)
- 高柳 正樹(千葉県こども病院)
- 新宅 治夫(大阪市立大学大学院発達小児医学)
- 堀川 玲子(国立成育医療センター・第一専門診療部内分泌代謝科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児期にはケトーシスによく遭遇する。重篤なケトアシドーシスの中には先天性ケトン体代謝異常症が含まれている。β-ケトチオラーゼ(以下T2)欠損症、サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(以下SCOT)欠損症がその代表で、稀な疾患である。これらの疾患は診断が難しい疾患であるが、診断さえつけば、高価な治療法を必要とせず、発作を未然に防ぎ正常発達ができる疾患である。本研究の目的は、非典型例を含めた臨床像の把握を行い、世界的な状況を加味して診断の指針を提案することである。
研究方法
研究班を組織し,臨床診断、患者の化学診断、酵素診断および遺伝子診断の問題点を検討し、国内患者把握のためのアンケート調査、世界の症例の情報も取り入れて臨床診断,化学診断を含めた診断指針を作成する。また酵素診断および遺伝子診断のセンター的機能の充実のためいくつかの新規方法を検討する。
結果と考察
この研究班で明らかになった重要な点は,アンケート調査では、T2およびSCOT欠損症とも、研究代表者らが最終の酵素診断、遺伝子診断を行っており、疑いの段階から症例が十分研究班として把握できていることがわかった。またβ-ケトチオラーゼ欠損症に日本症例は残存活性をもつ非典型的な有機酸プロフィール,アシルカルニチンプロフィールを持つ例がほとんどで,これら解析の専門家においても教科書的な知識とにギャップがあるということである.そのため急遽診断指針の作成のみでなく,「先天性ケトン体代謝 化学診断におけるお願い」という専門家向けのお願いを作成した.これで1名でも多くの先天性ケトン体代謝異常症の児が適切に診断されればと期待している.また研究結果の一部はピュアレビューのある欧文雑誌に発表することができた。
結論
1年間の研究班活動で、患者数把握のためのアンケート調査、先天性ケトン体代謝異常症の診断指針の作成、「先天性ケトン体代謝 化学診断におけるお願い」の作成、高密度CGH法による遺伝子内欠失同定法の確立などの診断技術の向上などを行うことができた。
公開日・更新日
公開日
2010-04-28
更新日
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