文献情報
文献番号
200936207A
報告書区分
総括
研究課題名
Calciphylaxisの診断・治療に関わる調査・研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-152
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
林 松彦(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 細谷 龍男(東京慈恵会医科大学)
- 秋葉 隆(東京女子医科大学)
- 中元 秀友(埼玉医科大学)
- 梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所)
- 重松 隆(和歌山県立医科大学)
- 深川 雅史(東海大学医学部)
- 川村 哲也(東京慈恵会医科大学)
- 佐藤 裕史(慶應義塾大学医学部)
- 板井 昭子(株式会社医薬分子設計研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Calciphylaxisは、慢性血液透析患者を中心として生じる多発性皮膚潰瘍を主病巣とする難治性疾患である。本研究は、本疾患の全国調査を行い、その病像を明らかとして、診断基準・治療指針の策定を行うことを目標として実施された。
研究方法
1 Calciphylaxisに関する全国調査と患者登録
予備調査として、全国透析施設を対象に、calciphyalxis症例の診療経験の有無と、疾患への認識の調査を行った。症例を経験したことがあり、かつ、調査用紙に協力の意思を示した施設に調査票を配布し、皮膚生検病理標本または画像ファイルの収集を行った。
2 Calciphylaxisの基礎病変である血管中膜石灰化に関与するカルシウム・リン代謝異常、二次性副甲状腺機能亢進症治療についての、前向き無作為研究を立案し、実施に向けての準備を行った。
3 Calciphylaxisの成因と治療に関する基礎的研究として培養血管平滑筋細胞(VSMC)を用いて、高リン濃度培地で誘導されるVSMCの石灰沈着の機序を検討した。
予備調査として、全国透析施設を対象に、calciphyalxis症例の診療経験の有無と、疾患への認識の調査を行った。症例を経験したことがあり、かつ、調査用紙に協力の意思を示した施設に調査票を配布し、皮膚生検病理標本または画像ファイルの収集を行った。
2 Calciphylaxisの基礎病変である血管中膜石灰化に関与するカルシウム・リン代謝異常、二次性副甲状腺機能亢進症治療についての、前向き無作為研究を立案し、実施に向けての準備を行った。
3 Calciphylaxisの成因と治療に関する基礎的研究として培養血管平滑筋細胞(VSMC)を用いて、高リン濃度培地で誘導されるVSMCの石灰沈着の機序を検討した。
結果と考察
1 日本透析医学会所属3760施設に予備調査を行った結果、151施設から計249例の症例を経験したことが明らかとなったが、一方、疾患の認知度は40%程度と極めて低いことが示された。この249例中67例の臨床情報が収集され、35例がcalciphylaxisの概念と一致し、32例は他の疾患による皮膚病変と考えられた。この35例を基に、診断基準案を作成し、全国の透析施設、皮膚科学会教育認定施設への配布を行った。
2 臨床的にこの血管石灰化の指標となる検査として、レントゲン撮影の条件設定を行い、基礎的検討を終了した。
3 calciphylaxisの基礎病変である動脈石灰化の機序について基礎的検討を加え、転写因子であるnuclear factor κBの関与が示唆された。
2 臨床的にこの血管石灰化の指標となる検査として、レントゲン撮影の条件設定を行い、基礎的検討を終了した。
3 calciphylaxisの基礎病変である動脈石灰化の機序について基礎的検討を加え、転写因子であるnuclear factor κBの関与が示唆された。
結論
今回の調査・研究により、calciphylaxis診断規準案を策定した。また、全国調査により、初めて同疾患の本邦での概要が明らかとなり、その発症率は極めて低いが、致死率は極めて高く、今後重点的に対策を進めていく必要性が示された。一方、治療方針については策定する段階になく、さらに臨床情報を収集し、分析することが望まれるとともに、基礎的検討をさらに加える必要性が示された。
公開日・更新日
公開日
2010-05-28
更新日
-