フォン・ヒッペルリンドウ病の病態調査と診断治療系確立の研究

文献情報

文献番号
200936206A
報告書区分
総括
研究課題名
フォン・ヒッペルリンドウ病の病態調査と診断治療系確立の研究
課題番号
H21-難治・一般-151
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
執印 太郎(高知大学 教育研究部医療学系)
研究分担者(所属機関)
  • 篠原 信雄(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 矢尾 正祐(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 菅野 洋(横浜市立大学 医学部)
  • 澤村 豊(北海道大学 医学部)
  • 西川 亮(埼玉医科大学 医学部)
  • 若林 俊彦(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 倉津 純一(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
  • 米谷 新(埼玉医科大学 医学部)
  • 福島 敦樹(高知大学 教育研究部医療学系 )
  • 西森 功(高知大学)
  • 伊藤 鉄英(九州大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1.VHL病患者の全国の患者数、長期経過における腫瘍の発症と治療経過を大規模に全国調査し概要を解明する。2.現在の国内の病態に即した診断と治療指針を作成し、国内の専門医に提示する。3.各医療施設の治療経験から国内のVHL病センターと各地域の拠点施設によるネットワークを作成し難病であるVHL病の治療と経過観察に寄与できる組織形成と運用を図ることを目的としている。
研究方法
泌尿器科、脳神経外科、眼科、内科の各領域の専門医12名でVHL病調査の研究組織を形成し、合議により病態に即した診断と治療、経過観察のガイドライン(案)を作成した。VHL病患者の全国の患者数、長期経過における各腫瘍の発症過程と治療経過について各領域で調査形式を作成し全国調査を行った。
結果と考察
VHL病について本邦で初めての本格的な国内疫学調査を行い、不完全なものではあるがVHL病の国内患者さんの病態が部分的に解明された。中枢神経系血管芽腫、内耳リンパ嚢腫、網膜血管腫、副腎褐色細胞腫、腎細胞癌より発症する腫瘍、嚢胞はどれも若年発症で、再発性、多発性であることが多く、患者さんはこれらの腫瘍の治療を一生の期間で数回以上行っており、結果として多くの障害を残している。精神的なQOLも低下している。今後、この調査をさらに継続して国内患者の病態を明らかにしていく予定である。
診断と治療のガイドラインは、国内の12名の各分野の専門家の合議の結果、ガイドライン(案)として作成された。主に欧米の診断、治療に関する文献を参考にして作成した。国内のVHL病の病態は今回の疫学調査で解明されつつあるが、細かい点で欧米のものとは異なっている。今後、疫学調査の結果を加味してVHL病の診断治療ガイドラインを完成させることとする。また、ガイドライン(案)は各専門分野学会の評価委員より評価を受けて学会でも公認を受けるものとする予定である。そのため、今後、各専門分野の方々に評価をお願いする予定である。
結論
難治性疾患であるVHL病について本邦で初めての本格的な国内疫学調査を行った。また、VHL病の診断と治療のガイドライン(案)を作成した。希少性難治疾患の医療に貢献でき社会的にも臨床的にも意義は大きい。今後、双方とも完成を目指して次年度の研究を継続する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936206C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.希少な優性遺伝性腫瘍好発疾患のVHL病について本格的国内疫学調査で病態が解明された。中枢神経系血管芽腫、網膜血管腫、副腎褐色細胞腫、腎細胞癌は若年発症、再発性、多発性で、患者は各腫瘍の治療を一生の期間で数回以上行い多くの障害を残している。精神的QOLも低下している事が明らかとなった。
2.専門家12名の合議で、VHL病の診断と治療のガイドライン(案)が作成された。
これらの成果をネット、発表、論文で国内に提示し、希少疾患VHL病患者の診断や治療の向上を図ることができる点に大きな意義がある。
臨床的観点からの成果
希少な優性遺伝性腫瘍好発疾患のVHL病については国内の臨床病態調査がないため、専門医であっても治療方針が立てられず、医師、患者ともに臨床的な指標がなく治療成績も惨憺たるものであった。今回、部分的に病態が解明され公開されることにより医師、患者ともに貴重な情報が得られた。又、国内の病態、医療体制に即した診断治療のガイドライン(案)が公開されることにより、それに基づいて若年から経過観察、治療を行えることなり質の高い治療が行え、患者はQOLの高い生活を送ることができる。これらが期待される成果である。
ガイドライン等の開発
希少な優性遺伝性腫瘍好発疾患のVHL病については国内の臨床病態調査がないため、専門医でも治療方針が立てられず、医師、患者ともに困難な状況で治療成績も悲惨なものであった。我々は国内の病態、医療体制に即したVHL病の診断治療のガイドラインを作成した。それに基づいて若年から経過観察、治療を行うことができる。希少性難治疾患の医療に貢献でき本ガイドラインの社会的意義は大きい。
我々は評価委員、各学会の専門医に評価をうけて、VHL病の診断治療、経過観察の本ガイドラインをより質の高いものに引き上げていく。
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
四国家族性腫瘍シンポジウムを2009年11月28日に香川県高松市で開催し、VHL病と家族性内分泌線腫について、専門医、一般医に説明し啓発活動を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
11件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
2016-06-20